※本コラムは2024年1月15日に実施したIRインタビューをもとにしております。
サイジニア株式会社はECサイト向けのマーケティングサービスを提供し、リテールメディア広告事業でリーディングカンパニーを目指す会社です。
取締役社長の山崎徳之氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
サイジニア株式会社を一言で言うと
爆発的に成長していくリテールメディア広告事業のリーディングカンパニーを目指す会社です。
サイジニアの沿革
創業経緯
当社は現代表取締役会長の吉井が北海道大学の研究室のメンバーとレコメンドシステムを開発したことをきっかけに、2005年に設立した会社です。
また、ほぼ同時期にZETA株式会社を私が設立し、共にサイト内のレコメンド事業を展開していました。
創業当時、ECサイトのレコメンド事業で起業する会社は非常に多く群雄割拠の時代でした。
その中で当社は2008年から独自のロジックで商品をおすすめする「デクワス.RECO」の提供を始めました。
そしてサービス・事業を拡大していき、2014年12月には東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に上場しましたが、その後業績は伸び悩む時期が続きました。
ZETA株式会社との統合
業務提携のさらなる拡大を視野に入れ、2020年1月に当社とZETA株式会社は小規模な資本業務提携を行いました。
ZETA株式会社はECサイトの改善を目的とした「ZETA CXシリーズ」を提供する会社です。
そして、2021年7月にはZETA株式会社との間で完全株式交換による経営統合を行いました。
またデクワス株式会社の主力であったリターゲティング広告事業はCookie規制に伴い状況が厳しくなる見通しから2023年7月に売却し、現在は急成長中のリテールメディア広告を含めたCX改善事業を展開しています。
サイジニアの事業の概要と特徴
概要
現在の当社の売上の9割以上は「ZETA CXシリーズ」で構成されています。
主に4つの製品をハイエンド顧客向けに展開し、顧客ニーズに合わせてコンサルティングから販売までを行うことが特徴です。
1つ目がサイト内の検索エンジンの最適化サービスである、EC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」です。
圧倒的な高速性・精度の高い検索結果・経験豊富なエンジニアによるサポートにより幅広い業界の大手企業に選ばれています。
2つ目がサイト内にレビューコンテンツを実装する、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」です。
多彩な表示機能やシンプルな投稿画面を提供し、レビュー活性化によるSEO(検索エンジン最適化)対策にも有効です。
3つ目がサイト内のキーワードを抽出しハッシュタグを自動生成する、ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」です。
ハッシュタグを導入することで、サイト内のユーザーの回遊率向上や、キーワードに対するSEO効果が見込めます。
4つ目がサイト内の検索クエリを分析して広告を生成する、リテールメディア広告エンジン「ZETA AD」です。
購買履歴や閲覧履歴ではなく、サイト内のユーザーの検索履歴を分析してリアルタイムのニーズに寄り添った広告を提供する製品で、足元で非常に売上が伸びています。
事業における優位性
急速に拡大するECサイトに特化した製品群
当社はECサイトの運営に付随するマーケティングには欠かせない製品を提供しています。
先ほどご紹介した4つの製品について補足します。
まず、主力である「ZETA SEARCH」は大手ECサイトに多数導入されており、その中でもアパレル業界において圧倒的シェアを誇る製品で、当社の収益基盤でもあります。
また、「ZETA VOICE」、「ZETA HASHTAG」、「ZETA AD」のシナジーは非常に高く、サイト内の利便性を高めることでユーザーの購買行動を活発にするためのマーケティングツールとして非常に役立っています。
そのため、「ZETA SEARCH」を導入している顧客にECサイトの更なる改善策を提供するとともに、シリーズで導入いただくことで当社側にはアップセルの役割を果たしています。
それ以外にも複数の製品を有しており、顧客ニーズに合わせた柔軟な製品展開を行っています。
ハイエンド顧客へのアプローチと感度の高いアパレル業界への早期参入
当社のターゲットの中心はハイエンド顧客、つまり大手企業です。
ハイエンド顧客をターゲットにしている理由は、彼らの求める成果を挙げている限り、継続的な取引が可能な点にあります。
一方で、ローエンド顧客は成長とともに求めるニーズが異なり、移り変わりも激しいのが特徴です。
そのため、EC業界でローエンド顧客に提供する製品は価格競争に陥りやすく、性能での差別化が難しいと考えています。
その点、ハイエンド顧客に対しては、当社のようなソリューションベンダーが性能重視で積極的な開発を行うことで優位性を発揮できます。
また、アパレル業界へ早期に参入しシェアを獲得してきたことも大きな強みです。
アパレル業界はF1層(20〜34歳の女性)といった流行に敏感な層がターゲットで、DXへの感度も高くECサイトの改善に対しても先行投資をする傾向にあります。
当社はすでにアパレル業界各社のECサイトでマーケティング施策に成功しており、後発となる他業界に対しても、このノウハウを用いたビジネスを展開できます。
これらのハイエンド施策とアパレル業界に対しての成功事例の積み上げは、非常に大きな優位性だと考えています。
高い製品力を支える優秀な人材
ハイエンド顧客の要求に耐えうる製品力を支えているのは、当社の優秀な人材です。
当社の人的資本経営の採用における特徴として、他社では営業やエンジニア人材を積極的に採用していますが、当社ではそれだけでなくマーケティングとCRMの人材を他社よりも重点的に補強しています。
当社のビジネスでは一度お付き合いを始めると長期的な関係性になることがほとんどです。
また、ハイエンド顧客をターゲットとしているのでプッシュ型の営業はほとんど必要ありません。
そのため、取引を始める際はほとんどが口コミや代理店からの紹介となります。
質の良い製品とサービスを高く保つために、マーケティングやCRMを積極的に採用しています。
サイジニアの中長期の成長イメージとそのための施策
リテールメディア市場の拡大
リテールメディア市場のお話をする前に、まずインターネット広告市場についてご説明します。
現在、インターネット広告市場には大きく分けて3つの市場があります。
1つ目がGoogleやYahoo!などの検索媒体でのリスティング広告の市場です。
2つ目はX(旧Twitter)やInstagramなどでのSNS広告で、特定のターゲットへの販売戦略として拡大している市場です。
そして3つ目がECサイトなどにおけるリテールメディア広告で、2023年頃から注目されている市場です。
既にアメリカではそれぞれの市場がほぼ3分の1ずつを競い合っている状況です。
当社は過去より、このリテールメディア広告に着目してビジネスを展開してきました。
アメリカにおいてはAmazonやWalmartがこのリテールメディア市場を上手く捉えて業績を伸ばしており、さらにCookie規制の強化によりマーケティング予算がリテールメディア広告へ流れてくることも予想されています。
アメリカに追随する日本の市場もより成長する見通しであり、当社はリテールメディア市場の拡大を受けてECサイト内の改善や広告機会の提供をするリーディングカンパニーを目指します。
新サービス・機能の開発を継続
2023年8月に、リテールメディア広告エンジン「ZETA AD」の新たなメニューとして、ハッシュタグ連動広告機能の提供を開始しました。
また、サイト内のあらゆる商品から目的別・テーマ別におすすめ商品をまとめて提案できるECキュレーションエンジン「ZETA BASKET」の提供も開始しています。
先程お話ししたように、当社はリテールメディア市場の成長性に大きな魅力を感じています。
これからもハイエンド顧客のニーズをしっかりとキャッチアップしていくために、開発投資を含む事業投資を積極的に行っていきます。
注目していただきたいポイント
やはりリテールメディア市場の今後の成長性に注目していただきたいと思っています。
大前提として、我々は「市場の拡大が無ければ企業は成長しない」と考えています。
また、当社がこのリテールメディア市場に参入して高い成果を残すことができている理由は、これまで積み上げてきた安定的な事業基盤にあると考えています。
今後はハイエンド顧客を中心に、アパレル業界でのノウハウを活かして、再現性の高いビジネスを展開していきます。
投資家の皆様へメッセージ
改めてにはなりますが、投資家の皆様には当社が属する市場の高い成長性と安定した事業基盤に期待していただきたいと考えています。
今後、リテールメディア市場の認知度が一般的になる前に投資していただくと、非常にご満足いただけるのではないかと思います。
また、配当性向も改善しながら投資家の皆様への還元もしていくつもりです。
引き続きご支援の程、よろしくお願いいたします。
本社所在地:〒154-0024東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22サンタワーズセンタービル17F
設立:2005年8月15日
資本金:65,980,000円(2022年6月末現在)
上場市場:東証グロース市場(2014年12月19日上場)
証券コード:6031