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【5259】BBDイニシアティブ株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年2月15日に実施したIRインタビューをもとにしております。

BBDイニシアティブ株式会社はクラウドインフラから始まり、マルチテナント型のサービスへと事業を拡大してきました。

その後、中小企業の経営課題を解決するためのAIとDXを活用したサービスを提供する方向へとシフトしています。

代表取締役社長グループCEOの稲葉雄一氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

BBDイニシアティブ株式会社を一言で言うと

中小企業に人手不足を解消するサービスとAIを活用したDXを提供している会社です。 

BBDイニシアティブの沿革

BBDイニシアティブ株式会社代表取締役社長グループCEO 稲葉雄一氏

創業経緯

当社は元々、クラウドサービスのインフラ事業を目指して創業しました。

2006年から2007年にかけて、テレビとインターネットの融合が進み、テレビCMから直接インターネットへと視聴者を誘導する技術が求められ、これが当社の出発点です。

我々は、テレビCMのピーク時に突発的に発生する大量のアクセスに対応できるサーバーインフラの必要性を感じ、その実現に向けて技術開発を進めました。

その結果、アクセス量に応じてサーバーのリソースが自動で調整される、仮想化技術に基づくクラウドサービスの開発に成功しました。

クラウドサービスのパイオニアとしての地位の確立

この技術を基に、マルチテナント型のクラウドサービス「Knowledge Suite」を開発し、2010年から提供を開始しました。

これは、複数の顧客が同一のインフラ上で独立したサービスを利用できるというもので、リソースの効率的な利用を可能にしました。

当時はまだクラウドという概念が一般的ではなかったですが、私たちの技術はその後のクラウドコンピューティングの基礎となりました。

特に、津市の教育委員会との契約が大きなターニングポイントとなり、無料サービスの提供を通じて、インバウンド顧客を引き寄せる仕組みを確立しました。

この成功を機に、クラウドサービスのインフラ提供に加え、アプリケーションの開発にも注力していくことになりました。

M&Aと事業再編、ホールディングス化

2018年5月と9月にエンジニアリングサービス会社2社を買収し、株式会社アーキテクトコアを設立しました。

2021年3月にAI CROSS社からM&AしたDXクラウド社はブルーテック株式会社に吸収合併しました。

そして2023年4月3日にナレッジスイート株式会社と株式会社DXクラウドが合併し、ブルーテック株式会社としてリスタートしました。

この事業再編は、成長性の高い事業と「Knowledge Suite」以外の成長にも目を向けてもらうこと、セグメントを目的別に再編し、明確なKPIと課題の特定を可能にすることを目指して行われました。

現在はBBDイニシアティブの子会社となりホールディングス化しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

BBDイニシアティブの事業の概要と特徴

概要

BBDイニシアティブグループでは大きく4領域に分けてサービスを展開しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

そして、ビジネスモデルとしてはSaaSを提供して収益を上げるDXセグメントと、システムエンジニアを派遣して派遣料・委託料を受け取るSESを中心としたBPOセグメントに分けられます。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

セールステック

中堅・中小企業を中心に名刺管理や営業支援、テレワーク支援などのビジネスに必要なグループウェアをシームレスに統合したSaaSプロダクトの「Knowledge Suite」を提供しています。

また、ビジネスチャットサービスの「InCircle」、認証一括管理システムの「ROBOT ID」、業務統一化ツール「Shelter」を提供しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

マーテック

独自の企業データを活用して、営業・テレアポ・マーケティング対象の企業リストを低コストで利用できる営業リスト作成サービス「Papatto ぱぱっと」を提供しています。

このサービスは約150社での利用実績があり、多くの企業に活用されています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

タレントテック

サブスクリプションで多くの有名人タレントの写真素材を活用し、企業のブランディングやPRを支援する日本初のタレント広告体験サービス「ビジネスブースト」を提供しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

ディープテック

クラウドやAI、IoT、ビッグデータなどWEBアプリケーション技術を習得したITエンジニア派遣によるシステム開発・保守・運用サービスの提供を行っています。

また、企業のマーケティング課題・システム課題を解決支援するWEBマーケティング支援、及び各種システムの保守も行っています。

事業における優位性

安定的なストック収益の確保

当社のDX事業の主な収益はSaaSによるサブスクリプションで構成されています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

サービスとしては先ほどご説明したように他社と比べて低価格で、様々な中小企業向けのSaaSを展開しています。

当社のビジネスはBtoBであるため、時間と共に価値あるデータが蓄積され、企業にとって重要な資産となり、簡単にはサービスから離れることができません。

例えば、メールシステムをOutlookからGoogleに切り替えることを考えた場合、膨大なデータを移行するのは非常に手間がかるため、既存のサービスを続けることを選びます。

特に、長期間にわたってサービスを利用している場合、そのデータを整理し新しいシステムに移行することは困難です。

そして解約率は平均して1.1%から1.5%と低く、ターゲットとしている中小企業の解約は財務的な問題が発生した場合など、避けられない状況に限られることが多いです。

このため、適切な価格で提供しSaaSモデルの利点を活かしながら低い解約を実現し、安定的なストック収益を確保しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

効率的なエンジニアの活用

BPOセグメントの主な収益はSES(システムエンジニアリングサービス)で構成されていますが、このビジネスモデルには当社の特徴的な強みがあります。

当社のアーキテクトコア社は100名以上のエンジニアを雇用しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

そしてブルーテック社等でサービスを開発する際には、社員ではなくSESとして派遣しています。

一般的にはサービスやプロダクトの開発、開発・保守・運用のフェーズによって必要なエンジニアの人材が異なります。

そこで開発人材が流動的に動くことが望まれますが、保守や運用まで担当させられるケースもあり、スキルアップを図りたいエンジニアは離職していく傾向にあります。

このIT人材の不足や効率的な人材の活用を実現するために、SESを保有している強みが発揮されています。

例えばブルーテック社でサービス開発に携わり、プロジェクトが完成した場合には外部の大手企業のプロジェクトに派遣することも可能です。

これにより当社はスキルの高い技術者を派遣し高い収益を得ることができ、エンジニアは多様な経験を積みながら、同社内で新たなキャリアを継続できるため離職率を低減させることにも寄与しています。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

BBDイニシアティブの中長期の成長イメージとそのための施策

潜在市場規模(TAM)

日本の中小企業340万社のうち、従業員数999人以下の法人企業170万社を対象としており、メインターゲット市場の規模は国内で7500億円です。

しかし、現在のBBDイニシアティブグループのDXサービスの利用企業数は3,608社で、目標市場に対するシェアは0.21%です。

今後、新サービス開発とクロスセルサービスのM&Aを通じて中小企業、中堅企業のDXサービス導入を促進し、ARPA(1企業あたりの平均収益)を増やすことを目指します。

BBDイニシアティブグループ事業戦略 より引用

「営業活動の自動化」「単純作業の自動化」「業務管理の自動化」の推進

労働人口の減少が続く中、中小企業は売上・受注の停滞や減少という経営課題に直面しています。

当社の課題は「営業活動の自動化」「単純作業の自動化」「業務管理の自動化」を通じて、DXの推進を目指し、中小企業の生産性向上を図ることです。

特に、営業活動の自動化では、見込み顧客リードの獲得から商談アポイント獲得までのプロセスをデジタル化していきます。

またブーストマーケティング社とネットビジネスサポート社が提供するマーケティングデータや、AI技術を活用した類似企業抽出エンジンにより、効率的なインサイドセールス活動をサポートします。

そしてブルーテック社の提供するサービスで、顧客管理の自動化と営業内勤業務の効率化を実現します。

これらの取り組みにより、場所を選ばない柔軟な働き方を支え、中小企業の生産性と競争力の強化に貢献します。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社は事業再編と組織の最適化により、中小企業が直面する経営課題に対して、効果的に対応できるサービスを提供しています。

そして我々の目標は、中小企業支援を全方位で展開し、さまざまなビジネスチャンスをクロスセルによって生み出すことです。

今後、事業再編によって目的を持ってスピードを重視しながら事業拡大に努めていきますので、新たなサービスの展開にご注目ください。

BBDイニシアティブ株式会社 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

労働人口が大幅に減少する2060年という未来は遠いように感じますが、当社が今後5年間で市場の10%、20%にサービスを提供できなければ、中小企業の倒産が進むと考えています。

そのためには、我々のサービスがどのように中小企業を支援するのかを広く伝える啓蒙活動が不可欠です。

投資家の皆様には、私たちの取り組みを理解し、少しでも支持していただけることを願っています。

BBDイニシアティブ株式会

本社所在地:〒105-6238 東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー 38階

設立:2023年4月3日

資本金:700,696,800円(2023年4月時点)

上場市場:東証グロース市場 (2023年4月3日上場)

証券コード:5259

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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