- 保険料は何で構成されているのか
- 保険料はどのように算出するのか
- プロへ相談をする際にはどうすれば良いのか
生命保険についての話の中で「保険の差益」という言葉を聞くことがある。
主に保険料についての話題の時に出るが、どのような意味かご存じだろうか。
今回は「保険の差益」の意味を確認し、保険契約者にはどう関係するのかについても解説する。
保険料の構成要素
生命保険の契約をする時、いくつかの保険会社を比較検討するという方も多いだろう。
その際、同じ年齢、同じような保障の商品でも、保険料が異なる場合があるということに気付くのではないだろうか。
差益について知る前に、まずは保険料が何で構成されているのかを確認しよう。
収支相当の原則
保険会社では原則として「収支相当の原則」に従い、保険料を決めている。収支相当の原則とは、契約者全員が支払う保険料と保険会社が契約者全員に支払う保険金が等しくなるというものだ。
保険の原資と経費について
収支相当の原則で基本的に「保険料=保険金」となるわけだが、契約者全員が支払う保険料が給付される保険金や給付金と全く同額というわけではない。
経費部分も保険料から支出されることになる。保険料の内訳は以下の通りだ。
保険の原資部分 | 「純保険料」と呼ばれる 将来の保険金・給付金に充てられる部分 この部分の金額は保険会社には残らない |
保険の経費部分 | 「付加保険料」と呼ばれる 宣伝広告費、人件費、商品開発のための費用、保険の維持管理費用、 保険会社の利益がこの部分に含まれる |
契約者が負担する保険料は「純保険料」+「付加保険料」で構成されている。
保険料をどうやって算定するか?
保険料が純保険料、付加保険料で構成されていることが分かったが、それらの保険料はどのように算定されるのかも確認しよう。
保険料の算定には3つの予定率が使われる。
- 予定死亡率
- 予定利率
- 予定事業費率
予定死亡率
純保険料に当たる部分。過去の統計から年齢別、性別ごとの死亡者数を予測したもの。
保険会社の過去のデータおよび生命表をもとに算定される 。年齢が高くなると予定死亡率も高くなる。
そのため、年齢が低い契約者は保険料が低く、年齢が高い契約者は保険料が高く設定される。
また、入院や手術時に給付金が支給される「医療保険」の予定死亡率は、亡くなった時に保険金が支給される「死亡保険」の予定死亡率よりも低い。
よって、医療保険の保険金は死亡保険よりも低く設定されることとなる。
予定利率
純保険料に当たる部分。保険会社が資産運用して得られる利益を予測したもの。
保険会社は将来支払う保険金を全て契約者の保険料(現金)から準備するのではなく、資産運用で得られる利益からも充てる予定にしている。
そのため、資産運用で大きな利益が出ると予測される=予定利率が高くなるほど、保険料を低く設定できる。
予定事業費率
付加保険料に当たる部分。宣伝広告費、人件費、商品開発のための費用、保険の維持管理費用にどの程度かかるかを予測したもの
複数の保険会社で予定死亡率・予定利率が同じ場合、予定事業費率が低い保険会社の方が保険料を低く設定できる。
予定率が将来変わる可能性について
「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」はどれも永続的に固定されているものではない。
経済状況の変化、生命表の見直し時期等で変わる可能性もある。その場合は、保険料の見直しが行われることもある。
保険の差益が出るケースとは?
保険料は「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」により決定するが、この予測が完全に当たることはまれといっていいだろう。
予測が外れると、支払った保険料と支払われた保険金の差額(ずれ)が生じることになるが、支払われた保険金の方が少ない場合などに「差益」が生じる。
どのような差益が生じるのか確認してみよう。
3つの「差益」
予定していた予定率と異なっていた場合に生じる差益には以下の3つがある。詳しく見てみよう。
死差益 | 「危険差益」とも呼ばれる。予定死亡率より、実際の死亡率が少ない時に生じる差益。 |
利差益 | 予定利率より実際の運用収益が高かった時に生じる差益。 |
費差益 | 予定事業費率より実際の事業費が少なかった時に生じる差益。 |
これら3つの差益を保険用語で「三利源(さんりげん)」と呼んでいる。
特に、契約が長期に渡ることが多い死亡保険については、予定死亡率を低めに見積もる場合が多いため、死差益は生じる可能性が非常に高い差益といえる。
生じた保険の差益はどうなるのか?
当初想定していた予定率とのずれで保険の差益が生じるが、この差益がどうなるのかについても把握しておきたい。
- 配当として契約者に還元
- 特に「利差益」についてだが、毎年、決算を行って差益が生じた場合、「配当」として保険契約者に還元する場合がある。利差益を配当として還元するかどうかは保険商品設定当初から決められており、「利差配当保険」として販売される。
- 差益を配当として還元しない保険商品もあるが、その場合は、差益がなるべく出ないよう「無配当用」として予定率を調整しており、配当がない商品は配当ありの商品よりも保険料が低めに設定されている。
- なお、運用次第では利差益が発生せず、損失が生じる「逆ザヤ」状態になる場合もある。逆ザヤの際は配当金が支払われない。
- 内部留保として保険会社に留め置かれる
- 差益を契約者に還元するのではなく、内部留保として保険会社にそのまま置くという場合もある。内部留保にする理由は、「将来の保険金支払いに備えるため」「保険会社の経営を健全に保つため」など様々である。
保険の差益は誰でも確認可能
保険の差益がどの程度出ているのかについては、毎年の決算で判明する。
差益の金額については各保険会社の決算報告やホームページ等で公開されている。
自分の契約している保険会社ではどのくらいの額の差益が生じているかをぜひ確認しておきたい。
わからないことは専門家へ
保険の差益には、予定死亡率と実際の死亡率の差から生じる「死差益」、予定利率と実際の収益の差から生じる「利差益」、予定事業費率より実際の事業費が少なかった場合に生じる「費差益」の3種類がある。
差益が発生したら、契約者に配当金として還元される場合以外にも、保険会社の内部留保となる場合もある。
また、差益は必ず発生するものではない。運用が予定通りにいかない時などは差益が発生せず逆ザヤ状態となり、配当金も支払われないことも把握しておこう。
一方で、保険の悩みは多く、不安なケースは多いと思う。
そんな時は、「資産運用ナビ」に相談をしてはいかがだろうか。
プロの視点から資産運用の疑問を解決し、納得した上で資産運用を行おう。
現在、下記ボタンから申し込むと無料で資産運用の相談にのってくれる。