※本コラムは2023年2月2日に実施したIRインタビューをもとにしております。
AI開発の受託業務で安定した利益を確保し、短期間での急成長を実現した株式会社pluszero。
今後のさらなる成長と、第4世代AIで世界と勝負していくための戦略やビジョンについて、代表取締役会長兼CEOの小代義行氏に教えていただきました。
株式会社pluszeroを一言で言うと
ディープラーニングのブラックボックス問題を解決して、信頼性の高いAIを世界初で作ろうとしている会社です。
代表就任の経緯
当社は東大の博士2人により2018年に設立されました。私は創業者の二人(現 代表取締役社長/COO森遼太氏・取締役副社長 永田基樹氏)とは15年来の仲でして、また自身も連続起業家として2003年以降は複数の会社を立ち上げ、経営をしてきました。
特に、若いリーダーを育てたいという想いを強くもっておりまして、若手を採用してはディープテックなどの技術を用いたイノベーションが起きる領域で事業を行ってきたのです。これまでにも40人以上の社長を輩出しています。
創業当初から、当社は次世代のAIに該当し、今のディープラーニングの問題点を大きく解決できるようなAIの開発に取り組んできました。そしてこれは未来のAIの主戦場と言われています。その未来の主戦場において戦っていくためには、一緒になってチャレンジしたほうが良いのではないかということで、まさにワンチームになったというのが経緯です。
受託案件でしっかりと収益を積み上げ、継続的な成長を続けてきた当社ですが、ビジネス上のターニングポイントとしては外部環境の変化が挙げられます。それは、2020年前後に文部科学省や経済産業省が、今後日本が2020年代の10年間で戦う中核領域として第4世代AIを選択したことです。
これは当社が創業以来「人間のように言葉を理解できるAI」を作ろうと努めてきたことと一致していまして、この政府の決定は強烈な追い風となりました。さらに、2021年の9月にはAEI※を活用した 「仮想人材派遣」に係る汎用的な特許を取得いたしました。
これにより、第4世代AIの第一人者的なポジションに我々が立つことができました。第4世代AIの第1号銘柄として証券会社にもプッシュされるようになり、2022年の上場へつながっていきました。
- AEI(Artificial Elastic Intelligence):pluszero社の造語であり、商標登録済。
事業内容について
AI開発の受託とSaaSビジネスの2本柱です。受託は幅広い領域に事業を展開しております。受託業務を遂行する人材が非常に優秀であるため、受託の売上、総利益率がかなり高水準にあります。ここは当社の強みと言ってよいでしょう。
また、受託の見積もりの精度が高く、これは多数の顧客と末永く関わらせていただくためには重要な要素となってきます。
受託案件のどれか1つにでも不都合が生じたり不手際が生じると当社の評価が一気に下がり、それだけで利益率が低下してしまいますが、これが一切ない会社であるため、高い利益率を維持することができています。
さらに、当社にはITとAIを内部開発できるリソースが揃っています。外注せずに会社内ですべて完結させることができますので、コストを抑えてお客様に提示する価格は低くしつつ、同時に利益も確保できています。決して高価で販売している訳ではなく、リーズナブルにITやAIのソリューションを提供しています。
見積もりの正確さがフックとなり、実際の開発においては完全内製でかつスピーディーな対応完璧な成果を出す。このような当社の体制は大企業からベンチャー企業、中小企業にまで多様なお客様に評価をいただいており、営業が難しくないという点も当社の強みです。
仮に大企業からのニーズがなくなってもビジネスが大きく崩れるということはありません。受託事業が安定しているのは、人材基盤をベースとした方針があるからです。
SaaS部門ではいわゆる第4世代AIの開発を行っております。ディープラーニングにおいて、その中身がブラックボックスになりがちなところを解決し、信頼性の高いAIを作っています。第1世代、第2世代のAIはルールを人間が作っていたため、その中身が可視化されており信頼性は高いのですが、一方で手作りのため規模的拡大が困難でありました。
その次に出現した第3世代のディープラーニングは、データを入力したらルールができる高精度で利便性の高いものでありましたが、具体的にどのようなものかがわかりずらいブラックボックスでありました。
我々は信頼性の高いもの、かつ精度が高いAIを作ることを目標に掲げております。そのためには中身を見える化しなければなりません。簡単に説明すると、第4世代AIは人間の脳内を見える化する感覚です。
また、第3世代AIは優秀ですが、それゆえ全世界の平均の回答しかできないのです。しかし、これでは医療など、それぞれに固有の事情がある現場では全く通用しないものです。
丁寧に言葉の意味を扱わなければならない領域に対して、チャレンジする意欲の高い大手商社の方とイノベーションを特定の領域でおこし、その成功例を作ったのちに、一気に事業を拡大する計画です。
中長期の成長イメージとそのための施策
まずは、これまでと同様に、継続して受託業務部門での安定的な成長を目指します。人材基盤が組織立っていて、かつ営業も組織化しているためこれが可能になっています。加えて、我々はリピートオーダーが非常に多く、それが7割近くを占めています。これによって、一定の成長は確保できていますが、新規顧客の開拓によってさらなる成長を目指します。
上場して投資家の方々の期待を背負っている我々としては、自然に増加する利益以上に、戦略的に利益を増加させたいと思っております。それに該当する事業として、”第4世代AI”の開発に取り組んでいます。これは先述した通り、ディープラーニングにおいてブラックボックスと化しているAIの”中身”を見える化し、信頼度の高いAIを作ろうというプロジェクトになっています。
このプロジェクトの成功に向けて、皆が個人的にも組織的にも、継続的学習と知の創発により成長することを理想として大切にしています。技術的な分野にしても、経営的な分野にしても、可能な限り若いうちに積極的にその道のプロと同じ環境で経験を積ませることが何よりも有効であると私は考えております。
多様な分野の専門家が、知の創発で、教えあって、成長していけるよう、またその先のソリューションビジネスでしっかりと稼ぐために。具体的には4つの融合力で勝負いたします。4つの融合力とは、文理融合、技術経営融合、AI-IT融合、ITのフルスタック的な融合です。
受託業務における利益率で安定して稼ぎ、そこで築いた基盤を基に、信頼性の高い次世代のAIでも世界No.1を目指してまいります。
加えて、AEIの中心となる仮想人材派遣の事業展開については、”ホップ・ステップ・ジャンプ”のロードマップを発表いたしました。それに関してですが、1つめの”ホップ”、これは、一次受付においてお客様が何で困っているかを伺う工程の自動化にあたります。
その次の”ステップ”は、一次受付の自動化の次にこなすべきタスクを自動化するということ。最後の”ジャンプ”は、今の事業を幅広い分野に広げていく際に学びが必要になりますが、その効率を上げることです。
このような”ホップ・ステップ・ジャンプ”で技術的に進化していく、それをひとつひとつ毎期ごとに達成していきたいと思っています。
この次世代AIプロジェクトが劇的に業績に反映されるのは2025年10月期からになる見込みです。今期と来期はその爆発を生むための仕込み段階にあります。仕込み段階といっても沈み込んでしまうわけではなく、当社は受託で利益を得られているため、継続的な成長はできます。最低限の利益を守りながら爆発する。仮に爆発しなくても成長は続けることができます。
もし世界との競争に負けてしまっても、主戦場での力があるためそれなりの成長は期待でき、技術的変化に対応するような力を活かす道もあるとご理解いただければと思います。
投資家の皆様へメッセージ
今チャレンジしている”第4世代AI”というものはキーワードが先行していて、具体的なモノが可視化されていません。それが今後、徐々にではありますが、業務提携パートナーとの事業立ち上げの成果として具体化されていきます。
投資家の皆様にはぜひそこに注目していただきたいと思っています。中期経営目標において、営業利益のCAGRが80%を超え、4年後に10倍になるという目標を掲げていますが、これに成功した暁には、投資家の皆様を含めた社会全体の見る目を一発で変えることができると思っています。逆に評価を変えることができるのは、実績以外の何物でもありません。
当社が目指しているものの実現可能性を感じ、「本当に実現したら世の中は変わるかもしれない」と思ってもらうような成果を出して行きますので、ぜひ応援していただけますと幸いです。
本社所在地:東京都世田谷区北沢2-6-10 仙田ビル4F
設立:2018年7月10日
資本金:1000万円(2023年2月アクセス時)
上場市場:東証グロース(2013年10月28日上場)
証券コード:5132