※本コラムは2024年2月9日に実施したIRインタビューをもとにしております。
株式会社Fusicはクラウドインテグレーション、AI、IoTといった先進技術領域、さらには量子コンピューティング、宇宙分野などの新市場開拓に取り組み、テクノロジーを総合的に提供しています。
代表取締役社長の納富貞嘉氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。
株式会社Fusicを一言で言うと
技術と社会の架け橋となり、課題解決に貢献するテクノロジーカンパニーです。社名であるFusicは、Fusion of Society,IT and Culture の頭文字に由来しています。
Fusicの沿革
創業経緯
学生の頃から起業しようとぼんやりと考えていましたが、学生のうちに起業するか、先に社会人経験を積んでからにするか迷っていました。
就職活動をして、将来自分が経営者になることを見据えて、ハードワークが期待できる実力主義の外資系コンサルやSierといった会社を受けて、内定をいただきました。
その後、内定者懇親会に参加した時、数百人もの同期が集まっていましたが、自分がその大勢の中の一人になることに違和感を覚え、起業しようと決心しました。
大学では、情報システムを学んでおり、ITが社会にもたらす影響に強く可能性を感じ、学生時代から親しかった濱﨑と一緒にFusicを設立しました。
新技術への積極的な投資
私が大学に入ったのはインターネットが普及し始めた1997年頃で、情報系を専攻していたこともありメールやウェブの進化など、テクノロジーの変化を身近に感じながら過ごしていました。
この経験から、時代を先取りするように新技術の活用や研究を行ってきました。
例えばコンピューターの処理能力が増大していく中で、パソコンなどの未使用リソースを活用するアイデアにも早くから注目し、2010年頃からクラウドコンピューティングのサービスとして取り組みを始めました。
また、2017年頃からAIや機械学習に取り組んできたことで、現在その技術力を活かしたサービス提供が可能になっていると認識しています。
上場の経緯や展望
2023年3月に当社は東証グロース市場と福証Q-Boardに新規上場しました。
我々のビジネスは、お客様のシステム基盤の整備、大切な情報資産の管理、新規事業支援など社会的意義のある仕事だと考えています。
今後、より多くのお客様と仕事をしていくうえで、社会的信頼が必要になると考え、上場を選択しました。
今後は、日本だけに留まらず、海外にも我々のITソリューションを届けるべく日々奮闘しております。
Fusicの事業の概要と特徴
概要
主にクラウドインテグレーションサービス、データインテグレーションサービスをはじめとした、デジタルトランスフォーメーション事業を展開しています。
クラウドインテグレーションサービスではAWSを活用したサーバーインフラの構築・運用から、AWSのマネージドサービス1を活かしてソフトウェア・インフラ・ネットワークが一体となった信頼性の高いシステムを提供しています。
データインテグレーションサービスでは、AIやIoT等の技術を駆使してデータの収集や解析を高度に行い、クライアントの業務効率化や企業価値向上をトータルでサポートしています。
また、自社プロダクトとして、360度評価に特化した人事評価サービス「360(さんろくまる)」と、学校向け連絡サービス「sigfy (シグフィー) 」を提供しています。
事業における優位性
新技術に取り組む土壌
クラウド技術(AWS)やAI等、市場の黎明期から研究・事業化を行うことで先行優位性を確保してきました。
また当社ではエンジニアが自由な環境で働けるよう様々な制度を設け、これが技術革新への積極的な取り組みの基盤となっています。
一般的に、プログラミング言語やフレームワークは、効率的な開発のために社内で統一されがちですが、エンジニア自身が興味を持つ技術を学び、自主性を持って仕事をすることで新しい技術が次々と生まれるサイクルを実現しています。
技術結合力
当社が拠点とする福岡という土地柄もありますが、顧客から多岐にわたる技術的な要望が寄せられてきました。
地方では、技術に特化したIT企業は多くありません。そうした環境では、AIやクラウドコンピューティングといった特定の技術に特化するのではなく幅広い技術を掛け合わせ、顧客にとっての最適解を提供できる能力が不可欠です。
このような環境では、当社の強みとなる技術結合力をさらに高めることができると考えています。
また、社内でのコミュニケーションは非常に活発で、業務知識やプロジェクトの経験を共有するための社内ブログでは、社員が自発的に記事を発信し、現在5,600件以上の記事が蓄積されています。
このように、課題や新しいアイデアを自発的に発信し、共有する文化があることも当社の技術結合力という強みに繋がっています。
展開力
我々は大学などの学術研究機関や企業の先進技術分野の研究開発部署に対して、高い専門性と技術力を武器に伴走し、先進技術に関する事例やノウハウを蓄積し、またその技術を社会に展開し、標準化することを意識しています。
たとえば、当社は学術研究機関等の研究を支える技術的なインフラを提供していますが、学術研究分野は、分野ごとに必要とされる技術がさまざまで、かつ高度な知識や高い技術力が求められる分野でもあります。
しかし、当社には新しいことへの好奇心と学習意欲が旺盛なエンジニアが多く、各プロジェクトの独自ニーズや研究内容を迅速に理解し、それに応じた最適な技術的サポートを提供することができます。
また、そこで得た先進技術を当社の技術結合力を活かして、標準化し全国の大学・自治体や九州・福岡の地域企業を中心に展開しています。
そして他社にはない先進的な技術をいち早く提供し、様々な業種・エリアに対してDX化を推進しています。
Fusicの中長期の成長イメージとそのための施策
データインテグレーションサービスの拡大
我々の事業はIT市場の構造変化と密接に関連しています。
特にAIのような技術の活用が進む中で、これらの技術を使って高い価値を提供できるデータ人材やAIスペシャリストの育成に力を入れていきます。
このような人材は、事業の付加価値の向上に直結しますので、ここに注力していくことで、持続的な成長を遂げていきたいと考えています。
新たな技術領域への進出
我々は常に進化し続けなければなりません。クラウドコンピューティングは既に業界をリードし、今後も普及は加速していくと考えています。しかしそれが「普通」の技術になる前に、新技術へと目を向けることが必要です。
特に注目しているのは、量子コンピューティングと人工衛星データの利活用です。量子コンピューティングの実用化はいつになるか未知数ですが、実現した際の影響力は計り知れません。
また、宇宙関連技術のデータの利活用に関しては宇宙ベンチャーの盛り上がりや、JAXAが推進するプロジェクトなどを見ると、大きなチャンスだと考えています。
これから5年後、10年後には全く違う技術が主流になっている可能性を考え、常に最先端を追い求め、規模の拡大を図っていくことが成長戦略の核です。
セールス・マーケティング人材の拡充
これまで我々のビジネスは主に、お客様から直接のお問い合わせ、既存のお客様からのご紹介やリピートによって成り立っていました。
しかし、成長分野である量子コンピューティングや宇宙関連事業などへの注力を考えると、より積極的なアプローチを取っていく必要があると感じています。
そのためにもセールスやマーケティングにおいて、当社の強みや提供する付加価値を明確に伝えられる人材が不可欠と考えるため、セールス・マーケティングの人材の拡充にも注力していきます。
新たなエリアへの進出
今後3~5年のスパンで、海外市場から一定の収益を得ることを計画しています。
海外のエリアについて、お話しできる部分はまだ多くはありませんが、グローバル人材の確保も積極的に行い、新たなエリアへの進出に挑戦します。
注目していただきたいポイント
FusicのMission(存在意義)である『人に多様な道を 世の中に爪跡を』と、Vision(あるべき姿)である『個性をかき集めて、驚きの角度から世の中をアップデートしつづける。』の実現、そして、創業から20年の変化を反映した新たなブランドイメージの構築に向けて、“Fusicらしさ”と“これからのFusic”を表現すべくコーポレートロゴを刷新いたしました。
新しいロゴデザインは、社名の頭文字であるFをベースに、私たちが世の中に残す『爪跡』、そして未来に向かって突き進んでいく様子を表現しました。
二つの飛行体は、テクノロジーの力で成功を目指すお客様と、そのために伴走するFusicの姿でもあります。
飛行体の胴体の角度は2003年創業、2023年上場の沿革に基づいて23度とし、「驚きの角度」にちなんだ遊び心を加えました。
私たちはこれからも、社会とITの架け橋として、多様な個性をかき集め、常に新しいテクノロジーで世の中をアップデートしてまいります。
投資家の皆様へメッセージ
我々はこれからも常に新しいIT技術を積極的に探求し、発見した価値を社会に還元していくことで社会に貢献していきます。
ITの分野は、過去数十年で指数関数的に成長してきましたが、まだその潜在能力は十分に発揮されておらず、現代社会において、ITはもっと多くを成し遂げられると私たちは考えています。
投資家の皆様には、当社の新技術への挑戦に期待していただきご支援していただけると嬉しいです。
本社所在地:〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神4-1-7 第3明星ビル6F
設立:2003年10月10日
資本金:235百万円(2023年6月時点)
上場市場:東証グロース市場、福証Q-Board (2023年3月31日上場)
証券コード:5256
- AWS Managed Services (AMS) は、AWS を大規模に採用し、より効率的かつ安全に運用するのに役立つサービス。標準の AWS のサービスを活用し、お客様の環境とアプリケーションに合わせた特殊な自動化、スキル、および経験を備えたオペレーションベストプラクティスのガイダンスと実行を提供している。また、オペレーションの基準を引き上げ、俊敏性を制限することなくリスクを軽減するのに役立つ積極的、予防的、検出的な機能も取り揃えている。
出典:AWS Managed Services (お客様に代わりAWSを運用) | AWS ↩︎