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【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」わたしのIFAコラム

※本コラムは2022年8月30日に実施したIRインタビューをもとにしております。

商談型展示会事業やハイブリッド展示会事業を核にして、業界に特化したBtoBマッチング・プラットフォーム事業を展開するブティックス株式会社。

これまで築いてきたノウハウや人脈を活かして、介護業界や医療業界、障害福祉、建設業界などで小規模事業者のM&A仲介サービスにも領域を広げ、さらなる発展を目指しています。

現在のビジネスモデルに行き着いた経緯、これからの展望について、代表取締役社長の新村祐三氏に話を伺いました。

目次

ブティックス株式会社の創業のきっかけ

もともと学生の頃から、30歳になる前には起業したいと考えていました。そこで、若いうちから経営者に近い立場で経験を積みたいと思い、就職する会社は社員数50名以下で、かつ年齢に関係なく実力次第で権限が与えられると聞いていた外資系を軸に探し、当時日本法人が出来て間もない、展示会を主催する外資系の会社に新卒入社しました。

早く上司から認めてもらいたかったので、とにかく結果を出そうと思い、営業でトップの成績を出したところ、24歳の時に大きな展示会の事業責任者を任せてもらいました。実はこの頃、まさに1990年代初頭のバブル崩壊の時期で、多くの企業が展示会の予算を絞り込んだため、ある展示会の業績が大きく傾いていて、その立て直しというミッションを背負っての任命でした。

事業責任者に着任してから結局5年かかりましたが、無我夢中で取り組み、その事業の立て直しに成功し、業績をV字回復させることが出来ました。その結果が評価され、それ以降、会社の中で業績不振に陥った事業の立て直しを次々と任されるようになり、通算5つの事業の立て直しを行うことになりました。

1つの事業の立て直しに3年ぐらいかかるので、5つの事業を立て直すのに、足掛け15年を費やしましたが、結果、全ての事業をV字回復させることに成功しました。

その頃には最年少で取締役にも就任しており、次期社長の椅子も見えていました。30歳前には独立するつもりで入社した会社でしたが、このままこの会社で社長になるのもありか、などとも考えていました。

一方、その当時、妻の実家が介護用品のレンタル事業を営んでいたのですが、介護保険制度改正のあおりで業績が悪化し、苦境に立たされました。親戚とはいえ、私が背負うよう関係ではなかったのですが、このままいくと、いずれ倒産するだろうな、という厳しい状況でした。

その時、ふと思ったのです。自分はこれまで事業の立て直しをいくつもやってきたではないか、これはひょっとしたら、自分が独立して起業する、最後のチャンスなのではないかと。つまり、妻の実家の事業を立て直すことを入口に事業を拡大していけば、起業するのとかわらないのではないかと考えたのです。

そこで17年間務めた会社を辞め、妻の実家の会社の株式を買い取って社長に就任しました。これがブティックスの始まりです。

社長就任後のビジネスモデル

かなりの逆風でしたから、想像していた以上に厳しいスタートでした。介護保険に依存したビジネスモデルなので、制度改正による影響をモロに受けます。介護保険の適用範囲が狭められたことで、レンタルしていた介護用品がどんどん返品されました。私も必死に営業したのですが、全く契約が取れずに業績は下がる一方でした。

そんな時、介護用品をレンタルしていた高齢者の方が、介護保険の適用基準を満たせなくなったために返品せざるを得ず困っているという話を聞きました。中には中古品や新品を自費で購入している方も多いことも分かったので、それなら、介護保険制度に依存するレンタル事業ではなく、保険適用外の販売事業にシフトしようと考えました。

そして、後発でも一気に業績を上げることができる方法はないかと考え、介護用品のインターネット通販事業を思いついたのです。

こうして始めた介護用品のインターネット通販事業ですが、最初は全く売れませんでした。家賃も払い、従業員も雇ってスタートしたのですが、売上はほとんどないのに、経費だけは出ていくので、毎月100万円もの赤字が続き、どんどん資金が減っていきました。

なぜ売れないのか、改めてお客様の目線で考えたところ、介護靴、杖、車いす、介護ベッドというように、色んな介護用品が、一応、何でも揃ってはいたのですが、いざ特定の商品を探そうとすると、どこに何があるのか分かりにくく、しかも、それぞれの商品ジャンル毎に見てみると、品揃えが中途半端で、本当に欲しいものが見つからない状態だということに気付きました。

そこで、介護靴なら介護靴の専門ショップにし、同時に介護靴なら何でもあるというように、とことん品揃えを増やすことにしました。しかも返品交換にも無料で応じました。そうしたところ大ヒットして、あっという間に月の売上が100万円に達したのです。

そこから車いす、杖、介護ベッドというように、商品ジャンル毎に専門ショップを展開していきました。結果、6年で売上が8億円くらいになり、介護用品のネット通販では、トップクラスの企業になれたのです。

介護用品のECから展示会ビジネスをスタートさせたきっかけ

ネット通販事業は、売上はそれなりに上がっても、薄利多売の事業なので、利益は数パーセント程度にしかなりません。ですので、競合が現れて価格競争にでもなったら、一気に赤字になりかねません。

事業開始当初から、わかってはいたのですが、その恐れていたことが現実になりました。実際に競合が現れると、価格競争だけでなく、当時、集客はリスティング広告が主だったのですが、広告費用がどんどん高騰し、みるみる収益性が悪化していきました。

そこで、業績立て直しのために、10くらいの新規事業のアイデアを練って、片っ端からトライしたのですが、そのうちのひとつが展示会事業でした。当時、介護施設がどんどん新設されていて、当社の通販の仕入先だった介護用品のサプライヤーが、介護施設向けに商品を販売したいと考えていたのです。

ところが、サプライヤーは、介護施設の方々と知り合う機会があまりなく、一方、介護施設の方々も、介護用品を探す際に情報がなくて困っているのに、日々の介護で多忙なので、サプライヤーの営業に付き合う時間がなく、この結果、お互いニーズはあるのに、接点がなかなか持てていない状況でした。そこで、両者をマッチングさせるための展示会を開催しようと考えたのです。

ただ、展示会といってもブースに商品を並べるだけではマッチングになりません。出展側の担当者が席を外していて、介護施設の方がブースを訪れても商談できないとなったら、何のために展示会に来たのか分からなくなってしまいます。そこで事前に介護施設職員向けのガイドブックを作って配布し、ブースへの訪問を希望する介護施設の方と出展社との商談日程の調整も行いました。

そうすれば、来場者は事前に自分が行くべきブースがどこか分かりますし、そこに行って出展社の担当者と会えないという事態も防ぐことができます。さらに出展社側も事前に見積もりなどを準備できるので、最速で商談成立まで持っていくことができます。

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」資産運用ナビコラム
ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

この「商談・マッチング」にこだわった展示会のコンセプトが業界でも非常に反響を呼び、初回から大成功を収めることができました。そして、第1回目の東京での開催を皮切りに、大阪、福岡、名古屋、仙台、札幌、横浜と全国7か所で開催することになり、現在では、介護業界最大級の商談展になっています。

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ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

M&A仲介事業を始めた経緯

展示会事業を始めたものの、1つの事業に依存した一本足打法では怖いので、会社自体を安定的に成長させるためには、もうひとつ事業の柱が必要だと考えていました。

 展示会事業を始めた当初、どんな商品を探しているか、ニーズをヒアリングするために、介護事業者をかなり訪問していたのですが、お話をすると、勢いのある介護事業者からは、規模を拡大したいので施設売却を希望するところがあったら教えて欲しいと言われる一方、比較的小規模に運営している介護事業者からは、経営が苦しいから事業をやめたいと思っているが、入居者や職員のことを考えると、なかなか、やめるわけにはいかなくて悩んでいる、という話を聞きました。

それなら、この両者をマッチングさせれば良いと考え、始めたのがM&A仲介事業です。

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」資産運用ナビコラム
ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

もちろん他にもたくさんのM&A仲介会社はあります。しかし、ほとんどの仲介会社は、仲介手数料として、最低でも1千万円~2千万円を取るようなところばかりでした。当然、小規模介護事業者にそこまでのお金を払う余裕はありません。そこで私たちが、最低100万円から、という格安の仲介手数料でM&Aを請け負うことにしたのです。

そうしたところ、売り手からも買い手からも、続々とM&Aの希望者が集まり、あっというまに当社の主力事業になりました。今では、年間の成約組数が120組を超え、介護・福祉分野のM&Aでは、日本最大の事業にまで成長しました。

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」資産運用ナビコラム
ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

今後の事業展開

展示会事業、M&A仲介事業ともに、これまでは、介護・福祉業界を対象に行ってきましたが、それぞれの事業で、しっかりとビジネスの基礎が出来てきたので、これから、対象となる業界を横展開していきたいと考えています。

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」資産運用ナビコラム
ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

展示会事業もM&A仲介事業も、「寡占化が進んでいなくて、小規模事業者が林立している業界」というのは、非常にマッチングのニーズが高く、そのような業界は、まだまだ沢山あるので、順次、参入していきたいと考えています。  

展示会事業においては、これまでは、介護業界の展示会が中心でしたが、2022年8月より、IT業界に新たに参入し、DX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマとした展示会の開催をスタートしました。

【9272】ブティックス株式会社代表取締役社長 新村祐三氏「展示会事業からM&A仲介事業まで横展開が企業の成長を支える」資産運用ナビコラム
ブティックス株式会社2023年3月期 第1四半期決算説明資料 より引用

M&A仲介事業でも、これまでは、やはり、介護・福祉業界が中心でしたが、2022年7月から、建設業界のM&Aに新たに参入を開始しました。今後も、これを皮切りに、新たな業界への横展開を図っていきたいと考えています。

ブティックス株式会社 (Boutiques, Inc.)

本社所在地:東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル11階

設立:2006年11月

資本金:261百万円 ※2022年6月30日時点

上場市場:東証グロース(2018年4月3日上場)

証券コード:9272

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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