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【7035】and factory株式会社 事業概要と成長戦略に関するインタビュー

※本コラムは2024年1月29日に実施したIRインタビューをもとにしております。

and factory株式会社は常識に挑戦し、未来を切り拓く圧倒的品質のプロダクトを提供します。

革新的な製品を通じて人々の生活習慣を変え、非デジタル分野にも革新をもたらし、社会全体をアップデートしていくことを目指しています。

代表取締役社長の青木倫治氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

and factory株式会社を一言で言うと

「日常に&を届ける」

つまり、「人々の生活を豊かにするサービスを届けていく」会社です。

and factoryの沿革

and factory株式会社代表取締役社長 青木倫治氏

創業経緯

2014年9月に、私と現在の会長である小原との2名でand factory株式会社を創業しました。

私たちは元々、サイバーエージェントのグループ会社(現CAM)で勤務しており、そこで培った広告やプロダクトグロースに関するノウハウを活用し、自社のサービスを開発したいと考えたことがきっかけです。

当時は、スマートフォンが普及し始めた頃であり、今後圧倒的にその市場が開花する可能性を感じ、様々なアプリ開発に熱狂的に取り組みました。

具体的には、QRコードリーダーやコンパクトミラーカメラなど、ユーザーが日常で便利に使えるカジュアルなツール系アプリを数多く開発し、アプリ黎明期ということもあり多くのユーザーに使って頂くことができました。

アプリ開発に注力

様々なジャンルのアプリを提供する中で、まず1つ目の転換点はゲーム攻略アプリの開発でした。

当時、「パズル&ドラゴンズ」やミクシィの「モンスターストライク」などが特に人気を集めていました。

これらのゲームの流行に伴い、当社はゲームの攻略情報やユーザー間の情報交換ができるプラットフォームの需要が高まると予測し、様々なゲームに対する攻略情報を提供するtoC向けアプリの開発に乗り出しました。

その結果、非常に人気の高い攻略アプリを提供することができ業績も大きく拡大したため、積極的な人材採用やオフィス拡大など、上場に向けた準備を始めることができました。

IoTを活用したRET事業への参入

その後2016年にIoT事業を立ち上げました。

アプリ事業の拡大を機に次のビジネス領域への展開を模索していた中、IoTデバイスというジャンルに着目をいたしました。

様々なIoT家電を利用するためには、それぞれのメーカーが提供する専用アプリのDLが必要です。

その非常に面倒な点に着目し、「&IoT」という1つのシステムで多様なスマート家電を操作できるアプリを開発しました。

このアプリを導入し、シームレスな宿泊体験を提供する「&AND HOSTEL」という新たなビジネスモデルを展開しました。

これが私たちにとっての2つ目のターニングポイントとなりました。

マンガアプリへの参入

当社の最大の転換点は、toC向けスマートフォンマンガアプリの立ち上げでした。

2017年1月にスクウェア・エニックスと共同で「マンガUP!」アプリを開始しました。

このプロジェクトを皮切りに、マンガ事業を中心に急速に拡大していきました。

当社は既にゲーム攻略アプリを通じて蓄積されたノウハウ、アプリの運用、開発、マネタイズに関する深い知識を持っています。

そこで、「マンガUP!」の成功を足掛かりに、様々な出版社へアプローチし、マンガアプリ市場への参入を支援する協業型ビジネスモデルを構築しました。

そして年商25億円の売上を記録するtoC向けアプリ事業部へと成長し、最も重要なターニングポイントとなりました。

現在はエンタメ領域全般に幅を広げ、マンガに次ぐ身近なコンテンツである「占い」に着目し、順調に業績を伸ばしています。

and factory株式会社 より引用

and factoryの事業の概要と特徴

概要

当社は現在、3つの事業を展開しています。

1つ目はマンガアプリを中心に展開するマンガ事業で75%の売上を占めています。

2つ目は成長性が非常に高いエンタメ事業です。

エンタメ事業では主に占いサービスを提供しており、21%の売上を占めています。

そして3つ目は宿泊施設である「&AND HOSTEL」を運営するRET事業です。

事業における優位性

大手出版社との深い繋がり

当社の最大の強みは、スクウェア・エニックス、小学館、集英社、白泉社などの大手出版社と直接提携し、共同でアプリを運営しているところです。

これらのアプリでは、特定のマンガ雑誌や作品の最新話を独占配信しています。

例えば「ヤングジャンプ」に掲載されている「キングダム」や「【推しの子】」などの人気作品は、毎週木曜日の0時に最新話を配信しており、どこよりも早く当社運営のアプリでのみ読むことができます。

これにより、連載を追いかける熱心なファンを引き付け、非常に高いエンゲージメントを実現しています。

作品の魅力を深める工夫

当社が提供するマンガアプリは、過去に開発してきたゲーム攻略のノウハウが活かされています。

例えばコミュニティの活性化にも力を入れており、作品ごとに専用のコメント掲示板を設け、ユーザーが積極的に交流できる環境を整備しています。

この掲示板では、リアクション機能やコメントのソート機能など、ユーザー同士のコミュニケーションが活発になるような工夫がされています。

and factory株式会社 第二次中期経営計画 2024年8月期-2026年8月期 より引用

リアル×デジタルでコト消費を加速

当社の各事業における特徴は、リアルだけでもデジタルだけでもなく両方を掛け合わせた事業展開を行なっているところです。

例えば当社が運営するマンガアプリでは、作家の方々が雑誌での連載と同様の感覚で作品を提供しているため、独自のキャンペーンや無料施策などの特別なプロモーション活動を実施することが可能です。

また、RET事業では単なる宿泊施設の運営ではなく、IP等を活用したイベント空間としての提供を行なっています。

特にインバウンド顧客の需要が高く、日本マンガ文化の体験等、宿泊に付加価値を加えた様々な体験を提供しています。

株式会社and factory より提供
株式会社and factory より提供

and factoryの中長期の成長イメージとそのための施策

占い事業へ注力

これから当社が注力していく占い事業を語る上で、まず業界環境についてお話しします。

まず占い業界は、リアルとデジタルを合わせた市場規模が数兆円と推定されており、その中でもデジタル占いのマーケットは約300億円程度とされています。

日本では占いに対する関心が高く、性別を問わず広い層に受け入れられていますが、デジタル占いの市場はまだ十分に開拓されていないと考えております。

そこで当社はより広い層、特にライトユーザーまでをターゲットに事業展開することで、市場の拡大を目指しています。

またマンガアプリではユーザー数の多さに対して、一人当たりの収益性(ARPU)が低いという課題がありますが、占い事業においては、少ないユーザー数でも高い単価を実現できます。

例えば、ソーシャルゲーム等は開発するのに多大なコストと時間がかかりヒット作となるかどうか等の不確定要素が大きいということに対し、占い事業は比較的開発期間が短く、費用やリスクの低い分野であったため占いサービスを始めることとしました。

主なターゲット層は特に30代から50代の女性で、マンガアプリとの顧客シナジーも見られます。

今後はマンガアプリから占いサービスへの送客や、マンガアプリ内での占いコンテンツ提供など、新たな事業拡大も見込めます。

and factory株式会社 第二次中期経営計画 2024年8月期-2026年8月期 より引用

新たな分野への進出

当社は今後、IPを活用したビジネスも展開していく方針です。

例えば、Vtuberと連携しファン向けに特別な宿泊体験を提供するイベントを行いました。

このプロジェクトでは、ファンの高い熱量とコト消費への購買意欲を背景に、通常の宿泊料金よりも高い価格設定が可能であり、ホステルの収益性を大幅に向上させることができました。

また、セプテーニ・ホールディングス社と資本業務提携を結んでおり、その協力関係を活かし、新たな分野への進出や既存事業の成長を加速させてまいります。

特に、マンガ事業やIP活用においては、版元の持つ豊富なIPを様々な商材と組み合わせることで、新たな販売機会を創出することが可能です。

さらに、今年はマンガやIP業界にとって海外展開が加速する可能性があり、コロナウイルスの影響による巣ごもり需要を受けて日本のマンガIPが世界的に注目を集めている現状を踏まえ、海外市場への進出も積極的に進めていく予定です。

注目していただきたいポイント

当社のマンガ事業において、約1,000万人という膨大なユーザーを持つ点に注目していただきたいです。

このユーザーから得られる様々な読書データ、課金傾向、閲覧傾向、閲覧速度など は、紙のメディアでは計測が不可能でしたが、デジタル化しデータを蓄積しながら分析することを可能にしています。

またデータの分析を行う企業は多くありますが、約1,000万人という大規模なデータベースを持ち、それをビジネスの基盤として活用できる企業は限られています。

当社のような規模でこれだけのデータを有する事業者は珍しく、この点が当社独自の強みと言えます。

これにより、新規事業の機会を見出し、さらなる成長を目指しています。

投資家の皆様へメッセージ

当社は、従来の枠組みに囚われずに新しいビジネスモデルを創出することを強みとしています。

特に、DXが取り入れられていない占い業界への参入や、ホステル事業におけるIPやVtuberとのコラボレーションが成功例です。

我々は今の時価総額に満足していません。

新しい事業を積極的に展開し大きく成長していきたいと思いますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。

and factory株式会社

本社所在地:〒153-0042 東京都目黒区青葉台3-6-28住友不動産青葉台タワー9F

設立:2014年9月16日

資本金:801,818千円(2023年11月末時点)

上場市場:東証スタンダード市場 (2018年9月6日上場)

証券コード:7035

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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