- 6,000万円を貯金する具体的な方法が知りたい
- 6,000万円の貯金を効率的に管理する方法がわからない
- どのくらいの割合の人が6,000万円の貯金を持っているのか知りたい
人生100年時代といわれる今、老後の資金準備として一定額の貯蓄や資産形成が必要だと考えられている。
収入から支出を差し引いたときの不足額に平均余命を乗じた場合、6,000万円ほどの資金が必要になるという試算もある。
本記事では、この「6,000万円」を題材に、貯金と資産運用という側面で考察していく。
大きな資金を貯めること、運用することに関心をお持ちなら、ぜひ参考にして欲しい。
6,000万円を効率的に貯金するためのコツ
ここでは、6,000万円を貯金により達成できるかを確認していく。
本稿で貯金とは、銀行等にお金を預けることで、普通預金および定期預金を含む。
貯金を増やすための3つの方法
まずは、貯金を増やす方法を整理しよう。
貯金を増やす方法には、「収入を増やす」「支出を見直す」「条件の良い預金を選ぶ」の3つがある。
収入を増やす
- 副業で本業以外の収入源を確保する
- スキルアップや資格取得により、本業での昇給・昇進を目指す
- 転職により、収入アップを図る
支出を見直す
- 固定費や変動費を詳細に分析し、無駄な出費を削減する
- 節約術を身につけ、日常的な支出を抑える
- 高額な買い物は慎重に検討し、衝動買いを避ける
- 給与の一部を自動的に貯金するシステムを利用する
条件の良い預金を選ぶ
- より高い金利を提示する金融機関を選択する
- より高い金利の預金商品を選択する
20代貯金ゼロの会社員は6000万円貯められる?
次に、これらの方法を使って、貯金により6,000万円を貯めることが可能なのかを確認していく。
20代で貯金ゼロの会社員Aさんが、3つのシナリオで6,000万円の目標達成を目指す。
Aさんの基本情報は以下のとおりである。
- 現在の年齢
- 27歳
- 現在の年収
- 362万円
- 昇給率
- 4%
- 物価上昇率
- 2%
- 預金金利
- 0.025%(普通預金)、0.3%(10年定期預金)
シナリオは、前述の「貯金を増やす3つの方法」を組み合わせて作成した。
物価上昇率を考慮しない場合の結果は、以下のようになった。
シナリオ1:収入を増やすことに注力
Aさんは副業収入とあわせ、年収を毎年5%アップさせた。
支出は年収の80%とし、20%を普通預金に預けた。この場合、累計貯金額を超えるのは61歳。
シナリオ2:支出を見直し、貯蓄率を上げる
昇給率は4%のまま、支出を年収の70%に抑えて貯蓄率を30%とし、普通預金に預けた。
この場合は、55歳で6,000万円が達成できる。
シナリオ3:貯蓄率を挙げて長期の定期預金を利用
副業を始めて年収を毎年5%アップさせ、貯蓄率を30%とする。これを10年の定期預金に預けると、54歳で累計貯金額が6000万円を超える。
インフレを考慮すると達成は遠のく
ここまで読んで「貯金でも、6,000万円達成できるかも」と考えた方は少し待って欲しい。
前述したとおりシミュレーションでは、物価上昇率を考慮していないのだ。
つまり金額としての6,000万円は達成できているが、「実質的な購買力を伴う6,000万円」は、貯金できていないということになる。
インフレ、すなわちインフレーションは、物価が上昇し続ける現象のことだ。
たとえば、物価が毎年2%ずつ上昇した場合、現在100万円のモノは5年後には約110万円に値上がりしてしまう。
このとき、現金のまま置いている100万円の実質的価値は、5年後には約90万円相当になってしまうのである。
シナリオ3では、Aさんは54歳で6,000万円の目標を達成しているが、毎年2%の物価上昇を想定すると、実質的価値は約3500万円ほどになってしまう。
つまり、インフレの影響を考慮すると、単に貯金を積み上げるだけでは、実質的な価値の維持は難しいのである。
6,000万円の貯蓄を守り育てる方法
ここからは、仮に6,000万円の貯金を持っていると仮定して、これをどのように守り、育てていけば良いのかを考えていく。
6,000万円は大きな資産だが、戦略を立てて守らなければ増やしていくのは難しい。
インフレの影響を受けた場合はなおさらである。
6,000万円あっても使えばなくなる
ここでは、老後資金として6,000万円を準備した人が、これを生活費に充てるケースを考えてみよう。
総務省統計局の調査によれば、65歳以上の家計収支(可処分所得から消費支出を引いたもの)は、以下のようにマイナスになる。
- 65歳以上の夫婦のみの無職世帯
- ▲22,270円
- 65歳以上の単身無職世帯
- ▲20,580円
このマイナスは住居の状況や健康状態により、さらに広がる可能性がある。
たとえば賃貸で家賃支出がある場合や、持病により医療費負担が増えた場合は、その額によりマイナス幅が拡大する。
別の調査では、夫婦で旅行などを楽しむ「ゆとりある老後」を過ごしたいなら、平均で37.9万円が必要だという。
この場合はざっくり、毎月16万円ほどマイナスとなる。
6,000万円を預金で保有している場合、利息で増えるのはわずかな金額だ。
毎月の生活費を取り崩していけば、資産はどんどん減少してしまう。
低金利での貯金は「お金の寿命」を縮める
毎月一定額を取り崩す場合に、資金がどのくらいの期間持つのかは、Web上の金融電卓で計算できる。
結果は以下のとおりとなった。
- 毎月10万円ずつ取り崩した場合
- 49年11か月
- 毎月15万円ずつ取り崩した場合
- 33年3ヶ月
だが、この計算では以下の重要な2点を勘案していないことには注意が必要だ。
- イベント的な費用の発生
- リフォーム費用、賃貸住宅の更新料(家賃2か月分ほど)、および本人や家族の入院・介護費用
- インフレによる資産価値の目減りリスク
前述したとおり、インフレが進むと、お金の実質的な価値が下がる。
つまり、将来同じ生活水準を維持するためには、より多くのお金が必要になるということだ。取り崩しの金額も、想定より多くなってしまうだろう。
預金金利がインフレ率を下回っていれば、預金していても実質的な価値はどんどん目減りする。
つまり、インフレは貯金の実質的な寿命を縮めてしまうのである。
貯金を「守り・育てる」には資産運用が必要
日本の平均インフレ率は、過去50年間で約2.3%。1990年代後半から2000年代にかけては低い水準で推移してきたが、2022年には2.5%、2023年には3.27%を記録している。
今後はインフレに対抗するために、資産運用による防衛が不可欠だ。
資産運用というと、リスクが高い投資による方法だと思うかもしれないが、比較的安全な方法もある。
たとえば国債や高格付けの社債なら、元本割れのリスクは非常に小さい。
また、リスクが管理されたバランス型投資信託や不動産投資信託(REIT)という選択肢もある。
一方、現金で資産を保有していると、インフレによって資産の実質的な価値が目減りしてしまう。
物価上昇を考慮すれば、現金保有の方がリスクが高いとも言える。
6,000万円の貯金の有効活用法
ここまでで、資産形成にも防衛にも、資産運用が必要であることをおわかりいただけただろう。
ここからは、6,000万円という規模の資産の運用をする場合の注意点について解説する。
まず、想定されるリスクを整理したうえでポイントを述べ、具体的な運用ステップについても触れる。
高額資産運用において想定されるリスク
資金の規模にかかわらず、運用には市場リスク、信用リスク、流動性リスク、金利リスクなどさまざまなリスクがある。
資金規模が大きい運用では、これらのほか以下のようなリスクが想定できる。
まず、投資対象の幅が広がることに伴うリスクがある。投資対象の多様化は、収益獲得の可能性を広げる一方で、商品の複雑性や運用の難易度が上がるというリスクを伴う。
また、高額資産を保有することで、詐欺や不正行為のターゲットになる可能性が高まり、心理的負担も大きくなる。
さらに、資金が大きくなるほど、特定の資産に集中投資することへのリスクも大きくなる。
たとえば、全額を株式に投資して市場が20%下落した場合、100万円の投資では20万円の損失で済むが、6,000万円の投資では1,200万円の損失になる。税金やコストが大きくなることもリスクの一つである。
高額資産運用において気をつけるべきポイント
多額の資産を運用する際は、前述のリスクを十分に理解し、適切な戦略を立てることが重要だ。
以下のポイントに気をつけて、運用戦略を立てて欲しい。
資産を適切に分散する
運用額にかかわらず、分散投資はリスク低減に有効な投資戦略である。
特定の投資先や時期のパフォーマンスが悪化した際にも他の投資先でカバーできるという効果が得られるため、投資対象の資産クラスや地域などを多様にすることが望ましい。
避けるべきは、一つの投資対象に一括で全額を投資する「集中投資」だ。
集中投資は、一つの資産のパフォーマンスに大きく依存するため、資産全体が大きな影響を受けるリスクが高くなる。
資金引き出しを適切に行う
資産を守るためには、資金引き出しを戦略的に行うことが肝要だ。
毎月または毎年の引き出し額や、中期的なライフイベント費用(住宅購入や学資準備など)を見越して計画を立てよう。
これにより、資産の保全と成長を両立させられる。
定期的な収入を得たい場合は、毎月分配金のある商品や高配当株を検討するのも一つの方法だ。
中期的なライフイベント費用が見通せるなら、その準備に使う口座を分ける戦略(バケット戦略)が有効になる。
新NISA口座のような、投資収益への税金がかからない口座を利用するのも賢明である。
投資の再評価とリバランス
定期的にポートフォリオを評価し、リスクレベルを一定に保つ「リバランス」も、非常に重要である。
リバランスとは、ポートフォリオの構成比率が当初の資産配分から逸脱した場合に、再び元の配分に戻す作業のことだ。
これにより、リスクとリターンのバランスを維持し、長期的な資産成長を目指すことができる。
多額の資産を運用する場合、リバランス時の税金や取引コストが高額になるおそれがある。
実施する際は、この点にも留意が必要だ。
高額資産を運用する際のステップ
多額の資産を運用する場合は、第一のステップとして専門家への相談を検討していただきたい。
資金が大きくなればなるほど、考慮すべき項目が増え、管理が複雑になるからである。
専門家の助言を受けることで、現実に即した資産運用の計画を立てることができる。
また、学習コストや失敗から受ける打撃を考えれば、一定のフィーの負担は妥当なものとなる可能性が高い。
以下は、資産運用の一般的なステップである。
できれば最初の段階から専門家とともに、慎重に検討をすすめていただきたい。
- 資産運用の目標を明確にする
- リスク許容度を把握する
- 資産配分を決定する
- 具体的に投資商品を選び、運用を始める
6000万円を貯金する方法や管理するポイントは誰に相談するべき?
資産規模が大きくなってくると、個人ですべてを管理するのは難しくなってくる。
そのため、専門家の力を借りて資産運用や管理を行うのがおすすめだ。
ここでは、資産運用や管理の相談先として考えられる専門家の選択肢を紹介する。
そして、なぜ独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)が最もおすすめなのか、その理由を詳しく説明していく。
6000万円の資産運用が相談できる専門家とは?
まずは、資産運用や管理の相談先として考えられる主な専門家を見ていこう。
それぞれの特徴や強みを理解することで、自分に最適な相談先を選ぶ際の参考になるだろう。
ファイナンシャルプランナー(FP)
FPは、個人の財務状況を総合的に分析してライフプランニングを行い、総合的な視点からさまざまなアドバイスを行う。
中立的な立場から個人に寄り添った助言ができるが、個別の金融商品に踏み込んだアドバイスや取引仲介は行えない。
銀行の相談窓口
銀行の資産運用相談窓口では、預金や投資信託、保険など、銀行が提供する商品を中心としたアドバイスが得られる。
取り扱い商品に関する詳しい情報が得られるうえ、組織的なフォローが得られる点にメリットがある。
ただし中立性は望めないため、利用には注意が必要だ。
独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)
IFAは、特定の金融機関に属さない独立系の金融アドバイザーだ。
主に資産運用を軸として、顧客の資産を守り育てる専門家である。
金融商品仲介業者として登録しているため、専門的なアドバイスに加え、具体的な商品の取引(売買)までサポートができる。
資産運用ならIFAが最適である理由
IFAは、複数の金融機関との協業が可能であるため、幅広い商品を取り扱える。
市場動向の分析に基づき、具体的な金融商品について検討したうえで、取引のサポートも可能だ。
加えて、IFAには異動や転勤がないため、長期にわたって相談ができるという利点もある。
資産を守って育てる相談役には、まさにうってつけなのである。
IFA選びには「資産運用ナビ」がおすすめ
IFAは独立した立場を活かし、それぞれが強みや専門分野を持つ。
そのため、資産を守り育てるなら、自分のニーズに合ったIFAを選択することが重要となる。
IFAを探すなら、検索サービス「資産運用ナビ」がおすすめだ。簡単な質問に回答すると、あなたの希望に合致するIFA候補が複数提示される。
初回相談は無料なので、まずは気軽に話をしてみて、「話しやすさ」を確認することもできる。
6000万円貯金を活かすコツは「IFAへの相談」
本記事では、6,000万円の貯金というテーマを軸に、実現の方法と活用の方法について考察した。
多額の資金を適切に管理し、成長させることは、想像以上に難しい課題だ。
資産が大きくなるほど、リスク管理が複雑になるからだ。
よって、豊富な知識と経験を持つ専門家のアドバイスが不可欠となる。
これから資産形成を目指そうという方も、すでに貯蓄があり活用していこうとする方も、IFAからの助言は有用だ。
ぜひ「資産運用ナビ」を使って、あなたに合ったアドバイザーを探して欲しい。