- 外国債券投資のデメリットが知りたい
- 外国債券投資のメリットが知りたい
- 外国債券のデメリットへの対策法を理解したい
債券は、定期的な利子収入や、元本が決められた日に返済される安心感があり、比較的安定した運用が可能である。
外国債券には、この安心感がある一方、為替リスクなど、日本の投資商品とは異なるリスクに晒されているので、注意が必要だ。
本記事では、外国債券投資の基本からメリット・デメリット、デメリットへの対処法までを紹介する。
投資初心者でも、外国債券投資の魅力を理解いただけるよう詳細に解説した。
また、外国債券だけでなく、債券全体に共通するメリット・デメリットを知りたい方はこちらを参考にしてほしい。
外国債券投資のデメリット
まずは、外国債券投資のデメリットを確認していこう。
デメリットを詳しく知ることで、自分の投資目的やリスク許容度に合った投資決定に役立ててほしい。
為替相場によっては損失が生じる場合がある
外国債券とは、「外国や外国の法人が発行した債券」または「外国の通貨建で発行される債券」を指すケースが多い。
外国債券の中でも、外国の通貨建てで発行される債券は、「外貨建て債券」と呼ばれることもある。
外貨建て債券は、外貨で元本の払込や利子の支払い、償還金の受け取りが行われるため、為替相場の変動によって円建てでの評価額が変わるという点に注意しよう。
例えば、1ドル=140円の時に、1万ドル分の外国債券を140万円で購入したとする。
外国債券の償還のタイミングで1ドル=150円の円安になっていれば、1万ドル分の外国債券は150万円として償還されるため、10万円分を為替差益として受け取れる。
しかし、逆に償還のタイミングで1ドル=130円の円高になっていれば、1万ドル分の外国債券は130万円にしかならないため、10万円の為替差損が発生してしまう。
外国債券の購入時よりも償還時で円高になっていると、為替相場の変動によって損失が生じるのだ。
償還時で円高になっている場合は、すぐに円に戻さずに、為替相場の様子を見て円に戻すことで為替差損を避けられる可能性がある。
そのため、外国債券投資を行う際は、為替相場が円高に進むリスクも踏まえた上で、償還時ですぐに使う必要のない余剰資金で投資を行うようにしよう。
途中売却を行う際は元本割れの可能性がある
外国債券も国内債券と同様に、満期まで保有すれば額面金額と同じ金額で償還される。
発行体に何事もなければ、外貨ベースでは額面金額が確保できるというメリットがあるが、満期までに途中で売却する際は注意が必要だ。
債券も株式と同様に日々価格が変動するため、途中売却する際はその時の時価での売却となる。
売却するタイミングによっては、外貨ベースでも元本割れしてしまう可能性がある。
特に、市中金利が上昇している局面では、すでに発行された債券の価格は下がりやすい。
満期まで保有すれば額面金額で戻るため、途中で売却することがないように気をつけよう。
信用リスクや流動性リスクがある
外国債券投資には、債券投資のリスクである「信用リスク」や「流動性リスク」も存在する。
信用リスクとは、債券の発行体の財務状況によって、利息や償還金が支払不能となってしまうリスクのことだ。
発行体の信用リスクを抑えるためには、外部の格付け機関によって付与される「格付け」を確認することが重要だ。
格付けとは、債券ごとに元利金支払いの確実性を評価して、その信用度をアルファベットや記号によってランク付けしたものである。
一般的に、格付けが高い債券ほど利回りは低く、格付けの低い債券ほど利回りは高くなりやすい。
また、外国債券投資の流動性リスクにも注意しよう。
流動性リスクとは、債券の取引が市場で行いにくくなるリスクのことだ。
債券の発行体の業績が悪化したり、発行条件が相対的に悪くなったりすることで、取引を希望する投資家が極端に少なくなると、保有している債券を売却できなくなるリスクが生じる。
市場での取引が難しくなると、希望する価格で売買できなくなったり、債券を手放したいのに現金化できなくなったりする可能性がある。
実際に、新興国の債券などは、情勢不安や災害などによって市場での売買が不可能となるケースも存在する。
新興国債券のデメリットについて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてほしい。
外国債券投資のメリット
いくつかのデメリットがある外国債券投資だが、投資家にとっての魅力ももちろん存在する。
ここでは、外国債券投資のメリットについて確認していこう。
国内債券に比べて高い利回りが期待できる
外国債券投資の最大の魅力は、国内の債券に比べて相対的に高い利回りを期待できる点だ。
日本では徐々に金利が上がってきたものの、それでも外国に比べて政策金利の水準は低く、債券としての投資妙味はまだ小さい。
下記の表は、各国の国債の10年利回りを比較したものだ。
指標 | 利回り(年) |
---|---|
日本国債10年 | 1.046% |
米国10年国債 | 4.408% |
ドイツ10年国債 | 2.584% |
イギリス10年国債 | 4.218% |
フランス10年国債 | 3.069% |
スペイン10年国債 | 3.307% |
ポルトガル10年国債 | 3.170% |
ユーロ圏10年国債 | 2.584% |
イタリア10年国債 | 3.895% |
ギリシャ10年国債 | 3.621% |
ハンガリー10年国債 | 6.870% |
出典:楽天証券 債券・国債利回り
表からもわかる通り、日本の国債利回りは他国に比べるとまだまだ低い。
なるべく高い利回りを得たい投資家にとっては、外国債券は有力な選択肢となるだろう。
為替相場によっては為替差益を狙える
外国債券投資には為替リスクが伴うが、為替相場によっては為替差益が生じるケースもある。
円高のタイミングで外国債券に投資を行い、円安になったタイミングで償還となれば、円での受け取り金額が増加する。
償還時点で円安になっていなかったとしても、しばらく外貨のまま保有しておいて、円安になったタイミングで円に戻すことで為替差益を受け取ることも可能だ。
過去の水準から考えて現在が円高であると判断される場合や、これからさらに円安が進みそうだと予測される場合は、外国債券投資を行うことで為替差益を狙えるだろう。
分散投資効果を得られる
外国債券投資を行うと、分散投資効果を狙えるというメリットもある。
分散投資とは、保有している資金を複数の資産に分けて投資することで、価格変動リスクを分散させる投資方法だ。
一般的に株式と債券は異なる値動きをしやすいと言われているため、資産を分散させることで相場の良し悪しに関わらず安定的に運用を継続しやすくなる。
すでに株式への投資を行っている方や、国内の金融資産のみを保有している方は、外国債券投資を行うことで分散投資効果を得て、効果的に資産運用を行えるだろう。
外国債券投資のデメリットへの対処法
外国債券投資には、それぞれメリット・デメリットがあることがわかった。
どのように運用すれば、デメリットに対処しながら効果的に資産運用を行えるのかを紹介していく。
複数の資産・銘柄に分散投資を行う
まずは、複数の資産や銘柄に分散投資を行うことが重要だ。
外国債券のみに投資を行うのではなく、株式や投資信託、国内債券などにも分散して投資を行おう。
異なる値動きをする複数の資産に分散して投資することで、特定のマーケットが下落した時の資産全体の損失を回避しやすくなる。
また、投資する外国債券の種類も1種類ではなく、複数の種類の外国債券に投資した方がリスクを分散しやすくなる。
なるべく異なる発行体や通貨、償還期間の債券を選ぶようにすると良いだろう。
債券の格付けに注目する
安心して投資を行うためには、債券の格付けに注目しよう。
格付けの基準は、格付け機関によって多少異なるが、基本的には以下のように債券の信用リスクに基づいて記号が付与される。
格付けの例 | 信用度 |
---|---|
AAA | 高い(投資適格格付け) |
AA | |
A | |
BBB | |
BB | 低い(投機的格付け) |
CCC | |
CC | |
C |
上記の表においては、信用度が最も高いのがAAA(トリプルエー)で、最も低いのがC(シングルシー)となる。
BBB以上の格付けを信用度が比較的高い「投資適格格付け」といい、BB以下の格付けを信用度が低い「投機的格付け」という。
ただし、投資適格格付けであっても、経営破綻のリスクがないというわけではないため、投資の際は業績や財務状況などをしっかりとチェックすることが大事だ。
発行通貨や発行市場の情報収集を行う
債券の発行通貨や発行されている外国の情報をしっかりと収集することも重要だ。
外国債券に投資する場合は、発行体の信用力や発行通貨の為替動向、発行国の経済・政治情勢などさまざまな点を考慮する必要がある。
投資を検討する段階だけでなく、投資した後も適宜情報収集を行うことで、安定的に投資を続けやすくなるだろう。
ただし、外国債券は国内債券と比べて情報が得にくく、信用リスクや流動性リスクの判断が難しい場合もある。
自分一人で情報収集や投資判断が難しいと感じる場合は、専門家に相談するのも一つの手だ。
メリット・デメリットを踏まえた外国債券投資の戦略を立てるなら誰に相談するべき?
これまでの説明から、外国債券投資の魅力と可能性を理解いただけたのではないだろうか。
「早速、外国債券投資をを始めてみよう!」と考えた人もいるかもしれない。
しかし、ちょっと待って欲しい。まずは自分の投資ポートフォリオを再評価し、「外国債券の組み入れは、投資戦略に合致しているのか?」という問いへの答えを、じっくりと検討していただきたい。
そして、外国債券を組み入れたポートフォリオの作成や外国債券投資の戦略の立案の際は、資産運用の専門家に相談してみよう。
ここでは、専門家に相談すべき理由や、最適な相談先を紹介する。
外国債券投資をなぜ専門家に相談するべき理由
外国債券をポートフォリオに組み入れる場合は、資産運用の専門家に運用戦略を相談しつつ、投資銘柄を決めていくことを推奨する。
外国債券の投資判断をするためには、為替相場の予測や発行体の信用リスクの評価など、さまざまな情報からの分析が必要となる。
資産運用に関する知識が豊富な専門家に相談することで、自分に適した運用商品を選択しやすくなるだろう。
IFAとは何か
資産運用の専門家にはいくつかの種類があるが、中でも外国債券投資を相談する先としては「IFA(独立系資産運用アドバイザー)」が適している。
IFA(独立系資産運用アドバイザー)は、特定の金融機関に属さない、独立した金融の専門家だ。
ポートフォリオの資産配分、リスク管理、退職計画、税金計画など、全体的な財務計画についての助言も行うため、外国債券投資に限らず資産運用全体の相談が可能だ。
すべてのIFAは金融商品仲介業者としての登録を受けているため、具体的な商品提案や販売の仲介も任せられるという点がメリットとして挙げられる。
現在のポートフォリオに外国債券の組み入れが適切か、最適な外国債券商品は何か、といった個別のニーズに対しても適切なアドバイスが期待できるだろう。
IFAは、特定の企業に所属していないため、会社の利害や個人の販売ノルマに提案内容が左右されないというメリットもある。
金融機関の営業担当者はどうしても個人の成績や会社の営業方針に影響を受けてしまいやすいが、IFAの場合は中立的な視点に基づいた提案を受けられる。
公平な目線で資産運用に関するアドバイスを受けたい人や、専門的な知識を持ったプロに運用方法を相談したいという方は、ぜひIFAへの相談を検討してみよう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の紹介
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IFAへの相談は原則無料となっていて、なんどでも相談できるため、複数のアドバイザーに相談した上で最も自分に合う担当者を見つけるというのも良いだろう。
「外国債券に興味がある」「資産運用全般について相談したい」などというニーズのある方は、ぜひIFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
外国債券投資のデメリットを知って資産運用に役立てよう
外国債券投資には、為替差損が発生する可能性がある、信用リスク・流動性リスクが存在する、といったデメリットがある。
こうしたデメリットを回避するためには、為替相場の予測を適切に行いつつ、債券の格付けや発行体の財務状況などをチェックして、安心して投資できる銘柄を探すことが重要だ。
ただし、外国債券の情報は国内債券に比べて得にくいため、安心して投資を行うためにはプロに相談するのを推奨する。
IFAに相談すれば、中立的な立場から、自分の運用目的やリスク許容度に応じた適切な運用戦略の設定や商品選定のアドバイスをしてくれる。
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