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【3393】スターティアホールディングス株式会社代表取締役社長 兼 グループ最高経営責任者 本郷秀之氏「事業内、事業間のクロスセル戦略で中小企業の生産性向上を支援する」

※本コラムは2022年11月18日に実施したIRインタビューをもとにしております。

祖業のITインフラ事業から、2018年にデジタルマーケティングツール「クラウドサーカス」の展開へと大きく舵を切ったスターティアホールディングス株式会社。代表取締役社長兼グループ最高経営責任者の本郷秀之氏に、会社の沿革から紐解く同社の強みと今後の戦略をお伺いしました。

目次

スターティアホールディングス株式会社を一言で言うと

攻めのDXと守りのDXの二つ顔を持ち、中小企業の生産性向上というミッションに取り組む会社です。

攻めのDXとはデジタルマーケティング事業のことで、主に人を使わず企業の売上を上げることを支援します。また、守りのDXとはITインフラ事業でのことで、業務効率化や経費削減により、利益を伸ばしていくことを支援しています。

創業の経緯

創業は1996年で、まだITやデジタルマーケティングという言葉もない時代でした。もともと私は全く別の業界にいたのですが、米国におけるAT&Tの分割等による通信の民営化、日本においても通信の自由化を背景とする民営化により市場への競争原理の参入に感銘を受け、通信業界に転職したのです。ですが、入社した会社は乱脈経営を原因に潰れてしまい、その当時の部下と設立したのが有限会社テレコムネット(2004年にスターティア株式会社へ商号変更)というわけです。

創業から現在までを振り返りますと、絶えず社内のイノベーションとピポットの連続を続けてきた26年間であったといえます。当初は市街電話および国際電話の代理店からスタートしましたが、競争原理の働く市場で料金が減少傾向にあり、妙味が出しにくくなっていきました。そこで、OA機器の販売に移り、さらにその保守サポートへと展開していきます。また、その後はシステムインテグレーション、ホスティングサービス、web制作ソフト、AR、MAツールと事業を多角化していきました。

ここ最近は特に、事業モデルが陳腐化するのがとても早いと思います。マーケティングの常識的には、とある事業の誕生から衰退までのサイクルは10年と言われていましたが、最近は3、4年で回ってしまうこともざらにあります。言わば、常に事業の天井が見えている状態なのです。

当社は第二、第三の事業を人材・組織・プロダクトのバランスを保ちながら同時に走らせることを常にやってきましたし、まさにこのような変化の時代にこそ強みを発揮できると考えております。

多角化しておりましたこれらの事業は、2018年のタイミングで資金と開発、および広告を集約させ、社名もこのタイミングで変更し、持株会社体制に移行いたしました。市場動向を捉え、デジタルマーケティングの方向に大きく舵を切るという経営判断のもと行ったことです。

スターティアホールディングス株式会社 2023年3月期 第2四半期 決算補足資料 より引用

投資家の皆様からすると、ITインフラ事業とデジタルマーケティング事業を展開する類似企業は他になく、なかなか我々を評価するのが難しいかもしれません。ですが、まさにこれが当社の唯一無二の特徴であります。イメージとしては、大塚商会様の10分の1の規模の会社と、サイボウズ様の5分の1の規模の会社を二つ持っているのが当社というわけです。そしてそのような上場企業は他にはおりません。

ただ、注目していただきたいのは、デジタルマーケティング事業だけでも既に売上が約30億円弱に上っているという点です。我々は、何も急に当事業を開始したのではありません。事業を多角化していく中で、すでにお取引先様は多くいらっしゃいました。当社の各サービスツールに「クラウドサーカス」という総称をつけ、各ツールを機能連携したことで、お客様自身がシナジーの期待できる複数のツールを選択・利用する仕組みを作ることを狙ったのです。

結果として、当社ツール群でデジタルマーケティングを全て賄える体制が整っており、ARRも年率成長20%前後の実績を継続しております。顧客基盤となるITインフラ事業を持ち、かつ利益を出し続けている我々の強みを、当社の沿革からもご理解いただけばと思います。

事業内容について

デジタルマーケティング事業とITインフラ事業の二つのセグメントに分かれます。

デジタルマーケティング事業で提供する「クラウドサーカス」の特徴は「安価で簡単に使いこなせる」という点です。インターネット上でのサービスに付加価値が移る中、DX化を進めなければ今後会社を存続させていくことは難しくなっています。しかし、国内で99.7%の割合を占める中小企業やその代表者にはITの知識がほとんどありません。

ボタンを押せばお湯が沸くといくようなシンプルな機能を持たせた、まさに「MAツールのT-fal(ティファール)」を提供しているのが当社というわけです。昨年までは大きな投資フェーズにおりましたが、広告としてテレビCMを用いたのもターゲットが中小企業の代表だったからです。結果として認知を高めることにも成功しております。

また、先ほども申し上げました通り、「クラウドサーカス」という名称をつけたのは最近のことですが、事業自体は十数年前から既にあり、国内ではトップシェアを誇るほど多くの顧客層を抱えております。ですので、この顧客層に対して無料で使えるフリーミアム戦略と「Product-Led Growth」と「Sales-Led Growth」を組み合わせた戦略により、顧客獲得パイプラインを設けることで、サービス内で複数商材を活用していただくことに、足元は注力していきます。新型コロナウイルス感染症をきっかけにインサイドセールス部門とカスタマーサクセス体制の強化も実施いたしましたが、このような社内の人員増強やプロダクト開発のスピード感も、非常に重要になってくると考えております。

スターティアホールディングス株式会社 2023年3月期 第2四半期 決算補足資料 より引用

また、ITインフラ事業では「守りのDX」のパートナーとしてOA機器サービスやネットワークの保守管理、セキュリティのサポートを行っております。当事業の強みはその守備範囲の広さにあります。我々のように、コピー機・IP電話・UTM・セキュリティスイッチ・光回線・電力・RPAをすべて扱う会社は他におりません。

現時点でのITインフラ事業のストック売上高は既に約60億円ほどですが、デジタルマーケティング事業と同様に、事業内でのクロスセルを通じさらに拡大させていく方針です。また、当事業を軸にしっかりとした財務基盤を整えていることが、デジタルマーケティング事業に思い切り投資をできる理由の一つでもあります。

スターティアホールディングス株式会社 2023年3月期 第2四半期 決算補足資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

当社が抱える多くの中小企業の皆様への、ITインフラ事業およびデジタルマーケティング事業のクロスセルに注力していきます。また、中長期には両事業間でのクロスセルも進めていきます。

一口にクロスセルと言ってもこれを達成するのは容易ではありません。その点、当社はITインフラ事業で中小企業のクライアント様と近い関係を築いており、まさにこれが戦略を実現できる所以でもあります。

デジタルマーケティングの事業に大きく舵を切るという経営判断をしましたので、投資家の方の中には、この事業だけで売上が上がっていくとイメージされている方もいるかもしれません。ですが、我々はそのようには考えておりません。クラウドサーカスを導入していただいたお客様に対し、OA機器を導入するケースもあれば、クラウド基盤への移行やシステム構築支援等のコンサルティングを行うケースもあります。

当社は一社ごとに異なる中小企業様のご意向に、多様な掛け合わせでお応えできるリソースを持っておりますし、これがまさに本質的に実現していきたい姿でもあります。また、このように事業内、および二事業間での連携を強化することが、結果として1社当たりのLTVの向上につながっていきます。これは、ITインフラとデジタルマーケティングの事業に長きに亘り取り組み、基盤を固めてきた当社だからこそできる戦略なのです。

スターティアホールディングス株式会社 2023年3月期 第2四半期 決算補足資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

デジタルマーケティング事業への投資が続いておりましたが、今期からは既に2回の上方修正を行うなど着実に業績へと現れており、回収フェーズに移ってきております。

当社には圧倒的な顧客基盤があり、やはりここが一番の強みです。事業自体は地味と捉えられてしまうかもしれませんが、我々は流行り廃りのトレンドを追いかける事業ではありません。攻めと守りの両軸でDX 化を支援するという、労働人口が減少する今後に日本において企業が取り組むべき、かつ欠かすことのできない分野を担っているのです。

ぜひこの点をご理解いただき長期的な目線でご支援いただけましたら嬉しく思います。

スターティアホールディングス株式会社

本社所在地:東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19階

設立:1996年2月21日 (2018年4月1日「スターティア株式会社」より商号変更)

資本金:824,315千円(2022年12月アクセス時)

上場市場:東証プライム(2005年12月20日上場)

証券コード:3393

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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