1. ホーム
  2. IR情報
  3. 【8925】株式会社アルデプロ代表取締役社長 椎塚裕一氏「不動産再活のノウハウと高い調達力を武器に日本の再活性化に貢献する」

【8925】株式会社アルデプロ代表取締役社長 椎塚裕一氏「不動産再活のノウハウと高い調達力を武器に日本の再活性化に貢献する」

※本コラムは2023年2月22日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社アルデプロは不動産の再活と日本の再活をテーマに掲げ、財務体質の改善や人材育成の強化によって信頼を獲得し、成長を続けてきました。

代表取締役社長の椎塚裕一氏に、事業上の強みや成長可能性を伺いました。

目次

株式会社アルデプロを一言で言うと

内装業を目的に創業しましたが、2001年の中古マンションの再活事業に進出して以来20年以上にわたり不動産再活によって日本全体を再活性化することを目指している会社です。

代表就任の経緯

元々前職が司法書士であり、当社の登記関係を全て担当しておりました。約25年にわたって登記関係を担当し、後に上場を目指すにあたり、社外から役員として携わらないかとお誘いいただき、2008年に社外監査役として当社に参画いたしました。

ちょうどリーマンショックが起こり、会社の規模を縮小し、全国にあった支店の閉鎖が続いていたようなタイミングでした。

そのような中で再出発を目指し会社の業務を支えていく中で、2014年からは取締役を務めたのち、2016年に代表に就任いたしました。

以降の大きな転換点としては、やはり黒字化となった2020年期あたりがあげられます。

それ以前は100億円クラスの大型案件を扱っていたのですが、売却先が限られることから事業上は安全性や再現性の観点に課題がありました。また、これに伴い想定していた売上計上の時期がずれることが、会社のPLに大きく影響してしまうという懸念もありました。

そこで我々は原点回帰をテーマに、創業当時扱っていた中小型の案件に主軸を戻し、財務体質の見直しを行ったというわけです。

10億から20億円規模の案件に特化し、日本全国に営業所を持つ不動産デベロッパーをターゲットに事業を拡大させてきました。

また、この施策によって従業員の採用と育成が重要となりますので、社員に対しては継続的な教育・研修を提供し、高い技術力と知識を持った社員の育成を実現してきました。

これにより、当社はお客様からの厚い信頼を受け、ここまで成長を続けることができたと感じております。

事業内容について

不動産の再活用を通じた日本の再活性化を目指し、これをテーマに二つの事業を行っています。

一つは再活事業でして、中古物件を購入し、必要に応じて修繕や手入れを行い、投資家、デベロッパーや一般の事業法人に売却するものです。

手入れが行き届かず外壁にひびが入っていたり、メンテナンスが施されていない不動産は、どうしても入居者が敬遠する傾向にあります。また、そのために入居率が低く、賃料も低くなってしまいます。

当社は、そういった不動産を購入し、修繕や手入れを行い、それらの不動産が持つ本来の価値を引き出すことで、投資家、デベロッパーや一般の事業法人に売却することで再活用しております。


株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料
 より引用

また、複雑な権利関係を持った古い建物を購入し、権利調整を行って不動産デベロッパーに売却することで、開発用地として提供する再開発アジャストメント事業も行っております。

古い建物は相続の発生により権利関係が非常に複雑な場合があります。また、入居者も長く滞在しているがために当初の契約関係を把握していないケースが多々あります。

当事業はこのような不動産の権利調整を通じ新たなビルやマンションを建築・再生して都市再開発を促進していく事業ともいえます。


株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料 より引用

当社の強みとして、まずは権利調整の専門性が挙げられます。その中でも、再開発アジャストメント事業における権利調整能力が最大の強みと言えます。

先ほども申し上げた通り、古い建物には複雑な権利関係が絡んでいることが多く、所有者が複数いたり、テナントとの契約が20年、30年以上も更新されていなかったりすることがあります。

また、入居者が賃料を支払わないまま居座り続けていることもあるため、権利関係を整理することは容易ではありません。

こうした複雑な権利関係を整理するためには、一朝一夕ではなし得ない専門知識と豊富な経験が必要です。また、これを事業として成り立つかどうかを見極める力も非常に重要です。

現場ではマトリックスを使ってフィルターをかけることで、適切な案件を仕入れていますが、こうした見極めのプロセスには、当社がこれまで積み上げてきたノウハウが反映されております。

また、不動産の調達力も我々の強みです。

当社は20年以上にわたって中古の不動産に特化して事業を行ってきました。権利関係や建物の状況から扱うことが難しいとされるような物件でも、アルデプロであれば検討してもらえるという評判が業界内では浸透していると認識しています。

仕入れにあたっては、一次情報取得のために専門家や各プロフェッショナルとの連携が必要となりますが、このように我々には中古不動産に関する情報収集力があり、その実績が新しい仕事を呼び込む好循環をも生み出しているのです。


株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

当社のメインビジネスである不動産再活・再開発アジャストメント事業は非常に大きな市場規模を持っております。

いわゆる「旧耐震」とカテゴライズされる昭和56年以前に建てられた建物のうちマンションだけでも116万戸程度にのぼり、それだけ建て替えと権利調整のニーズが発生する可能性がある不動産が眠っているというわけです。

また、建築基準法上では旧耐震にあてはまらずとも、仮に昭和60年でもすでに40年近い年月が経過しており、かつ一度も修繕などを施されずにいる建物も多くあるのが現状です。

このように当社としては事業拡大の余地は多いに残されていると考えており、引き続き専門性の高いノウハウと調達力を軸とした事業成長を目指してまいります。


株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料 より引用

在庫の調達に関しては財務体質を強化したことが新たな金融機関との取引増加という形で事業に貢献しております。

当社の利益率や在庫回転率は業界の中でも極めて高水準であり、これ自体が他社と比べた優位性でもあります。また、今後は調達した不動産を一定期間保有し、そこで賃料収入を得ることでストック比率を5%まで引き上げたいと考えています。

こちらについては一方で自己資本比率の低下要因となりますので、フロー型とストック型のバランスを大切にしながら、さらなる財務体質の強化を進めてまいります。


株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料 より引用

また、冒頭でも申し上げたように中小型案件に特化するという観点から、採用を積極化していくことも計画しています。

これまで少数精鋭でやってきた特徴を生かしつつ、営業人員を増やして事業スケールを拡大させます。

また、継続的な成長を実現するためには培ったノウハウを次の世代に引き継ぎ、組織を柔軟にするためにも若返りを進める計画を立てています。

もちろん年齢や性別に関係なく、人材の中身を重視して採用を進めていきますが、柔軟性を持たせるためには、やはり若手の採用が欠かせなくなるだろうと考えています。

コロナ禍での地方移住やオフィス移転の流れも一巡し、不動産業界における東京一極集中の動きは今後も変わらないトレンドであると認識しています。そのため、引き続き東京のマーケットをメインとして事業を拡大させることを考えています。

また、仕入れの新たな手段としては、昨年10月より複数の不動産を保有する個人の資産管理会社のM&Aを進めております。

現在、日本では後継者不足により、多くの会社が倒産しています。このような会社において、保有している不動産の評価は低く、不動産を売却することは難しいため、会社全体を売却したいという方々が多いのが現状です。

特に東京においては、こうした傾向が顕著に見られます。我々としては、引き続き資産管理会社の形で東京の不動産を仕入れていくことを考えています。

株式会社アルデプロ 2023年7月期 第2四半期 決算説明会資料 より引用

また、さらに将来的な視点では地方にも目を向けた戦略を検討しています。

日本には多くの魅力的な観光地があります。例えば、日本の雪質には人気があり北海道のニセコに続く次の観光地として、長野の白馬村などには注目が高まっているのです。

これらの地域はまだ開発の手が入っておらず、今後、観光客が増加することが予想されています。そのため、アルデプロ社は早期にこれらの地域を開発し、不動産の持つ潜在的な価値を最大限に引き出すことを目指しています。

また、これを通じて当社の企業価値向上も図ってまいりたいと考えています。

投資家の皆様へメッセージ

特に権利調整のビジネスに関しては、個人の投資家様にとっては馴染みがなく、事業を深く理解することはなかなか難しい部分があるかと思います。

まずは在庫回転率や15%という高い利益率といった当社の経営指標を通じて会社の体質を理解していただきたいと考えています。

また、フロー型のビジネスモデルが多い不動産業界の中で、フロー型とストック型のバランスを大切にし、これらの経営指標をあまり落とすことなく経営を続けているという点にもぜひ注目していただけますと嬉しく思います。

株式会社アルデプロ

本社所在地:東京都新宿区新宿三丁目1番24 京王新宿三丁目ビル2階

設立:1988年3月1日

資本金:24億2,810万2,183円(2022年7月31日現在)

上場市場:東証スタンダード(2004年3月18日上場)

証券コード:8925

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

・本サイト「資産運用ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営しております。
・本サイトに掲載される情報に関しては、最大限の注意を払っておりますが、金利、手数料、その他商品情報の完全な正確性や信頼性を保証するものではありません。
・本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

目次