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【9561】株式会社グラッドキューブ 代表取締役CEO 金島弘樹氏「シナジー効果のある3事業での連続的な成長」

※本コラムは2023年2月21日に実施したIRインタビューをもとにしております。

インターネット広告代理店からスタートし、今ではSaaS事業やSPAIA事業まで展開する株式会社グラッドキューブ。

代表取締役CEOの金島氏に、これら3つの事業を展開する上での強みと、今後の成長戦略について教えていただきました。

目次

株式会社グラッドキューブを一言で言うと  

シナジーがあるコングロマリット企業です。

創業の経緯

大学卒業後は消費者金融に勤めていました。私の業務は多重債務者に融資をするというものでしたが、そこでは債務者と債権者のパワーバランスが完全に崩壊しているように感じました。

借りている側が利息を支払うことで会社が成長できているにも関わらず、彼らの立場の方が企業よりも低く、特に消費者金融では立場の違いが顕著に表れていました。

「本当にお客様は喜んでいるのか」ということを考えながら消費者金融での勤務を続けていたのですが、ある日交通事故により体が動かせなくなってしまい、勤務を継続することができなくなってしまいました。

そこで新たに、インターネットを用いた事業を自宅で開始しました。最初はドロップシッピングから始め、Yahoo!ショッピングに広告を掲載しましたがあまり効果を上げることができませんでした。

その後はグーグルアドワーズ(現Google広告)や、オーバーチュア(現Yahoo!プロモーション広告)への広告出稿にも取り組みました。

継続していくうちに徐々に効果が数字に現れ、費用対効果が得られることに感動しました。時には1日16時間ほど打ち込むなどさらに強化していき、いつの間にか“インターネット広告のプロフェッショナル”になっていました。

この時期より、周囲から広告のコンサルティングをしてほしいという要望をいただくようになりました。そこで、当初ご依頼いただいた300社のうち、30社に対してskype相談という形でインターネット広告のコンサルティングを行いました。

その後しばらくはコンサルティング業務を続けていたのですが、インターネット広告の代理店になってほしいという要望もいただき、2011年にインターネット広告代理店へとシフトしました。

創業以来の転換点としては2つあります。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

まずは、2011年にGoogle Excellent Performer Awardという、新規顧客獲得数や広告のパフォーマンスを競うアワードにおいて最優秀賞を受賞したことです。

この賞を獲得したことは、ブランディングという観点からは大きな差別化ポイントとなりました。

3ヶ月間広告費を0円とするなどのキャンペーンも実施し、約7,000社の中から受賞することができました。

以降、この賞が終了する2013年下半期まで5期連続で受賞しております。

受賞後は国内代理店で初めて最優秀賞を獲得した企業として、Googleの公式YouTubeや翔泳社が運営するMarkeZineなど多様なメディアに掲載していただきました。

また、当初の想定通りインバウンドのお問い合わせをたくさんいただけるようになりました。

次に、2013年に広告代理店としては初のSaaSシステムである、「SiTest」を構築したことです。

売上として会社の成長に寄与するまでには時間を要してしまいましたが、今では4割を占めるまでに成長しています。

当時のノウハウや経験は、10年が経過した今でもシステム開発の基盤となっています。

事業内容について

主に3つの事業を展開しております。

1つ目は、SaaS事業の「SiTest(サイテスト)」と「FasTest(ファーステスト)」になります。

前者は簡単に言うとウェブサイトをテストするサービスでありまして、ウェブサイトの解析から改善までを一貫して提供しております。こちらはアジアで70万以上のサイトに導入していただいております。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

後者はウェブサイトの読み込みを高速化させるツールになります。サイトの読み込みが遅いと、それだけでユーザーはサイトから離れていってしまいます。そのため、いかにスムーズにサイトを表示させるかが重要になります。

URLを「FasTest」にアップロードするだけで、自動的に軽量化し読み込み速度を速くするため、誰でも簡単に利用することができます。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

2つ目は、マーケティングソリューション事業になります。

創業から蓄積したノウハウを基に、大手企業から個人の方までの課題解決に向けて取り組んでおります。インターネット広告運用力とアクセス解析力においては高い市場評価をいただいております。

3つ目は、SPAIA事業になります。

「SPAIA」では、NPB、Jリーグ、Bリーグといったスポーツの情報を扱い、それらのデータを各大手メディア系企業にて提供しています。「SPAIA競馬」では競馬予想AIを搭載し、買い目やレース予想等を提供しています。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

2013年にスタートしたSaaS事業は、その他2つの事業のシナジー効果を高める事業となっております。

これら3つの事業を軸に展開しておりますが、当社は業界内でトップクラスの利益率の高さを維持しています。これは、お客様のタイプにマッチしたチームをあてて対応することで実現しています。

さらに、多数の賞を獲得したことで販促費を一切使うことなく、お問い合わせをいただくことができています。

中長期の成長イメージとそのための施策

事業間クロスセルに伴うシナジーの最大化については、組織体制の変革や社内セミナーの実施等の施策が奏功しており、数字にも表れています。ですが、さらにその数値を高めるべく、さらなるシナジー創出に向け新たな取り組みもスタートします。

今後は「SiTest」のみならず、「FasTest」の機能拡充や、新規SaaSの開発もしてまいります。複数の解析システムを使うという課題と、コンサルティングニーズの高まりを受け、A/BテストのサポートやLP制作を迅速に行います。

当社には解析チームとマーケティング広告チームの両方が存在しているため、これらを並行して行えるのは他社との差別化ポイントとなり得ます。皆様にはこれを認知していただきたいです。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

当社は3つの事業を展開しているため、それらの関連性を活かした成長ができ、特にマーケティングソリューション事業とSaaS事業はシナジーが利きやすいものであります。

時々、SPAIA事業は他の事業と関連がないのではという意見もいただきますが、我々としては、3つの事業とも“データ解析”の共通ワードが根底に存在していると思っておりますし、実際に会社の中で相乗効果を感じることができています。皆様にこの点をもっとアピールしていかなければならないと考えています。

株式会社グラッドキューブ 2023年12⽉期 事業計画及び成⻑可能性に関する事項 より引用

成長戦略の全体像といたしまして、中長期的には売上構成比を、SaaS事業で30%、マーケティングソリューション事業で30%、SPAIA事業で40%にすることをイメージしております。

ただし、この数値目標にこだわりをもっているということでもありません。3つ全ての事業に対して全力で取り組み、シナジーを創出することを目指しております。

皆様が期待するのは急成長することであると我々も承知しておりますが、当社は創業以来、コツコツと伸びてきた会社です。我々としては今後も連続した成長を実現させていきたいという想いがあります。

投資家の皆様へメッセージ

投資という世界も経営という世界も、どちらも短期よりも長期的な目線で見る方が良いといわれています。

会社の事業形態や成長性はもちろんのこと、見た目だけで判断されないように精神性、人間性を磨き、良いビジネスパーソンに成長したいと思っております。

そして、皆様に応援していただけるような事業、会社となるよう努めてまいりますので、応援していただけますと幸いです。

株式会社グラッドキューブ

本社所在地:大阪府大阪市中央区瓦町2-4-7 新瓦町ビル 8F

設立:2007年1月

資本金:369,890,950円(2022年12月31日現在)

上場市場:東証グロース(2022年9月28日上場)

証券コード:9561

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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