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【3905】データセクション株式会社代表取締役社長兼CEO 林健人氏「グローバル市場での同時展開で事業を成長させる」

※本コラムは2023年2月16日に実施したIRインタビューをもとにしております。

データ解析技術を軸にプロダクト開発力とグローバル市場での同時展開力を活かしユニークなポジションで成長を続けてきたデータセクション株式会社。

代表取締役社長兼CEOの林健人氏に、さらなる成長に向けた戦略について教えていただきました。

目次

データセクション株式会社を一言で言うと

世界のデータ部(セクション)として、最先端のテクノロジーで実社会に変革をもたらし新しい暮らしを作り上げることをミッションとする、20ヵ国以上で事業を同時展開する会社です。

代表就任の経緯

当社は2000年に創業した会社です。日本・海外ともITスタートアップが次々に立ち上がり、世の中にも浸透し始めた、いわゆるドットコムバブルの時代です。

従来のオフラインの世界では氏名・住所・電話番号やクレジットカード情報、そして購入履歴などの個々人のデータはログとして残りませんでした。しかし、インターネットの時代を迎えたことでこれが蓄積されるようになりました。

創業者の橋本は、このデータを分析することこそが、これからの企業の経営を変えるのだと考えたのです。

ただ、これだけいろいろなところでデータが増えていく中で、いきなりデータ分析を経営や事業に生かそうとなっても、保有するデータをどう分析し、何を発見し、どう業務改善していったらいいのかがわからないという問題はありました。

そこで我々は、「データ分析をする部門(セクション)として、企業のお役に立ちたい」という想いから、データセクションという社名で設立されました。

私は、当時在籍していたSCSK社にて当社とソーシャルメディア分析の事業開発を行っており、そうした経緯から2009年に、当社へ取締役COOとして参画いたしました。その後、ビッグデータ分析における事業開発などにも従事し、2018年4月より現職に就任しております。

日本は欧米や中国に比べてIT化やデータ分析・活用が遅れているとのイメージがあると思いますが、データ分析の技術力においては十分世界で通用するだけの力を持っています。

我々としては、この技術をグローバルでスタンダードになるようなサービスに落とし込み、日本はもちろんグローバルのマーケットでこの部門を担う会社として成長したいと考えています。

事業内容について

当社は常に最先端の技術でサービスを開発し、テクノロジーで実社会に変革をもたらし新しい暮らしを作り上げることを目指しています。

日本のみならず、すでにグローバル20カ国以上でデータ分析を生かしたサービスを有償稼働で展開しています。コストカットを目的としたプロダクト開発ではなく、現地で販売し利益を上げているという点で非常にユニークな、稀少性の高いビジネスモデルとなっています。


データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料
 より引用

具体的にはソーシャルメディア分析、リテールマーケティング、およびAI・システム開発の3つの事業の柱があります。

我々のミッションは、テクノロジーで世の中にイノベーションを起こすことであり、組織的には技術者集団です。ですが、この高度な技術をいかに活用しサービスにまで仕立て上げるかが重要であり、こうした取り組みの中で事業も生まれてきました。


データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料
 より引用

ソーシャルメディア分析事業は、設立当初に我々が得意としていた自然言語処理を生かしてマーケティングのために何ができるかという視点で生まれました。ネット上に投稿された口コミのビッグデータを可視化させ企業のマーケティングや風評リスクの検知に役立てています。

リテールマーケティング事業も、大容量の画像や動画データそして音声データの解析を可能にするとともに拡大をしてきました。これらは小売業界だけではなく医療や製造業など、実際に多くの業界で活用でき、顧客業界からの具体的なニーズもあります。

それらを一つずつカスタマイズして開発・提供することも可能ですが、当社のミッションに照らし、グローバルで加速度的に成長していくという観点から、自社サービスを高成長ドライバーとして幅広い業界でスケールしていきたいという視点で今はリテールテック領域に注力しています。


データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料
 より引用

特に、「FollowUP」というサービスでは、店舗の設置カメラから入退店者を分析し、店舗運営や戦略を改善することが可能です。

来店客の人数や性別、年代の推定、商品の欠品検知、人々の行動動線の検知などが、解析精度の高いAIで自動的に行われ、これをPOSデータを連携することで、顧客は、入店人数や買い物をした人数、購買率などが確認できます。

加えて、店員のスタッフ数の調整や、店内のデッドスペースの発見、売りたい商品のディスプレイの変更など、売り上げ向上につながる情報を提供することが可能です。また、各店舗の情報をスマホやPCから見ることができるシステムを導入することで、店舗ごとに異なる課題に対応することができます。

ビジネスモデルとしては、カメラが1台設置されると月額費用が発生するSaaSモデルであるため、設置台数が増えるごとに当社の売上も上がっていきます。足元では大型店への導入が進んでおり、店舗数の増加としては1店舗でも、カメラの設置台数は200台などとなりますので、加速度的な成長を実現できています。

データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料 より引用

海外拠点としては、事業のスケールのしやすさから南米でのビジネス展開に注目していいただきたいです。

南米の優良顧客であるショッピングモールやディベロッパーに対しては、現地の販売代理店を通じてアプローチをしていますが、南米は地続きであり、言語もスペイン語圏が大宗であることから、これらの販売代理店が、南米で複数の国で事業展開しているケースが多くあります。

商圏としては他に規模の大きい地域もありますが、当社はこうした南米のマーケット特性を踏まえ、ロールアップ戦略として、南米各国の競合や、販売代理店を傘下に収めることで、そのプレゼンスを高めることに注力しています。

中長期の成長イメージとそのための施策

グローバル市場でのさらなる企業価値の向上を目指し、主に3つの分野で投資を行なってまいります。


データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料
 より引用

一つ目はプロダクト開発への投資です。

リテールテックといわれるDX化の波は、他の業種も含め更に進行すると考えており、既存の人数カウントや動線分析、欠品検知といったプロダクトに加え、今後も顧客ニーズの多様化が想定されます。

このため、常に新しい技術の研究・開発を進める必要があるとともに、これらを担う優秀なエンジニアの採用や教育・育成、新しいAI技術の事業化に向けた開発などに、積極的に投資を行う方針です。

二つ目は幅広い業種のお客様へのアプローチと、大型案件への取組です。

店舗のDX化において、「FollowUP」の提供は当初、来店客数と購買率にギャップの生じやすい、アパレル業界から歓迎されることが多かったのですが、現在は、スーパーマーケットやドラッグストアといった、購買率の高い業種のお客様や、商業施設、アウトレットモールなどの大型店舗への導入が増えてきています。

例えば欠品検知といったプロダクトは、スーパーマーケットやドラッグストアのような業態の方がより効果的に活用できますし、同じ機能やプロダクトであっても、業種により業界特有のニーズなどが異なるケースもあり、こうした点で、先ほどのプロダクト開発の必要性がありますし、これまで集積したノウハウを生かした、新規業界へのアプローチも必要だと考えます。

また、事業領域としても、今後は、リテールテックに加え、フィンテックやメディカル、教育など、我々のビジョン・ミッションに合致し、コア技術を活用できる領域での事業展開を行っていきたいと考えています。

三つ目はグローバル展開における商圏の拡大です。

我々はすでに南米やヨーロッパなど20カ国以上で事業を展開していますが、今後はさらに展開国数を拡大していきます。

リテールテックの市場規模は日本が5627億円なのに対し、世界全体では約10兆円規模に上ります。このうちの1%シェアを獲得するだけでも1000億円と相当なポテンシャルのある市場です。

日系企業の基本的な戦略では、まず国内でマーケットシェアをとり、その後にグローバル展開をすることが多いですが、グローバルスタンダードを目指すにはこのやり方ではなく、現在行っているように、グローバルベースで同時展開を行うことが必要だと考えています。

そしてこの、開発したプロダクトを国内だけでなくグローバルに同時で展開できるところが、当社のビジネスモデルにおける一番の競争優位性です。具体的には、日本のエンジニアがリテールテックのプロダクトを作って、我々が展開している海外で販売してもいいですし、逆に海外で開発したプロダクトを、日本で売ってもいいのです。


データセクション株式会社 2023年3月期(3Q) 決算説明資料
 より引用

これらの戦略を実現するために、当社はクロスボーダーM&Aや現地のローカルパートナーとのジョイントベンチャーという形で事業を拡大させることも考えています。

当社が太陽系の太陽だとしたら、周りにそれぞれの業界に特化した惑星があるといったイメージで、グローバルでスタートアップ企業がそれぞれもつ技術力を用いてテクノロジーの価値を提供していけるような、スタートアップ連合軍作るというのが我々が成し遂げたい夢なのです。

投資家の皆様へメッセージ

足元の事業成長という面では、リテールマーケティング事業におけるカメラの導入店舗数や設置数などの指標を、中期的な売上成長のKPIとして開示することで、事業成長やそのスピードをよりご理解頂きたいと思っています。

また、投資家の皆様には、当社の事業は更なる成長余地があるという形で、より注目していただきたいと思っています。既存の海外拠点を起点に、スピード感をもってさらにグローバルに、かつ幅広い業界のDX化をサポートすべく、事業を拡大していきます。

ユニークで稀少性のあるビジネスモデルに加え、これまで蓄積してきた大容量データの解析技術と、プロダクトをグローバルに同時展開できる競争優位性をご理解いただき、今後も当社グループをご支援頂ければと思います。

本日は誠にありがとうございました。

データセクション株式会社

本社所在地:東京都品川区西五反田1丁目3番8号 五反田PLACE 8階

設立:2000年7月11日

資本金:1,515,378千円(2022年9月30日現在)

上場市場:東証グロース(2014年12月24日上場)

証券コード:3905

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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