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【7359】株式会社東京通信グループ代表取締役社長CEO 古屋佑樹氏「マーケティング力が導く多角的ビジネス展開」

※本コラムは2023年10月25日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社東京通信グループは、マーケティングを核に人々の心を豊かにするサービスを提供することで社会に価値を提供してきました。

代表取締役社長CEOの古屋佑樹氏へ、デジタルビジネス・コングロマリットを目指す事業戦略や成長方針について伺いました。

目次

株式会社東京通信グループを一言で言うと

マーケティング力を軸に、「Digital Well-Being」を体現する会社です。

創業の経緯

株式会社東京通信グループ代表取締役社長CEO 古屋佑樹氏

当社は2015年に現会長の外川と私の共同代表の形でスタートしました。

その後上場のタイミングで私が単独代表となりましたが、外川は私が新卒で入社したサイバーエージェントの子会社、シーエー・モバイル(現CAM)の創業社長でした。

15年ほど代表を務めたのち、退任の際に一緒にビジネスをしようと意気投合したことが創業のきっかけです。

「まずは我々ができること・やれることをやろう」という想いで始まった会社ではありましたが、私自身のキャリアでそれまで抱いていた課題感も会社設立の根底にはあります。

シーエー・モバイル時代にはチームを率いてモバイルを中心とした広告・メディア・新規事業開発と様々な業務に従事し、退職後はフリーランスのような形で独立し、スマートフォンアプリを主軸とした事業活動をしていました。

特にフリーランス時代では、自らの考えを実現する自由があり充実度も高かったのですが、時にはリソースが豊富な第三者によって先にアイディアを実現されてしまうということがありました。

こういった経験から、やはり組織としてリソースを整えることで、実行力を高める必要があると徐々に考えるようになっていきました。

また、自分と考えを共有できる人たちが周りにいれば、馬力もさらに増すだろうと考えたのです。

社名に込めた想い

社名の「東京通信」にも創業時の想いが託されています。

ちょうど東京オリンピックの開催が決まった時期でもありましたので、これを機に大きな活力が生まれ、あらためて東京が世界に注目されるだろうと考え、「東京」を選びました。

そのため、私自身も「東京オリンピックの開催までに東京通信として何かことを成したい」と考えていました。

その後、コロナウイルスの蔓延により東京オリンピックは1年延期になりましたが、我々は予定通り、2020年の12月に上場を果たすことができました。

ターニングポイント

創業時から上場を意識していたわけではありませんでしたが、それでもマザーズ市場(現グロース市場)上場という機会は重要な出来事であったと思います。

特に上場に向けた準備を進める中で、ガバナンスを含めた体制面に変化が生まれたことは、会社の文化形成にも大きな影響を及ぼしました。

また、上場企業としては自社のスタンスを貫くだけではなく、ステークホルダーに対して正しい情報を届ける責任があります。

それまで当社は、売上・利益の成長やユーザーへのサービス提供を最優先に考えていましたので、外部への情報発信にはあまり積極的ではありませんでした。

ですので、上場を機に外部との関係性も変容していったと認識しています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

事業概要

デジタルビジネス・コングロマリット

まず、当社の経営戦略における事業展開方針は、「デジタルビジネス・コングロマリット」を目指すことです。

コングロマリットとは、異なる事業領域を統合し、複数の事業体を持つ企業を指します。

当社は1つのサービスにとどまるのではなく、複数のマネタイズポイントや事業ドメインを有し、かつそれぞれのシナジーの有無にかかわらず、独立した事業体として機能することを目指しています。

また、常に事業と投資の両方を活用すること意識しています。

これにより、例えば事業での成功事例を投資先でも活用したり、投資先で得たノウハウを当社の事業に還元するといった双方向のシナジーが生み出されます。

あるいはM&Aによってグループに迎え入れることも行なっています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

事業の特徴

当社は2つの主要セグメントと新規事業の3つの柱で事業を展開しています。

主要セグメントはメディア事業、およびプラットフォーム事業から構成されています。

メディア事業では、無料のスマートフォンアプリを提供し、広告収益を得るモデルを創業来一貫して採用してきました。

ここ数年は国内企業の中でダウンロード数最多の実績をもっています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

プラットフォーム事業は、上場後に課金という軸で新たな事業モデルを求め、株式会社ティファレトを完全子会社化したことで始まった事業です。

主力は電話占いサービスで、従量課金型の鑑定ビジネスとして収益を得ています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

一方、新規事業に関しては、デジタルビジネス・コングロマリットの理念に基づき、多岐にわたる領域で事業展開を行い、これからも新たな事業を立ち上げ続ける方針です。

現在はヘルステックアプリ「OWN.」や、アーティストと双方向のコミュニケーションを実現する推し活×メッセージアプリ「B4ND」などをリリースし、ユーザーに新しい価値を提供しています。

加えて、投資事業として、NIDTと呼ばれる仮想通貨の発行と秋元康氏総合プロデュースの新アイドルグループ「WHITE SCORPION」の運営を行うオーバース社や、銀座のメタバース化プロジェクトをすすめるAMIZA社など、多岐にわたる投資先や出資先を持っています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

このように当社は、ITを中心に複数の事業領域を網羅し、デジタルビジネス・コングロマリットを実現するために多様な活動を行っています。

事業創造力とマーケティング力

我々の競争力の源泉は事業創造力です。当社はこれまで5,500本以上のアプリを提供してきました。

我々には常にアイディアがありますし、領域を広げるためにまだ開拓できていない新しいジャンルにも挑戦し続けています。

さらに、それらを実行するための採用の仕組みや社内ルールを整えることで、当社には新しいアイディアを追求できる、つまり「事業創造力の生まれる」環境が出来上がっていると思います。

一方、組織や人材に関わる側面だけではなく、事業を創造するためにはマーケティングの力を結集することが必要だと考えています。

我々は自社を「ゲーム会社」と認識しているわけでもありませんし、今後アプリ開発のみに固執するつもりもありません。

デジタルビジネス・コングロマリットが当社の目指す姿であり、得意とするマーケティング力をベースに事業を展開することで、さまざまなプロダクトやサービスに多様化し、成功に導けると考えています。

中長期の成長イメージとそのための施策

引き続き主要セグメントで得た利益を新規事業に再投資することで、事業ポートフォリオを拡大させていきます。

新規事業への投資が実り、第3、第4、第5の主要セグメントとなることで売上と利益を増加させ、この一連の結果が時価総額として評価されるような体制を構築することを目指しています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

メディア事業

メディア事業における当社の強みは、スマートフォンという人々の最も身近にある媒体に大量の広告在庫を抱えていることにあります。

世界的に見れば、まだまだスマートフォンの台数は増えていく見通しですので、すなわちそのデバイスを広告媒体として有効活用する商圏にも拡大余地があるということです。

この成長市場において、端的にはヒットを目指すことが当社の戦略ですが、既存領域だけでなく新たな領域にも広げながら、グローバルでの地位を高めていきたいと思います。

プラットフォーム事業

プラットフォーム事業においては、現在の電話占いサービスの規模拡大を図りつつ、その隣地にある領域への展開も計画しています。

まずは今年10月にリリースした恋愛相談サービスから始め、今後は(例えば弁護士などの)士業への相談サービスなどへの展開も検討していて、「相談」というキーワードにてカテゴリごとに市場シェアを拡大させていきます。

また、M&Aによってもチャネルを拡充させる予定です。オーガニック成長、新しいサービス展開、そしてM&Aを組み合わせて成長を促進します。

社会と共創する持続的な成長の実現

また、このような中長期の施策を実行しながら、社会と共創する持続的な成長を実現したいと考えています。

ビジョンに「Digital Well-Being」と掲げていますが、我々の事業はインフラのように必ず必要なものではなく、人々の心を豊かにするようなサービスであるべきと考えています。

現代社会において、人々の幸福への欲求が減少することはないと考えていますので、それらを叶えるためのサービスを提供していくことが社会課題の解決につながると思います。

そして、1日1回でも人々が楽しんで笑える瞬間を提供できれば、それが我々の存在価値であり、社会と共創する持続的成長実現への鍵になると信じています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

「当社はスマートフォンアプリのゲーム会社である」といったイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、実際にはマーケティング力を主軸とする企業であり、大量の広告在庫を保有するメディアとしての側面も持っています。

そして何よりも、単一の事業に縛られることなく多角的にビジネスを展開し、戦略的に投資を実行、継続することで新たな領域に挑戦し続ける会社であることにご注目いただきたいと思います。

この点は、我々が他社と一線を画す存在であることの一因であると考えています。

株式会社東京通信グループ 2023年12月期 第2四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

「まずは時価総額1,000億円の企業に成長する」ことが目標であり、課題であると認識しています。

そして、この野心と意欲が我々の事業選択にもつながっていますし、大胆さと情熱を持って事業を展開していることをご理解いただければと思います。

また、上場市場の中でもグロースという成長市場に身を置く企業としては、やはり何よりも成長が求められると思っています。

ですが、その中でも当社のように複数の事業セグメントに挑戦し続ける企業はそう多くありません。

そういった意味でも、「Digital Well-Being」を体現し、デジタルビジネス・コングロマリットとして大成することで、時価総額1,000億円の企業に成長することが、我々の願いであるとお伝えしたいです。

株式会社東京通信グループ

本社所在地:東京都港区六本木3丁目2-1 住友不動産六本木グランドタワー 22階

設立:2015年5月

資本金:612百万円(2023年11月アクセス時)

上場市場:東証グロース(2020年12月24日上場)

証券コード:7359

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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