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【3916】デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社代表取締役社長 市川聡氏「変化対応力を軸とした二軸の事業推進で新たな価値を提供する」

※本コラムは2023年1月23日に実施したIRインタビューをもとにしております。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社はシステム開発・検証事業および、運用サポート事業を事業基盤とし、成長要素である自社商品事業との2軸の経営で12期連続増収増益を達成している企業です。

今回は代表取締役社長の市川聡氏へ、事業の転換点や今後の成長戦略を伺いました。

目次

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社を一言で言うと

社員それぞれがベンチャースピリットを持ち、変化の激しい市場において変化への対応力を軸に、信頼され、選ばれる存在を目指し続ける会社です。

代表就任の経緯

当社は1982年に創業し、当初は大手SIerの三次・四次請けの仕事が中心でしたが、1990年代からはエンドユーザーに近い層を獲得することで、主体性をもった仕事ができるようになることを指向していきました。その過程で、ITの多様な分野に手を広げ、事業分野ごとに法人を立ち上げ、それぞれの法人は自らの分野のNo.1を目指す目標を掲げて成長を目指しました。

2002年にはグループ経営のためホールディングス会社を立ち上げました。そのような中、私は2004年に入社し、より強固なグループ経営を目指してホールディングス会社の経営推進の役割を担いました。2006年には各法人の特徴を活かしたカンパニー制度を導入した現在の形となりました。

当時から上場を目指していたのですが、もともとが別法人だったため、カンパニー間の連携は機能せず、まずはガバナンスや業績のコントロールを中心に組織づくりを進めていきました。同時に、新規事業をより活性化させるため、私が自社商品事業の責任者を務め、セキュリティ関連商材などの推進も行いました。

その後、上場の責任者やエンベデッドソリューション事業の責任者、事業部全体の責任者を経て、2018年に現職に就任しております。

現在までを振り返りますと、事業上でいくつかの転換点がございます。

まず、2013年頃からエンベデッドソリューション事業のリソースを自動車関係に一気にシフトさせました。従来は、モバイル端末に組込まれているソフトウェアの開発と第三者検証が中心でしたが、旧来の携帯電話からスマートフォンへと変化し、Androidなど共通のプラットフォームが普及したことで、各メーカーは端末で特徴づけをすることが難しくなってしまった為です。

当社としてもモバイルメーカーにばかり固執していては持続的な成長が困難であると感じ、これまでの技術を元に展開していける領域を考えた末の決断でした。相対的に車載の市場は規模も大きく、当時は自動運転の機運が高まってきたタイミングでもあり、カーメーカー等も、とにかくリソースが足りないといった状況でした。

結果として収益力が大幅に改善し、上場前後で継続的に案件を獲得できる道筋をつくることができました。

また、2020年頃からは、セキュリティ商材を中心に自社製品が採算分岐点を超え、投資開発フェーズから回収フェーズに移行したことも収益に対するインパクトが非常に大きかったと感じています。さらに、足元ではビジネスソリューション事業において請負の案件の比率が高まったことも収益性に大きく貢献しています。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 会社説明資料 より引用

事業内容について


デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 2022年6月期 決算説明資料 より引用

大きく三つのカテゴリーに分けられます。一つ目はビジネスソリューション事業で、基幹システムを含む様々なシステムの開発とその保守・運用を、業種業態を問わず手掛けています。

具体的には金融機関の業務システムや流通業のECサイトなどで、当社の売上の60%を占めるメインビジネスとなっています。

当事業においては運用面から関わらせていただくケースが比較的多いです。お客様が日常的に使用するシステムの維持運用を担当することで、まずはお客様の業務内容とシステムを理解していきます。その過程で課題を把握し、素早くシステム改善や入れ替えのニーズを把握し、開発部隊に連携して提案します。

このような横展開の勝ちパターンが既に形成されていることが我々の強みであります。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 2022年6月期 決算説明資料 より引用

二つ目はエンベデッドソリューション事業で、自動車やモバイル端末などの組込み系システムに関わるソフトウェアの開発と検証を行なっています。検証業務はまだ道半ばであると認識していますが、開発の技術力を評価され検証単体での依頼も増加しています。

また、カンパニー制を導入していることで検証者と開発者が切り離された「第三者」という独立した存在であることを示せているようにも感じます。

足元では、検証業務標準化を目的に自社のキーマンのノウハウを共有し、誰にでもやるべき業務がわかる標準化を進めてきました。手法が整備されたことで、これまでリーダークラスしかできなかった業務を経験の浅い社員や若手社員が扱えるようになり、業務拡大と品質向上に貢献しています。


デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 2022年6月期 決算説明資料 より引用

三つ目は主にセキュリティと業務効率化の領域で行う自社商品事業で、市場の未来を予測して必要と思われるサービスや製品を開発し、提供しています。沿革からもお分かりいただけるように、当社は変化対応力を非常に重要視しています。時代の移り変わりが激しい中で、現状の成功体験だけに縋っていてはいつか衰退してしまいます。

お客様のニーズを見ながら、培ってきた技術を横に展開する、または進化させる、という新しい行動を起こすことがそれぞれの組織に浸透していることが、機動的な自社製品の開発と提供を可能にしているポイントです。

また、市場を変革したり、新しいサービスの創造に取り組む精神が浸透しているという点も、当社の強みであると考えています。


デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 2022年6月期 決算説明資料 より引用

当社のカンパニー制度は、7つのカンパニーにそれぞれ担当執行役員を配置し、各々のクライアントとの利害関係だけでなく、事業全体を俯瞰した上で注力するべき領域を判断することで、シナジー効果を発揮させています。また、事業エリアを超えたシナジーについては、各カンパニーを束ねる本部を置くことで、カンパニーを超えた連携が実現できています。

一方、当社の成長を支える人材の育成は、一朝一夕では完成するものではありません。採用環境も激化する中、当社は経験豊富なシニア人材をヘッドハンティングしており、若手リーダー層や経験の浅い社員とチームでプロジェクトを経験させることで会社全体の底上げを図っています。

このようなリーダー層のフォローとチーム制の導入は案件単価の上昇にも貢献しています。また、新卒採用については自社の地方拠点を軸とした地方採用も実施しており、今後も活用・強化していく方針です。

中長期の成長イメージとそのための施策

既存事業の現場力強化、および自社製品の商品力強化を通じて事業基盤と成長要素の二軸で事業を推進していきます。また、人材面・組織面から経営基盤を強化し収益力の改善と持続的な成長を実現してまいります。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 新中期経営計画 より引用

ビジネスソリューション事業においては、先に申し上げた既にある横展開の必勝パターンを軸に既存顧客の深掘とエンドユーザーやそれに近い新規顧客の開拓を進めていきます。また、エンベデッドソリューション事業では自動車メーカーや半導体メーカーなどの既存優良顧客との取引シェアアップを図ります。

また、両事業ともに今後はお客様からの要望が高度化することが予測されます。開発や組込み検証の標準化、知財の整備、さらには幹部層の育成をあわせることで現場力強化を実現してまいります。

商品力強化については、セキュリティおよび業務効率化領域が柱となります。特に、サイバーセキュリティ商品「WebARGUS」はある程度市場認知度も高まってきましたので、大企業での横展開を通じた拡大を図ります。また、ウェブサイト上での改ざんを検知して元の状態に戻すという保有技術を核とし、製品群をシリーズ展開することで多様なお客様を囲い込んでいきます。

お客様の困りごとはどこの視点から見るかによって内容が異なっているように見えるのですが、その解決のために必要なことは共通しており、核となる技術を持っていれば個別に新しく開発する必要はありません。加えて、業務効率化ソリューション「xoBlos」も、一度設定が完了すればお客様の既存システムと連携し、社内業務効率製品の核となれる存在です。

多様な業務の省力化に貢献できるという強みを活かし、中長期的には導入顧客数700社超えを目指してまいります。

また、成長要素の強化という側面では協業・共創も視野に入れております。まずはリソースが不足しているためにお客様からの要望にお応えできていないという状況を無くすべく、パートナーの力を活用させていただく協業やM&Aを検討しています。

目下当社で対応している業務に参画していただき、当社のキーマンを新規案件や新規顧客の開拓に当てたいと考えています。また、自社製品の販売力の強化につながる販売網を確保する目的で、当社とは違うスタイルの自社製品をもつ企業との協業についても検討してまいります。

数ある上場企業との差別化をご理解いただくことは難しく、大きなカテゴリーとして当社を一般的なSIerとして捉えられている方も多いかもしれません。

差別化という意味では、ビジネスソリューション事業には基盤事業としてその土台を守り抜いていけるだけの勝ちパターンが既に確立しています。また、エンベデッドソリューション事業には培った通信・マイコン技術という強みがあり、保有技術を活かした横展開が進んでいます。

更に、自社商品事業には独自性があり、社会的な課題の解決に貢献しています。自社商品事業は現状業績へのインパクトは限定的ですが、商品力強化に今後一層注力し、しっかりと数字に表していくという強い思いがあります。

また、常に市場の動向を捉えながら事業展開をする先見の明も持ち合わせる土壌があることが、中長期的な成長を実現するための他社との大きな違いだと認識しております。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 2022年6月期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

我々のDNAとも言える変化対応力をベースに、今後市場がどのように変化していこうとも、変わらずチャレンジを続けていきます。

そして、連続増収増益という結果もずっと継続させてまいりますので、暖かく見守っていただけますと幸いです。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社

本社所在地:東京都中央区八丁堀4-5-4 FORECAST桜橋5F

設立:2002年1月4日

資本金:453,156千円(2022年6月末現在)

上場市場:東証プライム(2015年6月18日上場)

証券コード:3916

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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