※本コラムは2023年1月6日に実施したIRインタビューをもとにしております。
新たに「マーケディングDX支援企業」として事業方針の転換を行い、足元ではその成果が急激な成長として現れ始めたアライドアーキテクツ株式会社。
今回は代表取締役社長CEOの中村壮秀氏に各事業の強みや変貌を遂げた会社としての今後の成長戦略を教えていただきました。
アライドアーキテクツ株式会社を一言で言うと
マーケティングのイノベーションをソフトウェアと人材でリードする会社です。
近年、インスタグラムやYouTubeショート動画などの台頭により企業側の制作量は大幅に増加しており、「限られた人材の中でいかにファンにとって魅力的なコンテンツを作り続けるか」が非常に重要になっています。
これを全てソフトウェアでまかなえればそれに越したことはありませんが、やはり人手も必要なのが現状です。技術と人材の両面から企業の重荷を減らし、デジタルで起こる変化に国際的に対応しているのが私達です。
創業の経緯
設立は2005年でしてまさにソーシャルメディアの入り口と言えるような時期でした。当時、ブログが台頭し始め、メディアが既得権益であった時代から誰もが発信できる時代へと変化し、全ての人にメディアが開かれていくのを目の当たりにいしていました。
とても大きな変化であると感じておりましたし、この領域は必ず大きく成長するだろうと確信し、マーケット(領域)先行で起業を決意しました。今振り返るとマーケティングが新しく変化するタイミングをとらえた創業であったと感じます。
マーケットは先に決めていたものの、当初2、3年ほどは詳しい事業内容についての模索が続きました。そのような中で、まず事業が確立されたタイミングとしては2008年のブログサービスを開始した時期です。
「モニプラファンブログ」というサービスでしてユーザーと企業を繋ぐバーチャル展示会をイメージいたしました。販促改善や商品開発に繋がるという強みのもとに多くの企業の需要を集めることができました。
また、外部環境としてはFacebookの浸透が一つの転換点となっています。2011年の初頭には映画が公開され注目を集めるとともに、翌年の2012年には導入企業数が100社を超え、ソーシャルメディアのオポチュニティを広げたという意味でこの存在が当社の事業に与える影響は非常に大きかったです。
当社の上場は2013年ですが、当時の事業内容としてはこちらのファンブログとFacebook上でのアプリサービスのみで、今でいうところの国内SaaS 事業のみでした。その後、当領域内でのサービス拡充や海外SaaS事業、中国支援事業といった事業領域の展開を進めてきました。
さらに2020年以降は、上場時のイメージであった「SNSマーケティングの支援専業会社」というイメージを変えるべく、「マーケティングDX支援企業」としてリブランディングを進め、現在に至ります。
事業内容について
マーケティングのイノベーションをSaaSと人材提供で支援しています。サービスポートフォリオとしては国内SaaS事業・海外SaaS事業をまとめてSaaSビジネス、ソリューション事業・中国進出支援事業がデジタル人材ビジネスとなっています。
国内SaaS事業ではマーケティングDXを加速させるための自社ツールを提供しており、特に「Letro」は運用型UGCとして高い評価を得るメインサービスとなっています。国内のeコマースマーケットは、グローバルで比較した浸透率の低さから見ても非常に伸び代があります。
また消費者も、eコマースの中で購入するなら今やインスタグラムの投稿や口コミといったUGCを必ず参考にしており、いかに消費者に見ていただくかが非常に重要になるのです。この点、どのようなUGC※を表示すれば顧客の購買意欲を後押しできるのかをデータ的に、そして経験的にも理解しているというのが我々の最大の特徴です。
- ※UGC(User Generated Contents):企業ではなく一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツの総称で、ECサイトの口コミやレビュー、SNSに投稿された写真や動画のこと。
技術力の源泉となるのはやはり期間です。創業以来、UGCをどのように生み出しそして活用するのかを検討してきましたので、その実績と経験は大きな差別化要因となり、上位顧客の取引拡大や大手新規顧客獲得がともに進行しています。
また、Letroではコンバージョンレートが結果として出るので、これが蓄積されることでデータに基づいた運用が可能であることも当サービスを選んでいただける理由の一つでしょう。
さらに最近ではカスタマーサクセスも強化し、企業と共に施策と効果を研究する体制を作り上げてきました。特にここ1、2年でその効果は飛躍的に表れています。
海外SaaS事業は、主にゲーム会社様向けに3Dの広告制作を行っています。新興国分業体制による「マイクロファクトリー」を構築し世界各国のクリエイターが工程を分断して担うことで、高品質かつ低価格での提供が強みとなっています。
この体制の確立にはどのスキルを持つ人材がどこにいて、またどのように採用してくるのかというノウハウが鍵となりますが、事業開始から6、7年経ち自社ネットワークは非常に強固なものとなっています。
ソリューション事業および中国支援事業は国内で展開をするデジタル人材中心のビジネスです。特にソリューション事業は、企業とファンの関係構築を目的としたコンサルティングがメインサービスとなっており、事業成長には人材拡充が要です。
比較的短期間で、ファンベースやSNS といったマーケティングにおいて極めて重要な要素を学べる点や、未経験者であっても取り組むことのできる体制が支持され、継続的なデジタル人材の獲得を実現しています。
一方、最近の取り組みとしては専門学校との提携で独自コースを開設しています。このように今後のデジタル人材不足の問題に対しては人づくりからも対応を進めています。
中長期の成長イメージとそのための施策
冒頭でも申し上げた通り、当社は新たに「マーケディングDX支援企業」としてリブランディングを進めています。SNSの領域だけではなくクリエイティブ制作などを含むデジタルマーケティング全般を支援する会社として変貌を遂げている最中であり、今後はよりその成果をお示ししてまいります。
これまでも事業転換を繰り返してきた当社ですが、できるだけ小さい組織での意思決定を心がけることが成功のポイントだと認識しています。この業界は顧客の状況やトレンドといった現場の変化が短いスパンで起こるため、この変化にスピード感を持って対応することが大切なのです。また、経営者も敏感に変化を感じ取り、この総合力で当社の新たな姿を確立していけると考えています。
具体的な施策ですが、まず国内SaaS事業においては、引き続きメインサービスのLetro が注力商材となります。プロダクトやカスタマーサクセスの強化、また顧客の成果に応じた従量課金テーブルの積極的な提案により、大企業を中心とする既存顧客の取引拡大に努めてまいります。
また、ソリューション事業では従前のコンサルティングサービスに加えて、主に中小規模の企業に対してツールの提供も開始しています。当該顧客の事業間連携も進めていくことでSaaS事業とソリューション事業のシナジーを高めると共に、顧客層の拡大にも取り組んでいきます。
インターネット広告の国内シェアは依然3割程度に止まり、eコマース市場同様にマーケットの伸び代は非常に大きいです。このデジタル化の文脈と当社のプロダクトの進化という掛け算で更なる成長を実現していきます。
海外SaaS事業においては、3D制作で世界一の工場になるために、まずは特に需要の高いゲーム会社のシェア獲得を進めてまいります。トップ300社のみでも広告制作費には約2000億円を投資していますので、当事業の成長性を感じていただけるかと思います。
Creaditsの取り扱う3D領域でのクリエイティブ制作は、いわば建築会社のようなものです。今後、ウェブが3Dに変化する過程では3D制作のニーズは確実に増加し、我々はそれに対応できるだけの技術力を持ち合わせていますので、さらに長期的な目線では広告のみならず多様な領域への展開が可能であると考えています。また、世界中のソフトウェアとリソースを活用し、今よりもさらに低価格で提供できるような制作ノウハウを仕組み化することができれば、会社としての強みもより一層高まると考えています。海外におけるこの3D制作のマーケットを先行して獲得することに取り組む、当社のチャレンジをぜひ見守っていただきたいと思います。
投資家の皆様へメッセージ
当社は国内、海外ともに今後も成長が期待できる良いマーケット環境に身を置いています。
その中でしっかりとマーケットリーダーとなれるように努めてまいりますので、改めて事業の内容を知っていただくとともに、ぜひ可能性を感じていただけましたら幸いです。
本社所在地:東京都渋谷区恵比寿1-19-15 ウノサワ東急ビル 4階
設立:2005年8月30日
資本金:856,958,814円(2021年12月31日現在)
上場市場:東証グロース(2013年11月29日上場)
証券コード:6081