※本コラムは2022年11月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。
インターネットが生活のインフラとして当たり前になるのと同時に、インターネットを用いた決済はこれからも拡大していきます。
株式会社ROBOT PAYMENT代表取締役の清久健也氏に、決済領域における事業展開の成長性について伺いました。
株式会社ROBOT PAYMENTを一言で言うと
インターネット決済の会社です。
決済ビジネスを中核にして、そこにサブスクリプション事業者の顧客管理や定期課金システムを追加する「サブスクペイ」と、請求管理といって、請求や集金、消込、催促などの各業務をクラウドで自動化する仕組みを追加する「請求管理ロボ」など、決済にプラスアルファの機能・サービス・ベネフィットをどんどん追加している会社です。
創業の経緯
電通に入社したのが1993年で、当時はまだ「スタートアップをやろう」という人は少数派でした。起業した人ももちろんいましたが、その多くは学生サークルの流れで、企画会社のようなものを立ち上げる、といったイメージが強かった時代です。
そういう時代でしたので、会社を立ち上げてもベンチャーキャピタルなどが積極的に投資してくれることもなく、本当にリスクしかないような状況下ではありましたが、やはりゼロイチで事業をつくり、それをスケールさせていくのは楽しいだろうという想いが勝りました。
あと、2000年にサイバーエージェントが東証マザーズ(現、東証グロース市場)に株式を上場させたことも後押しになりました。単純に、カッコいいと思ったのです。自分でも、何かそういうカッコいい、かつチャレンジングなことをやってみたいという気持ちが強くなり、起業しようと思うようになりました。
創業したのは2000年ですから、まだインターネットでモノを買うという習慣があまりなかった時代です。
ただ、インターネットが普及していくにつれて、インターネット上で決済する時代は確実に来るし、かつ長い目で見ても伸びていくのは必然だと考えていました。その漠然とした成長イメージに賭けて、決済ビジネスで起業しようと考えました。
また決済というと、金融の領域でも裏側を担うものですから、どことなくブラックボックスであり、かつお金の流れを扱うので、トラブルが生じた時にこちらが被るリスクも非常に大きなものになります。
しかも、企業と消費者、あるいは企業と企業の間に生じる決済を扱うので、万が一のことがあってはいけません。セキュリティは万全にしておく必要があるなど、面倒なことが多かったので、誰もこの領域に手を出そうとはしませんでした。それほど難解かつ複雑な世界だと思われていたのです。
でも、だからこそチャンスだと思いました。誰もやりたがらない事業であれば、競合がどんどん参入してくることもありません。競合がいなければ、マーケットをどんどん取って高い成長を実現できる可能性が高い。そう考えたのも、決済という領域で起業しようと考えた理由のひとつです。
創業して、まず決済から事業をスタートさせたのですが、売上を増やすためには、決済の金額に加えて、決済の回数を増やしてもらいたい。つまり企業が提供する商品・サービスを購入、あるいは利用する消費者が増えれば、自動的に決済の金額と回数が増えるので、私たちの売上増加にもつながっていきます。そのため、お客様である企業が消費者に提供する商品・サービスの拡販につながるようなマーケティング事業を扱うようになりました。
そして、インターネット決済事業とマーケティング事業を商材にして、海外に進出しました。
まずはベトナム進出をし、中国の上海、シンガポール、インドネシアというように展開したのですが、海外展開は、実は失敗に終わりました。
まずマーケティングに関しては、インターネット決済が絡まない売上、つまり、リアルのエステ、化粧品購入といった部分ばかりが伸びていったのです。これでは、私たちが提供するインターネット決済とのシナジーが期待できません。
加えて決済を取り扱う以上、銀行などと接続しなければならないのですが、海外は法律が厳しくて、なかなか外国企業が決済事業に参入できる状態ではありませんでした。
そこで2012年に原点に立ち返ろうと考えて、マーケティング事業も、海外展開もすべてやめました。
そして、私たちがもともと得意としていた決済領域、そのなかでもサブスクリプション事業者が必要とする決済サービスに強みがあったので、その領域に特化して、国内をベースにして売上を伸ばしていこうと考えました。
それまで、私たちが提供してきたサブスクリプション事業者向けの決済サービスは、基本的にBtoC領域で、BtoB領域の決済サービスは扱っていませんでした。
ただ、やはりそこをしっかりやらなければ、インターネット決済の会社であるとは言えないと思ったので、BtoB決済をDX化するクラウドサービス(請求管理ロボ)を新たにスタートさせました。それがきっかけで、事業が大きく伸びたと思います。
事業内容について
当社のプロダクトは2つあります。ひとつは「サブスクペイ」というもので、サブスクリプション事業者の顧客管理と定期課金を行うものです。
これは一般消費者向けにサブスクリプションサービスを提供している事業者向け、つまりBtoCビジネスを行う事業者向けのものです。
このサブスクペイに加えて、2022年9月に新しくリリースしたのが、「サブスクペイProfessional」と呼ばれているサービスです。こちらは顧客管理と定期課金だけでなく、売上の拡大に必要な機能として、マーケティングに必要なリアルタイム分析機能、LINEとの連携による顧客接触、さらには解約防止などの機能も付加したものです。
つまり、従来のサブスクペイは顧客管理と決済しか出来ませんでしたが、Professionalを導入することによって事業者が売上の最大化を目指せるようになりました。
もうひとつのプロダクトは「請求管理ロボ」で、こちらはBtoBビジネスを行う事業者を対象にしたものです。
企業の経理担当者は従来、エクセルなどの表計算ソフトを用いて、手作業で請求・消込・催促の作業を行っていましたが、これらをすべて自動化し、請求管理業務をひとまとめにして行えるクラウドサービスです。
これを利用すれば、面倒な作業をすべてシステムに任せることができるので、オペレーターを1人付けておくだけで、各種請求から現金回収までこなすことができます。
また、請求管理ロボのオプションに「請求まるなげロボ」というサービスもあります。これは請求管理ロボを使うためのオペレーター1人も担当させられないというような、人材不足の法人向けサービスといっても良いのですが、要は与信から請求書発行、集金、消込、債権督促までの請求管理業務をすべて当社で代行するものです。
かつ売掛債権については100%支払保証もつけています。
中長期の成長イメージとそのための施策
私たちの業績は契約件数、単価、解約率によって左右されますが、これらすべてが大事です。つまり契約件数を増やし、顧客単価を引き上げ、解約率を出来るだけ最小限に止める。
現状においては、継続的に積み上がっていく収益、つまりリカーリング収益比率が96.2%と高く、かつ月次解約比率は国内SaaS企業の平均値である1.20%を大きく下回る0.58%を実現しています。
結果、2000年に創業して以来、リーマンショックや東日本大震災、そして直近ではコロナ禍という、外部環境の大きな変化がありましたが、売上が落ちることはなく、安定的に推移してきました。も
ちろん、祖業であるサブスクペイも安定的に伸びていますが、2015年から提供を開始した請求管理ロボが大きく伸びており、2017年の売上が7500万円であるのに対し、2021年のそれは13億9500万円まで増えています。
安定した業績推移を維持できているのは、私たちのサービスを使ってくださっているお客様が、ポートフォリオのように多様な業種で構成されていて、どこかの業種が伸び悩んでもまた別の業種が伸びてくるからだと考えています。
また2022年中には大手企業の請求管理DXやBNPL(後払い決済)などのサービスも展開していきます。多様な決済サービスを、多様なお客様に提供することによって、これからも安定した業績成長を志向していきたいと思います。
投資家の皆様へメッセージ
一人でも多くの投資家の方々から信頼していただけるように、透明性や誠実さを大切にしていきたいと思います。
会社の成長にしても、数字を追い求めるためだけの短絡的なことはせず、着実に信用を積み重ねていけるような経営を目指します。その点を評価していただけたらと思います。
本社所在地:東京都渋谷区神宮前6-19-20 第15荒井ビル4F
設立:2000年10月
資本金:222百万円(2022年11月アクセス時)
上場市場:東証グロース(2021年9月28日上場)
証券コード:4374