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【3416】ピクスタ株式会社 代表取締役社長 古俣大介氏「高収益事業の横展開で持続的な成長を実現する」

※本コラムは2022年11月30日に実施したIRインタビューをもとにしております。

時代の潮流に合わせ成長を継続するスナップフォト市場にて、マーケットプレイスの機能を備えたマッチングプラットフォーム「PIXTA」等を運営するピクスタ株式会社。代表取締役社長の古俣大介氏に、創業の着想から今後の成長戦略について教えていただきました。

目次

ピクスタ株式会社を一言で言うと

才能をつなげるクリエティブプラットフォーム事業を展開する会社です。

創業の経緯

両親がともに小売業の会社を経営していたこともあり、私も将来は起業したいと考えていました。また、私自身「ものを売る」という現場への馴染みがありました。20歳を過ぎたあたりから本格的に起業を意識し始めましたが、当時はインターネットによる産業革命がうたわれていた時期でした。そこで、インターネットと自身のルーツである小売業を掛け合わせECサイトの作成・運営を行う会社を立ち上げました。

業績は順調だったのですが、事業をすすめていくいうちに小売業界を選択したのは両親の影響が大きく、実際はやりがいをそこまで感じていなかったということに気づきました。一方、幼い頃に小説やプログラミングに打ち込んだ経験があり、このような、人が生み出すクリエイティブなものを扱うビシネスへの関心が高まっていきました。

そんな中、とある外部環境がきっかけとなり現在の主力ビジネスの一つであるPIXTA事業の着想へとつながっていきます。2003年頃、デジタル一眼レフカメラの普及に伴い、写真好きの人たちが自ら撮影した素材を投稿する掲示板サイトが盛り上がりを見せていたのです。これを見た私は、プロではないもののクリエイターとして活動する方々が、自身の才能を発揮できる場所、欲を言えば生計を立てることができる場を提供できれば、社会的意義のある事業になるのではと考えたのです。

私自身、モノづくりに惹かれがながらも、その才能がプロとして活動できるほどのものではないというのはわかっていました。またそれと同時に、才能を活かす挑戦をしたが上手くいかなかった人、もしくは機会や場所がなく挑戦できなかった人がいることにも気づいていました。PIXTA事業であればこのような方々への支援に繋がると考え、当時兄と共に経営していたECサイト運営の会社を離れ、当社を創業いたしました。

ピクスタ株式会社 2022年12月期 第3四半期決算説明資料 より引用

現在までを振り返りますと、社内・外でそれぞれ事業の転換点となるポイントがあります。PIXTA事業の立ち上げ後、狙い通りクリエイターの方々には多くの写真を投稿していただきコンテンツが増えていったのですが、一方で素材の買い手側の開拓には苦戦しておりました。ここに対し、クリエイターへの支援を通したコンテンツの品質管理を行ったことが一つ目のターニングポイントです。

コンテンツが単に増えても、買い手側の需要がなければ意味がありません。そこで我々は、企業側のニーズが高いものの素材数の少なかった「人物写真」に目をつけました。キャスティイングや場所の確保などの企画段階から当日の撮影に至るまで、登録していただいているカメラマンの方々を徹底的にサポートし、高品質かつニーズの高いコンテンツの拡充に注力しました。これにより事業開始3年後くらいから、「高品質素材の拡充→買い手側の需要の高まり→クリエイターへの収益還元→更なる素材の拡充」といった良い循環が回り始めました。

また、ちょうど同じ頃に起こったリーマンショックは、財務的なマイナス影響はあったものの事業的には追い風となりました。解雇や減給、賞与取消しなどによる副業ブームが起こり、登録者数・投稿数ともに一気に増えたのです。また、制作・広告業界には予算抑制の傾向が見られ、カメラマンを雇っていた企業が素材でまかなうようになっていったのです。このように売り手・買い手双方の絶対数が増加したという点で、二つ目のターニングポイントと言えるでしょう。

事業内容について

「世の中のクリエイティブな才能に活躍の機会を提供すること」を目指し、マーケットプレイスの機能を持ったクリエイティブプラットフォームを四つ展開しております。

ピクスタ株式会社 2022年12月期 第3四半期決算説明資料 より引用

一つ目は祖業のPIXTA事業でして、デジタル素材のマーケットプレイスとしては売上・取引数ともに日本最大のサービスに成長しております。

二つ目は家族写真の出張撮影マッチングプラットフォームを運営するfotowa事業でして、サービス開始から6年半ほど経過しております。主に8歳未満のお子様の記念撮影の需要にお応えし、好きな日・好きな場所にカメラマンを呼ぶことができます。特に直近では生後2週間の赤ちゃんを撮影する「ニューボーンフォト」のニーズが高まっております。

三つ目は2016年に事業買収したsnapmart事業です。当初はスマホ写真の素材マーケットプレイスの運営をメインに行なっておりました。徐々にインスタグラマーの投稿者が増加したため、彼らを活用した企業向け商品写真の撮影・納品サービスの提供も足元では増加しております。また、「アンバサダーサービス」といって50―100人規模のインスタグラマーさんにそれぞれ撮影いただいた写真を納品したり、SNSで拡散していただくようなことも進めています。

四つ目は足元で特に好調なPIXTAオンデマンド事業です。これは、法人向け出張撮影サービスでして、社長や従業員などの人物写真、飲食店の料理の写真などあらゆるジャンルで企業が必要とする素材の撮影を全国対応で行なっております。

当社の競争力の源泉とも言える「クリエイター基盤」は、実は裏側で能動的なサポートを進めたことで確立されたものです。我々の理念は「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」ことです。この基本思想に基づき、いかにクリエイターの役に立つかということを突き詰めた結果、沿革の中でもお話ししたように積極的な情報提供や撮影支援などのサポートを継続してきました。当社が抱える販売データをもとに、手薄な素材のジャンルを発信したり、時代のトレンドに合わせたコンテンツ提案等を通じて、クリエイターとの相互信頼の関係を築いてきました。

加えて、PIXTAのみに素材を投稿するという「専属クリエイター制度」を導入しております。登録していただいた方には、当社がコストを負担する形で特に需要の高い撮影の機会を提供したりしております。ロイヤリティの高いクリエイターを増やすことで、 PIXTA事業だけでも登録ベースで30万人以上と、圧倒的な規模に成長させることができました。

また、当社の収益構造は「逓増型」と表すことができます。事業開始当初は赤字からのスタートですが、一旦損益分岐点を超えると固定費を抑えつつ売上が積み上がっていくため、売上利益率が向上していくという仕組みです。

PIXTA事業はすでにこのフェーズに入っており、その他事業についても共通の構造ですので、事業成長とともに中長期目線での利益貢献を実現できるという点で、当社の大きな強みとなっております。

ピクスタ株式会社 2022年12月期 第3四半期決算説明資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

引き続きPIXTA事業を成長させていくとともに、当事業の顧客基盤を軸に外部環境の変化に応じた横展開を進めていく方針です。

PIXTA事業の市場環境としては、古くはフィルム写真の貸し出しに始まり、40-50年間に渡り成長をし続けております。まずはこのストックフォト市場の需要を捉え、引き続き素材を拡充させていきます。また、最近では無料素材サイトやAIによる画像生成機能が台頭してきており、当社としても既存の事業体に縛られないサービス展開が求められていくと感じております。

実際に、7-8年前よりすでに導入しております定額制サービスは足元需要が高まっております。当社がこれまで確立してきた40万社以上に上る企業様の顧客基盤を軸に、このような新たな料金体系や、PIXTAオンデマンド、および11月にリリースいたしましたIPコンテンツマッチングプラットフォームなど、従来とは異なるマネタイズの方法を拡充してまいります。

ピクスタ株式会社 2022年12月期 第3四半期決算説明資料 より引用

また、先ほど当社の収益構造について触れましたが、fotowaやsnapmartおよびPIXTAオンデマンドは、まさにここから利益の収穫フェーズへと移行してまいります。fotowa事業では一昨年から開始し一定の効果が出ているインフルエンサーマーケティングの効率化を進め、記念写真需要700億円の市場のうち、まずは5-10%のシェアを確実に固めていきます。PIXTAオンデマンド事業においては、特に国内各地に拠点をもつ企業や、それらが対象先となるサービスを展開する企業様からの需要がつみがってきております。これらのニーズにしっかりと応え、軌道に乗せることがさらなる成長につながると考えております。

ピクスタ株式会社 2022年12月期 第3四半期決算説明資料 より引用

このように、立ち上げからの時間はかかるものの軌道に乗せるとPIXTA事業同様に高収益の優良事業になりうる、第二・第三の事業をもっている当社の強みをぜひご理解いただきたいと思います。

投資家の皆様へメッセージ

今期は、特にPIXTA事業の外部要因の変化もあり、業績は足踏みが続いており株価も芳しくなく申し訳なく思っております。ですが、来期以降はリカバリー施策や事業の効率化を含めた変化を起こしていきますので、業績・事業の両面でぜひ期待していただければ嬉しく思います。

ピクスタ株式会社 

本社所在地:東京都渋谷区渋谷三丁目3番5号 NBF渋谷イースト7階

設立:2005年8月25日

資本金:325,777千円(2022年9月末現在)

上場市場:東証グロース(2015年9月14日上場)

証券コード:3416

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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