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【3726】株式会社フォーシーズHD代表取締役社長 天童淑巳氏「美・健康・癒しを軸にした持続的な成長を目指す」

※本コラムは2023年9月11日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社フォーシーズHDは、「美」「健康」「癒し」の領域で通販や卸売、店舗運営等の事業を展開しています。

代表取締役社長の天童淑巳氏へ、事業の特徴や足元の取り組み、中長期の成長方針について伺いました。

目次

株式会社フォーシーズHDを一言で言うと

「はずむライフスタイルを提供し、人々を幸せにする」企業です。

沿革とターニングポイント

当社の前身は、ウェブサイトの制作を主要事業とするサイトデザイン株式会社です。

2003年に株式移転により新会社を設立し、ウェブデザインから化粧品や健康食品の販売事業分野に進出しました。

これが、最初の重要な転機です。

翌年には現在の主力事業の一つであるコミュニケーション・セールス事業の前身となる企業を完全子会社化するなど、その後もいくつかの事業変遷をしながら変革を続けてきました。

現在のフォーシーズHDという社名に商号変更したのは2021年の12月です。

私が現職に就任したのは2019年の12月ですが、これのタイミングも一つのターニングポイントであると思います。

当時、通販事業で化粧品・健康食品を取り扱う旧株式会社フェヴリナ(2022年1月に当社へ吸収合併)は営業利益で約3億6000万円の赤字を抱えていましたが、その後営業損失額は改善しており、通販事業、卸売事業では黒字化体質となっております。

外部要因としては、やはり新型コロナウイルスの影響は大きく、変革が遅れた一因と言えます。

また内部要因では、当社事業がテレマーケティングに圧倒的な優位性を持っておりましたが、逆にこの成功体験が新しいアプローチを試みる時の障害となっていたことが挙げられます。

通販事業の一人あたりの月間売上が平均的に400万円という業界トップクラスの数字を誇っていながら、ECなど新しい時代にマッチした販売スタイルでの売上はほとんどない状態でした。

そのような状態の中、就任以後、顧客データの収集を地道に努め、さらに、新商品の導入や新しい販売チャネルの開拓も進めてきました。

まだ完全な成長軌道に乗せるには時間がかかると思いますが、着実な進展を遂げていると感じています。

事業概要

「美」「健康」「癒し」をテーマに、通販事業、卸売事業、リテール事業、衛生コンサルティング事業の4事業を展開しています。

株式会社フォーシーズHD 2023年9月期第3四半期 決算説明資料 より引用

通販事業は、「フェヴリナ」「ファインビジュアル」などのブランドを展開し、化粧品・健康食品・アロマ関連商品を販売しています。

従前のスタイルである通販に加え、ウェブを活用したEC販売を足元では強化しています。

卸売事業では、ドラッグストアなどの小売店を通じて化粧品を提供しています。

主要なブランドは「Cure」で、ピーリングジェルや酵素洗顔製品などを販売しており、10代後半から30代半ばの若い顧客層をターゲットとしています。

この事業は海外市場でも展開されています。

リテール事業は、約2年前にM&Aで取得した「Aroma Bloom」の店舗を関東中心に展開しています。

ここでは、植物の花や茎、果皮などから抽出した天然のエッセンシャルオイルや、健康に関連する商品が販売されています。

衛生コンサルティング事業では、子会社の HACCP ジャパンにて、認証や検査事業を通じた食材や食品の安全性の確保をサポートしています。

また、亜塩素酸水(クロラス酸)を使用した空気の浄化や、鳥インフルエンザの抑制なども行っています。

これはまだ投資段階にあり、利益を上げる段階には至っていませんが、将来的にはSDGsにおいても重要な事業であると認識しており、成長が期待される分野です。

  • HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point):食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法のこと。

株式会社iiyの子会社化について

2023年1月に子会社化をした株式会社iiyは、進行期(2023年9月期)の第二四半期より売上が計上されました。

株式会社iiyの子会社化は、特にEC領域を強化するための重要なステップです。

先ほども申し上げた通り、私の代表就任以後、当社はEC販売の拡充に取り組んできました。

しかしながら、顧客獲得単価の上昇や競争環境の激化を受け、様々なアプローチを試みましたが、自社単独での施策には難しさを感じていました。

そこで、既に安定した収益を上げている企業をM&Aすることにより、EC事業を強化していくための中核事業会社として導入しました。

既存通販事業のEC事業を強化するだけでなく、グループにおけるEC部署として他事業のEC領域成長にも貢献していただく立場としても期待しています。

株式会社フォーシーズHD 2023年9月期第3四半期 決算説明資料 より引用

セグメントの変更について

進行期からセグメントを現在の形に変更しました。

セグメント変更の背後には、各事業部門の利益収益性を明確にする狙いがあります。

このセグメント変更により事業部門ごとでのコスト管理と利益最大化の取り組みを進めることができ、効果的な経営判断が可能になりました。

今後は、バックオフィスや本部の経費を最小限に抑え、各事業部門が独自に成果を出すことが重要です。

また、投資家の皆様にとっても、事業部門ごとの収益性や業績の改善が容易に把握できるようになったと考えています。

通販事業と卸売事業が1億円以上の利益を上げている一方、リテール事業や衛生コンサルティング事業の収益性は低いという現状があります。

例えばリテール事業では、既に譲受当初より収益性の低い店舗の計画的なスクラップ&ビルドを進め、利益体質の改善を図っています。

また、ここ1年程度で収集してきた顧客データが4万人以上に蓄積されてきましたので、これを活用したプッシュ型通知やキャンペーンを展開し、売上向上に繋げていく考えです。

このような改善策の効果について、セグメントごとに進捗を的確に追跡できるようになりましたので、ぜひ注目していただきたいと思います。

株式会社フォーシーズHD 2023年9月期第3四半期 決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

現在、当社は前述したマーケットの中でも特に「美」に焦点を当てていますが、今後は「健康」と「癒し」分野への進出を一層強化していきます。

国内市場において、現在の当社のセグメントは、フェヴリナ(30代後半から60代)とCure(10代後半から30代半ば)を中心に構成されています。

しかしながら、美に対する意識の高まりとともに、化粧品にとどまらずエステや美顔器、美容整形などリーズナブルな選択肢手段も増えております。

この戦略転換により、我々の対象市場も化粧品にとどまらず、健康、癒し、免疫など、より幅広く拡大していきます。

株式会社フォーシーズHD 2023年9月期第3四半期 決算説明資料 より引用

海外展開について

今後ご注目いただきたい具体的な施策の一つが海外展開です。特に東南アジアなどの地域に焦点を当てています。

現在の円安の状況を活かし、日本製の化粧品に対する需要が高まっている海外市場において、成長していく可能性が高いと見込んでいます。

また、海外展開においては、中長期的には外国からの優秀な人材の採用を積極的に進めることで、グローバルでの競争力を維持していきたいと考えております。

日本が超高齢化社会に向かう中、日本の人口ピラミッドは逆転し、労働人口が減少していくことが予測されております。

当社は、化粧品は必ずしも贅沢品であるとは考えていませんが、高齢者を支える当社のお客様層の可処分所得に占める化粧品の割合が低下することも考えられます。

そのため、今の早い時期から積極的に海外へ進出していくことの重要性は極めて高く、会社を継続的に成長させるためにも必要な施策であると考えています。

M&Aについて

海外展開と合わせて、全社的な価値観を高めるためにはM&Aも有効な手段であると考えております。

先ほどご説明したようなマーケット環境を踏まえ、今後当社は「美」「健康」「癒し」に軸足を置きながら、新たな事業分野への展開が必要だと考えています。

当社の経営理念である、「はずむライフスタイルを提供し、人々を幸せにする」に沿って、上場企業としての資金調達力を活かしながら成長を遂げたいと考えています。

足元では子会社化したiiy社によってEC領域を強化しておりますが、それは通販事業の売上構成比を伸ばすことを目指しているわけではございません。

事実として電話の接続率は20年前に比べて8分の1に減少しており、テレマーケティング事業自体は難しい状況になっております。

当社通販事業全体におけるテレマーケティングとECにおける収益構造は変わってきておりますが、今後の売上構成の方向性を定めるのではなく、時代時代に応じて適応することにより、美、健康、癒しの領域で存在感を示し続けることを使命としています。

衛生コンサルティング事業の成長性

HACCPは食品の安全性に関する国際基準であり、日本人特有の「綺麗好き」という衛生観念にも合致しています。

HACCPの認証を取得することは、すでにHACCPが認知されている海外への食品輸出において重要です。

また、昨今の円安傾向からも日本企業の輸出ニーズは引き続き高いと考えています。

日本製品の品質は高く、世界でも高い評価を受けています。ただし、HACCP認証がない場合、日本からの輸出が制限されるケースも増えています。

したがって、HACCP認証を取得することが、国際市場における競争力を向上させる要因となり得るのです。

食品分野は美容や健康と同様に、需要が絶えることはありません。

時間がかかるプロセスではありますが、HACCP認証を取得できる機関と提携して事業を展開し、成長を実現してまいります。

株式会社フォーシーズHD 2023年9月期第3四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社が事業を展開する「美」「健康」「癒し」の分野は今後も需要は途絶えることはないでしょう。

その中で、会社として継続的に成長することを重要視し、足元でのEC領域の強化や、将来の成長に向けた海外展開やM&Aなど、様々な施策を展開していきます。

これらの施策の効果と業績へのインパクトに、中長期的な視点でご期待いただけますと幸いです。

株式会社フォーシーズHD

本社所在地:福岡市中央区薬院一丁目1番1号 薬院ビジネスガーデン8階

設立:2003年12月

資本金:9億9,244万円(2022年9月30日現在)

上場市場:東証スタンダード(2003年12月3日上場)

証券コード:3726

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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