「生命保険が資産運用になり得るのか」という疑問をお持ちの方は少なくない。
結論、生命保険は資産になり得るが、保険料とライフプランとの兼ね合いも考えながら無理のない投資をしていく必要がある。
そもそも生命保険は被保険者が保険料を出し合い、被保険者に何かあれば保険金が支払われる相互扶助の制度である。
事故や事件に巻き込まれた万が一の時に備えられるのが生命保険だ。
「せっかく保険料を支払うなら、資産形成もできる一石二鳥の保険に入りたい」と思う人も多いのではないだろうか。
そんな方へ向けて本記事では、生命保険で資産運用する方法と、メリットとデメリットをわかりやすく紹介していく。
資産運用しやすい生命保険4種も紹介しているため、生命保険での資産運用を検討している方はぜひ参考にしていただきたい。
生命保険は資産運用になる
生命保険は、保険のプロが加入者の支払った保険料を集めて運用するため資産となる。お金が貯まる仕組みの「貯蓄型保険」を選べば運用益も発生するため、十分投資といえるだろう。生命保険で資産運用するメリットとしては以下の6つが挙げられる。
- プロが運用
- 万が一の保障だけでなく、運用益も
- 自動積立できる
- 節税効果
- 預金より利率が高い
- 貸付制度も利用可
プロが運用
生命保険は保険のプロが顧客の保険料を集めて運用していくため、契約者の資産を減らさないことを重視した投資が行われる。
そのため、日本国債や地方債、公社債などの低リスク商品が構成比率の過半数を占める。
債券発行体は利息や償還金を支払う義務が発生していることから、株式投資に比べてリスクが非常に低くなっている。
つまり、低リスク商品をプロがリスク管理に焦点を当てて運用する生命保険は、投資初心者でも始めやすいといえるだろう。
万が一の保障だけでなく、運用益も
生命保険は事件や事故が起こった際の保障がついている上に、保険金の運用もしてもらえる。
万一の時の安心感だけでなく、将来を見据えた資産形成で老後に備えることが可能だ。
自動積立できる
生命保険を支払う際、自動積立設定が利用可能だ。
給料が入った際に自動的に銀行から差し引かれるため、手間がかからずライフプランの計算もしやすいというメリットがある。
節税効果
生命保険は「生命保険料控除」を受けることができる。
つまり、支払った保険料に応じて自身の所得から控除を受けることができ、税金額を減らせる節税効果もあるのだ。
支払保険料額 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 全額 |
4万円以下 | 支払保険料 × 0.5 + 1万円 |
8万円以下 | 支払保険料 × 0.25 + 1万円 |
8万円超 | 4万円 |
保険料から剰余金と割戻金を差し引いた金額に応じて、所得税控除を受けながら資産運用ができるのだ。
預金より利率が高い
銀行の定期預金や普通預金よりも、生命保険の金利の方が高い。
定期預金は0.02%、普通預金は0.001%程度の金利で資産運用には向いていない。
その一方、生命保険金利は0.2%程度に設定されており、リスクを取りすぎない資産運用法の1つとして選択肢に入れやすいのではないだろうか。
貸付制度も利用できる
生命保険加入者は生命保険を担保にした「契約者貸付制度」を利用して、低金利で借入できる。
資産運用していく間に、家計が厳しくなったり急に大金が必要となったりする可能性もゼロではないだろう。
そんな時、審査なしで低金利の貸付制度が活躍するのだ。
途中解約せずに保有できる上に、返済方法の自由度も高い。また契約期間中に何度でも借りることができる。
万が一資金が必要となった場合でも、資産運用を継続できて借入が可能な契約者貸付制度は、生命保険ならではのメリットといえる。
生命保険で資産運用するデメリット
生命保険で資産運用するデメリットは、大きく以下の4つが挙げられる。
- 保険料が高額に
- 元本割れや想定利回り以下になる場合も
- 利率が低め
- 途中解約は不利
保険料が高額に
生命保険は毎月の支払い額が高額となりやすい。満期に受け取れる「満期保険金」の積み立て分を追加で支払わなければならず、「掛け捨て保険」と比べて保険料が割高となってしまう。
そのため、毎月の支払い金額が負担とならないかを事前に想定しておかなければならない。
元本割れや想定利回り以下になる場合も
生命保険での運用を含めた全ての資産運用では、元本割れリスクがつきまとう。
債券中心の低リスク商品への投資でも社会情勢などによって、想定利回りより実際の利回りが低下する可能性も考えられる。
投資に絶対はないことを理解した上で、リスクリターンのバランスを調整しておくべきだろう。
利率が低め
生命保険の利率は、他の金融商品よりも低くなる。株式や投資信託よりもリターンが少なくなるため、パフォーマンスを重視する人とっては少々物足りなく感じてしまうだろう。
生命保険での資産運用はローリスクローリターンの投資となることを理解しておかなければならない。
途中解約は不利
生命保険を途中解約すると、基本的に不利になる可能性が高い。
解約時に支払われる「解約返戻金」が出ない場合や、解約返戻金が支払われても支払った保険料を上回らずに損をしてしまう場合もあるのだ。
そのため、基本的に長期加入を想定して生命保険で資産運用することになる。
一般NISAなどのように5年期限など短く設定されておらず、長期間の支払いを想定して資産を管理をしなければならない。
資産運用しやすい生命保険の種類
資産運用しやすい生命保険の種類は、以下の3つだ。
- 貯蓄型保険
- 外貨建て保険
- 変額保険
貯蓄型保険
貯蓄型保険とはその名の通り保障を受けながら、貯蓄ができる保険である。貯金のように毎月保険料を積み立てて運用してもらうため、支払った保険料よりも受け取る合計金額の方が高くなりやすいという特徴がある。
貯蓄型保険にも「養老保険」「終身保険」「学資保険」「個人年金保険」など、自分のライフプランに合わせた保険を選択できる。
- 養老保険
- 満期になると満期保険金、満期前に死亡すると死亡保険金を受け取ることができる保険だ。保証を受けつつ貯蓄してきた資金を受け取れるため、資産形成目的でも選ばれることも多い。
- 終身保険
- 一生涯保証がつき、死亡時には保険金を受け取ることができる。掛け捨てではなく、据え置きタイプであるのでコツコツとした貯蓄が可能だ。
- 学資保険
- 子供用の保険で、入学祝いや満期のタイミングで保険金を受け取ることができる。受け取り時期を設定しておくことで、お金が必要となる子供の大学や高校進学費用に充てられるライフプランに合わせた保険だ。
- 個人年金保険
- 年金のように、毎月一定額受け取れる保険だ。「老後の保険年金だけでは不安」という方にぴったりといえるだろう。
外貨建て保険
その名の通り、日本円以外の外貨で支払う保険のことだ。
保険金も外貨で受け取れるため、為替レートによっては大きく利益を上げられる場合もある。日本だけに固執せず、米国や欧州へ分散投資していきたい方におすすめの保険だ。
変額保険
変額保険とは、運用方法を自分で設定できる保険のことを指す。
通常の生命保険は公社債など比較的低リスクと呼ばれる商品を軸に運用していく。
しかし、変額保険なら「もっとリターンを取りたい」「もっとリスクを抑えたい」などと自分なりにカスタマイズできるというメリットがある。
運用パフォーマンスを調整しつつ保障も受けられるため、資産運用しやすい保険といえるのではないだろうか。
まとめ
今回は生命保険での資産運用方法について紹介してきた。
生命保険は資産になるが保険料が高額になりがちなので、ライフプランなども加味しながら無理のない保険料を設定する必要がある。
保険の種類ごとに利回りは変化していくため、保険料と利回りを照らし合わせながら自分にあった生命保険を探してみてはいかがだろうか。
他に資産形成の方法として、つみたてNISAなども挙げられる。
生命保険とはまた違ったメリットとデメリットを有しているため興味のある方はこちらの記事をご覧いただきたい。
その他にも、困ったことがあれば「資産運用アドバイザーナビ」に相談をしてはいかがだろうか。
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