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贈与税の時効は6年?贈与にあたらないケースや申告漏れの罰則について

この記事で解決できる悩み
  • 贈与税の時効成立までの期間が知りたい
  • 時効が成立しないケースについて知りたい
  • 贈与税を申告しなかった場合の罰則が知りたい

日本の税金には時効制度がある。納税義務から数年が経過すれば時効が成立し、その期間を過ぎると、行政は税金の取り立てが行えなくなるのだ。

本記事で紹介するのは、「贈与税の時効」についてだ。贈与に当たらないケースや、無申告時の罰則など、気になる注意点も解説するため、贈与税について知りたい人はぜひ参考にしてほしい。

目次

贈与税の時効は何年で成立するのか

贈与税とは、年間110万円を超える財産を個人から譲り受けた場合に、財産をもらった個人が負担する税金のことだ。

贈与税は、財産を譲り受けたが贈与だと認知しなかった場合や、贈与の事実を隠蔽した際に、一定期間を経過すると時効が成立することになっている。

それでは、贈与税の時効が成立する期間や、期間の計算方法について確認していこう。

贈与税の時効は6年(隠蔽した場合は7年)

贈与税は、譲り受けた財産の評価額に応じて、10〜55%の税率が課せられる。贈与税の税率など、詳しい内容は以下の記事を参考にしてほしい。

「贈与税の期限」を見逃さない!予備知識と計画的な対応のススメ

この贈与税の時効が成立するまでの期間は、6年だ。国税通則法の第72条・73条、および相続税法の第36条によって定められている。

ただし、ほ脱を目的として贈与の事実を隠すなど、贈与税の申告を故意に行わなかった場合、時効成立までの期間は7年間に延長される。

贈与税の課税を回避するために、「現金で贈与すれば税務署にも気づかれず時効が成立しやすい」と考える人もいる。しかし、現金を贈与する場合、銀行口座からの引き落としや預け入れが伴うため、贈与の事実を税務署が把握するケースは珍しくない。

また、不動産や株式を贈与する場合、いくつかの手続きが必要になる。そのため、贈与の事実はほぼ確実に把握されていると言って良いだろう。

贈与税時効までの計算方法

贈与税の時効が成立するまでの期間は、財産を譲り受けた年の翌年3月16日を起算日として、6年後または7年後となる。

起算日が翌年3月16日なのは、贈与税の申告期間が、財産を譲り受けた年の翌年2月1日〜3月15日であるためだ。同期間を過ぎると、贈与税の時効成立までのカウントダウンが始まる。

たとえば、令和6年の4月1日に財産を譲り受けた場合、贈与税の申告期間は令和7年の2月1日〜3月15日だ。同期間内に贈与税の申告を行わないと、令和7年3月16日が贈与税の時効成立までの起算日となり、下記の日付で時効が成立する。

  • 贈与の事実を認知していなかった場合:令和13年3月15日
  • 贈与の事実を故意に隠していた場合 :令和14年3月15日

ただし、前述のとおり贈与税の時効が成立するケースが少ないため、理論通りには行かないと考えておこう。

贈与ではなく相続になる可能性がある

当人は贈与だと思っていても、実は相続にあたり、相続税が加算されるケースもある。たとえば子や孫のために「名義預金」を管理していたとしよう。

名義預金とは、預金口座の名義人と管理人が異なるケースのことだ。子や孫のために名義預金を行う人は多いだろう。このケースでは贈与ではなく相続と判断される可能性が高い。

名義預金ではあくまで「管理人が財産を所有している人」と判断されやすい。そのため、管理人が死亡し名義預金が子や孫に渡った際に、相続と判断される可能性が高いのだ。贈与税の時効は成立せず、相続税が課せられることになる。

口座への最終預金が10年以上前であったとしても、名義預金と判断されると相続税の課税対象になるため注意しよう。

贈与が成立していても時効にならないケース

前述のケースは、「贈与が成立していない」と判断される、よくあるケースだ。一方で、贈与が成立しても時効にならないケースもある。

これは実際に起きた話(名古屋地裁 平成5年3月24日)であるため、ここで紹介したい。

被告人は不動産贈与を受けた際に、公証役場にて贈与契約書を作成した。しかし、贈与の事実を隠蔽するために不動産の名義変更を行わず、時効となる7年間の期間を経てから、不動産の名義を変更した。

客観的な証拠があり、時効期間も経ていることから、「贈与・時効ともに成立」とみなされるケースだと考えられた。

しかし、事実を知った税務署が裁判所に申し立てを行い、裁判を行った結果、被告人は敗訴し、公証役場での贈与契約書は無効となった。

贈与隠蔽が悪質だと判断されたため、「贈与は成立していない」と判決を下されることになったケースだ。当然ながら被告人には、重加算税が課せられた。

このように、一見すると贈与・時効が成立しているケースでも、裁判によってその事実が覆ることがある。

贈与税の納税は国民の義務であるため、故意に隠蔽するような行為は避けたい。

贈与税の罰則について

贈与税を申告しなかったり、贈与された事実を故意に隠蔽したりすると、罰則が課せられる。ここでは、贈与税の罰則について解説する。

無申告加算税

無申告加算税とは、贈与税の申告期限(贈与があった翌年の2月1日〜3月15日)までに申告を忘れていた場合に課せられる罰則だ。期限を過ぎてから申告忘れがあったと自己申告した場合、本来の贈与税に5%をかけた金額が加算される。

一方で、税務署通知を受けてから調査が入るまでに自己申告した場合、贈与税額が50万円以下の部分は10%、50万円超えの部分は15%の金額が加算される。

税務署の調査を受けた場合、課税率はさらに重い。50万円以下の部分は15%、50万円超えの部分は20%が加算される。

贈与税額加算税率
税務署の通知を受ける前に自己申告した5%
税務署の通知を受けてから、調査が入るまでに自己申告した50万円以下10%
50万円超15%
税務署の調査を受けた50万円以下15%
50万円超20%
出典:相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

過少申告加算税

過少申告加算税とは、実際の贈与税よりも少なく申告した際に課せられる罰則だ。ただし、税務調査の連絡前に自己申告を行えば、罰則はない。

一方で、税務署通知を受けてから調査が入るまでに自己申告した場合、贈与税額が50万円以下の部分は5%、50万円超えの部分は10%の金額が加算される。

税務署の調査を受けた場合は、50万円以下の部分は10%、50万円超えの部分は15%が加算される。

贈与税額加算税率
税務署の通知を受ける前に自己申告した
税務署の通知を受けてから、調査が入るまでに自己申告した50万円以下5%
50万円超10%
税務署の調査を受けた50万円以下10%
50万円超15%
出典:相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

重加算税

重加算税とは、贈与税を故意に申告しなかった場合に課せられる罰則だ。悪質な行為と判断されるため上位2つの罰則よりも重く、無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%が加算される。

また、過去5年以内に贈与税で無申告加算税や重加算税が加算されたことがある人は、無申告の場合で50%、過少申告の場合で45%が加算される。

贈与税の時効を狙って申告を行わない場合、この重加算税が適用される可能性が高い。本来の贈与税に対して35〜50%が加算されることになるため、やはり贈与税の隠蔽は非常にリスクが高いことを覚えておこう。

延滞税

贈与税の罰則は、加算税のほかに延滞税も発生する。延滞税とはいわゆる利息のようなものであり、贈与税のみにかかる(加算税にはかからない)。

令和4年1月1日から12月31日までに受贈した分の贈与税については、申告期限の翌日(令和5年3月16日)から2ヶ月以内で7.3%、2ヶ月後は14.6%が、納税が遅れた日数分課税される。

前述の通り、贈与税の時効成立期間は、6年ないしは7年だ。つまり、税務署は「最大で過去7年間に遡って贈与税調査が行える」ことを意味する。

繰り返しになるが、時効成立を狙った贈与税の隠匿は非常にリスクが高いため、納税者としての義務を果たそう。

贈与税の時効を狙うのではなく、安全な贈与をIFAに相談する

贈与税を支払うことは納税者としての義務である。意図的に申告しなかったり、申告漏れの際にもペナルティが課せられるため、やはり贈与税の申告・納税はきちんと行うべきだ。

とはいえ、「贈与税をできる限り節税したい」という気持ちは、悪いことではない。そこで活用してほしいのがIFAだ。

IFAとは?資産形成のパートナー

IFAとは「Independent Financial Advisor」の略であり、日本語では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれる。顧客の資産形成・運用や投資に関するアドバイスを行う専門家だ。

IFAと贈与税は一見すると関係ないように思うが、贈与税や相続税に詳しいIFAは多い。

というのも、資産形成・運用では必ずと言って良いほど、贈与・相続の話が挙がる。長期的な投資パートナーとしてIFAを活用する人も多いため、贈与・相続に関する相談も多いのだ。

実際に「資産運用ナビ」にもこのようなIFAが多く登録されており、顧客の資産形成や投資を含め、贈与・財産に関するアドバイスも行なっている。

そのため、贈与・相続に加えて資産形成・運用について相談したい人は、IFAの活用を検討してみよう。

税制に強いIFAの探し方

資産運用の専門家であるIFAには、それぞれ得意領域がある。株式や投資信託を中心とした資産運用を得意とするIFA、不動産投資を中心とした資産運用を得意とするIFAなどさまざまだ。

贈与税、または相続税に強いIFAを探したい人には、「資産運用ナビ」などのマッチングサービスの利用がおすすめだ。

たとえば「資産運用ナビ」を利用すれば、入力した情報に応じて適合性の高いIFAが数十秒でマッチングされる。また、贈与税や相続税に強いIFAを自ら探すこともできる。

ネット検索や個人的な情報網を利用するよりも、効率的に目的に合ったIFAを探せるため、ぜひ活用してみてほしい。

まとめ

本記事では、贈与税の時効期間や時効が成立しないケース、無申告時の罰則などについて解説した。

贈与税の時効が成立する事例は確かに存在するが、非常にリスクが高いためやはりお勧めしない。計画的な贈与・相続によって、節税するのが安全かつ正当なやり方だ。

贈与税の節税方法については税理士に相談するのが一般的だが、IFAの活用も検討してほしい。とくに、資産形成・運用や投資まで行っている人は、有価証券の贈与など複雑なケースについても相談しやすい。

現在、「資産運用ナビ」では無料相談を実施しているため、贈与税の節税について気軽に相談してみてはいかがだろうか。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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