- 海外投資の始め方が知りたい
- 海外投資する際の注意点を理解したい
- 海外投資のメリットとデメリットを知りたい
近年、資産運用の普及によって、日本国内だけではなく海外に投資を始める人も増えてきた。
「海外投資を行いたいが何から始めたら良いかわからない」「海外投資を行う際の注意点が知りたい」と考えている方もいるのではないだろうか。
今回の記事では、海外投資のメリット・デメリットや海外投資を行う際の注意点、具体的な始め方について詳しく解説する。
海外投資をするメリット・デメリット
まずは、海外投資の具体的な方法とともに、メリット・デメリットを詳しく確認していこう。
海外投資の具体的な手法
海外に投資する手法には、大きく分けると以下の3種類がある。
- 日本国内の証券会社で取り扱っている海外金融商品を購入する方法
- 海外資産に投資を行う国内の投資信託やETFを購入する方法
- 海外の金融機関の口座を開設して、直接現地の株式や債券を購入する方法
1の方法は、日本国内の証券会社に口座を開設して、外国株式や海外ETF、外国投資信託、外国債券などを購入する方法だ。
海外の発行体が円建てで発行している金融商品もあり、ニーズに合わせて直接の為替リスクを回避することもできる。
2の方法は、国内の投資信託やETFを通じて、海外の金融資産に投資する方法だ。
円建てで投資できて、為替ヘッジありとなしの商品がある。
上記の中で、一般的な投資家に取り組みやすいのは1と2の方法だ。
日本にいながら手軽にアメリカをはじめとする海外資産への投資ができるため、手間をかけずに海外投資ができる。
3の方法の場合は、国内ではなく海外の金融機関に口座開設を行う必要があるため、一般的な投資家には少しハードルが高いだろう。
海外投資のメリット
海外投資を行うことで、国内だけでなく海外の資産への分散投資が可能となる。
これは「国際分散投資」という考え方で、さまざまな国や地域の複数の金融商品に資産を分散させることで、リスクを抑えながら安定的にリターンを狙うという投資方法だ。
国や地域によって景気の良し悪しや金融市場の値動きはさまざまだ。
日本だけでなく海外の資産にも投資を行うことで、万が一日本の経済が大幅に悪化して金融市場が急落した場合も、海外の金融資産への投資で得たリターンが損失をカバーしやすくなるだろう。
また、日本の金利は非常に低い金利が続いている。
2024年3月にはマイナス金利政策が解除されたものの、定期預金や債券の金利水準は未だかなり低いといえる。
そのため、国内の金融資産にお金を預けているだけでは、なかなか効率よくお金を増やすことはできないだろう。
海外の金利は日本に比べると金利水準の高い国もあるため、日本の金融商品よりも高い金利で運用できる場合もある。
円ではなく外貨建てで運用することで、高い利回りで資産を運用しやすくなるというメリットがある。
さらに、外貨建てで投資を行うと、為替差益を得られるケースがある。
仮に、為替相場が1ドル=130円の時にドル建ての資産に交換して運用したとする。
その後、1ドル=150円のタイミングで日本円に交換すると、円安に進んだ分を為替差益として受け取れる。
為替の動きによるリターンを得られるのも、国内投資では得られない海外投資の魅力の一つだ。
海外投資のデメリット
一方で、海外投資にはいくつかのデメリットや注意点も存在する。
まずは、外貨建ての金融商品に投資する際の為替リスクだ。
投資タイミングより円安に進めば為替差益を得られる一方、円高に進んだ場合は為替差損が生じる。
外貨建てで資産価格が上昇していたとしても、為替相場の変動によっては円建てで資産が目減りしてしまうケースもあるため注意しよう。
また、外貨建ての金融資産に投資を行う際は、為替手数料が発生する点に注意が必要だ。
為替手数料とは、円をドルやユーロなどの外国の通貨に交換する際に、金融機関に支払う手数料のことで「1ドルにつき○円」といったように決められている。
為替手数料の大きさは、金融機関や交換する通貨によって異なる。
金融機関や通貨によっては、片道数%もの為替手数料が必要となるケースもあるため、海外投資を行う際はあらかじめ確認しておこう。
海外投資の始め方
続いて、海外投資を始める際の具体的な方法について紹介していく。
海外投資を行う際に注意したいポイントについても併せて解説する。
海外投資を始める流れ
海外投資を始める流れについて、SBI証券を例にして解説していく。
ここでは、外国株式および外国債券の買い方を説明する。
外国株式の買い方
外国株式を購入する際は、以下の手順で手続きを行う。
- 外国株式取引口座を開設する
- 資金を入金する
- 外貨建て商品取引サイトから注文を入力する
外国株式を購入する際は、外国株式取引口座を開設する必要がある。
総合口座を開設した後または口座開設と同時に外国株式取引口座を開設しよう。
続いて、外国株式取引に必要な資金を入金する。
円貨決済を行う場合は日本円、海外通貨で取引する場合は外貨の準備が必要だ。
外貨を準備するには、外貨入金または為替取引を行う。
入金が完了したら、外貨建て商品取引サイトにログインして、「取引」>「注文する国の株式」を選択して注文内容を入力する。
「注文確認」画面で注文内容を確認したら「注文発注」ボタンを押して、手続きを完了する。
外国債券の買い方
外国債券を購入する際は、以下の手順で手続きを行う。
- SBI証券のマイページにログインする
- 外貨建て債券の取引ページから購入したい銘柄を選択
- 注文内容の入力・確認・発注
SBI証券のサイトメニュー「取引」>「外貨建て債券」から購入したい銘柄を選択する。
「お申し込み」ボタンから銘柄の詳細をチェックして、商品内容や目論見書の確認を行おう。
買い付け数量(額面)を入力して、注文内容を確認した後、発注手続きを行えば完了だ。
海外投資にかかる税金の種類や申告方法
海外投資を行う際は、日本と海外の現地国の両方の税金がかかる。
国際税務の基本的なルールとして、日本居住者は全世界の所得に対して税金がかかる「全世界所得課税」となるためだ。
このような日本と海外の両方に税金を納めることを「二重課税」といい、二重課税が発生している場合は外国税額控除の手続きを行うことで、余分に支払った税金を取り戻せる。
外国税額控除額の計算は、個人の所得税や利益の金額によっても異なるため、不安な方は税理士や税務署に相談するのをおすすめする。
海外の金融商品を選ぶ時のポイント
海外の金融商品を選ぶ際は、「安全性」「流動性」「収益性」の3つの点から投資に適した商品化を検討しよう。
安全性は、元本がどれだけ守られるかの度合いのことだ。
海外資産の場合は、国としての安定性や通貨としての健全性も関わってくる。
投資しようと思う金融商品の過去の値動きの大きさやこれまでの運用パフォーマンスもしっかりチェックしておこう。
流動性は、現金化のしやすさのことだ。
中途解約ができるかや途中で換金する際に手数料が必要か、換金の申し込みからどのくらいの期間で現金化できるかなどをあらかじめ確認しておこう。
海外の投資信託の中には、現金化されるまでに数日かかるものもあるため、注意が必要だ。
収益性は、高い収益が期待できる度合いのことを指す。
高い利回りが期待できるかや、運用コストはどのくらいかかるかを確認しよう。
加えて、海外の金融商品に外貨建てで投資する際は、将来的に為替差益が期待できるかも考慮するのをおすすめする。
収益性は、安全性および流動性とは相反する関係にあるため、高い収益性を求めると安全性・流動性は低くなりやすい。
自分のニーズに合わせて3つのバランスを取るように心がけよう。
海外投資をする際に覚えておくべきこと
海外投資を行う際は、覚えておきたいポイントがいくつかある。
ここでは重要な3つのポイントについて解説する。
投資国の政治・経済状況を理解する重要性
海外投資にはカントリーリスクが存在する点に注意が必要だ。
カントリーリスクとは、特定の国や地域の政治・経済情勢の変化によって、期待していたリターンが確保できなかったり、損失を被ってしまったりするリスクのことだ。
紛争や災害が起こることによって、その国や地域に関わる金融資産の価値が暴落してしまうこともある。
カントリーリスクを抑えるためには、国内投資を行うときよりもさらに詳しく情報を得た上で、投資判断を行おう。
投資する国や地域の政治・経済情勢をしっかりと把握した上で、自分の許容できるリスクに収まるかどうかを検討するのがおすすめだ。
長期投資・投資対象国を分散することの重要性
海外投資では、「長期投資」や「分散投資」を心がけることも重要だ。
長期投資を実践することで、短期的な価格の動きに左右されず、長期目線でじっくりと資産を増やしていける。
また、長期間運用を続けることで複利効果も最大限活かせるため、効率よく資産形成が行えるだろう。
分散投資を行うことで、特定の資産の値下がりによる資産全体の急落リスクを抑えやすくなる。
海外投資を行う際は、特定の国や地域にのみ投資を行うのではなく、複数の国や地域に投資を行うのがおすすめだ。
「オルカン」と呼ばれるような全世界株式に投資を行うインデックスファンドや、さまざまな国や地域に分散して投資を行うバランスファンドなどを購入すれば、手軽に分散投資が実践できる。
海外投資における為替相場の重要性
海外投資では、為替相場の動きも投資成績に大きな影響を与える。
例えば、1株=100ドルの米国株を10株購入するとする。1ドル=150円で円から購入したとすると、必要な資金は米ドル建で1,000ドル、円換算で150,000円となる。
株価が1株=110ドルに上がったとしても、為替相場が1ドル=130円の円高となっていた場合、円換算で受け取れる金額は143,000円だ。
このように、為替相場の動向によっては、海外資産の価格が上がっていたとしても、為替差損分でマイナスになってしまうこともある点に注意しよう。
海外投資をするなら誰に相談するべき?
これから海外投資を行う際は、専門家に相談しながら投資先を検討するのをおすすめする。
以下では、専門家に相談するメリットやおすすめの相談先を解説する。
海外投資における専門家の重要性
海外投資を始める際は、専門家に相談するのが重要だ。
海外の金融商品は、日本国内の金融商品に比べて情報を入手するのが難しいことも多く、一般的な投資家は最新の情報を入手するのにも手間や時間がかかる。
リスクを抑えて安定的に運用を継続するためには、正しい情報収集が求められるため、適切な知識や情報源を確保する専門家からアドバイスをもらうことが大事となる。
IFAの役割とメリット
海外投資についてアドバイスを求める場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の利用がおすすめだ。
IFAは、金融機関に所属せずに顧客に資産運用の助言や提案を行う専門家だ。
特定の会社に属していないため、会社の営業方針や販売ノルマに左右されずに、顧客目線でのアドバイスを提供してくれるというメリットがある。
会社都合の異動や転勤も原則として発生しないため、長期的に信頼関係を築きながら資産運用を任せられるのも魅力的だ。
長期的に資産運用のサポートをしてもらいたいという方は、ぜひIFAへの相談を検討してみよう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法
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資産分散にも効果的!可能性が広がる海外投資!
海外投資を行うと、日本だけでなく海外の金融資産にも分散投資ができるため、リスクを抑えて安定的に投資を継続しやすくなる。
海外は日本よりも金利が高い国も存在するため、同じような金融商品でも高い利回りを狙いやすいケースもある。為替の動向によっては、為替差益を得られる場合もあるだろう。
ただし、為替変動によっては為替差損が生じて損失が発生する可能性がある点や、円から外貨へ交換する際に為替手数料が必要となる点には注意が必要だ。
今回の記事では、海外投資の始め方や具体的な商品選びのポイントについて紹介した。
海外投資を行う際に覚えておきたい点についても解説したので、これから海外の金融商品に投資を行おうと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
ただし、本記事の内容はあくまで一例であり、最適な運用方法は人によって異なる。
そのため、海外投資について不安なことや疑問点がある場合は、専門家からアドバイスを受けるのをおすすめする。
特にIFAは、中立的な立場から最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる資産運用の専門家だ。
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