昨今、年金だけでは老後の生活費が不足するといわれており、老後資金2,000万円問題も記憶に新しいのではないだろうか。さらに、年金額減額によって将来受け取れる額は少なくなりそうだ、と不安に思い年金制度について調べ始める方も多い。
ちなみに会社員は国民年金保険料を支払っていない。そのため、以下のような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないだろうか。
- 給料から厚生年金が天引きされているが、国民年金はどうなっているのか?
- 結局、自分は将来いくら受け取れるのか?
一括りに年金制度といっても日本には、国民年金と厚生年金の2種類が存在しているため、混乱しやすい。そこで今回はこれらの仕組みを紹介し、将来に会社員はいくら年金を受け取れるのかについてわかりやすく紹介していく。
年金制度について理解しておくことで、将来自分がどの年金を、いくらもらえるのかなども確認可能だ。年金制度は案外知っているようで知らない人も多いので、将来に備えてまずは年金制度について確認しておくことをおすすめする。
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国民年金の仕組み
公的年金制度の1つで、これは条件を満たしていれば誰でも加入できるものだ。加入する被保険者の状態に応じて以下のように第1号、第2号、第3号被保険者に分けられている。
- 第1号被保険者:自営業者やその配偶者、学生や無職の方が該当
- 第2号被保険者:会社員や公務員など厚生年金に加入者が該当
- 第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者(扶養内で働く者、専業主婦、専業主夫)が該当
公的年金制度自体は国民年金と厚生年金の2種類に分けられており、厚生年金を支払っている人は必然的に国民年金にも加入している状態となる。これが日本の2階建て構造といわれる所以だ。
以下のように1階部分はほぼ全員が該当して国民年金を受け取る権利が得られ、その中で2階部分に該当する人が両方を受け取れるのだ。
- 1階部分(国民年金):20~60歳の日本在住者
- 2階部分(厚生年金):会社員や公務員など
つまり会社員で厚生年金を支払っている人は、両方とも加入している状態なのだ。支払っている保険料には2種類の保険料が含まれ、厚生年金を将来受け取る時には国民年金分が含まれて受け取れるようになっている。
厚生年金の仕組み
会社員や公務員が加入し、前述したように、厚生年金に加入している人は将来2種類の年金が受け取れるようになっている。さらに配偶者を第3号被保険者へ加入させることができ、配偶者は国民年金保険料を支払わずに国民年金に加入できる。
ちなみに配偶者の分の保険料は、厚生年金に加入している者がプラスで負担する必要はない。厚生年金に加入する者全員でその保険料を支える仕組みとなっているのだ。
詳しい厚生年金の仕組みと特徴などはこちらの記事で紹介している。メリットデメリットを知りたい方はご覧いただきたい。
公的年金制度の保険料
それぞれの公的年金制度の保険料を紹介していく。
国民年金は毎月一律の金額を支払う。所得などに左右されず、令和4年度は1万5,690円(年間18万8,280円)など年ごとに毎回設定されている。変動はあるが、大まかに約20万円以下と想定しておけば良いだろう。
厚生年金は「標準報酬 × 18.3%」の金額を、雇用主は半分出さなければならない。つまり、厚生年金に加入している会社員は、自分の報酬月額に9.15%をかけた金額がおおよそ負担する保険料となる。
この報酬月額とは、基本給に残業代や通勤手当などを合算した総支給額のことを指している。9万3,000円未満は等級1、9万3,000円以上10万1,000円未満は等級2など、報酬月額に応じて1~32まで等級が設定され、自身の分類された等級で、一律の「標準報酬」を9.15%をかけると正しい保険料が計算可能だ。
例えば報酬が19万円5,000円から21万円未満の場合、標準報酬は20万円となり、保険料は1万8,300円となる。報酬が31万円から33万円の場合は、標準報酬は32万円となり、保険料は2万9,280円と計算できる。
等級の詳しい分類は、日本年金機構が毎年発表している厚生年金保険料額表を確認すれば良い。こちらも毎年変わるため、計算したい年度ごとに選んでチェックするようにしよう。
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会社員はいくら年金がもらえる?
会社員の方は、将来いくら年金を受け取れるのかについて月収20万円、30万円、40万円のモデルケース別にシミュレーションしていこう。
今回は1975年(昭和50年)1月1日生まれの人が60歳まで正社員として働き、65歳から受給開始したと仮定して算出していく。
月収20万円の人が受け取れる年金
前述したように、会社員は厚生年金と国民年金の両方を受け取ることになる。
厚生年金の受給額は定額部分と報酬比例部分を足して求めていく。定額部分は「1621円(令和4年度定額単価) × 自分の生年月日に応じた比率(1.000〜1.875) × 加入月数」で算出できる。つまり、40年間加入し続けた場合は、1621円 × 1.000 × 480ヶ月(12ヶ月 × 40年) = 77万7,600円が定額分となる。
報酬比例部分は2003年4月以降に仕事を開始し始めたと仮定すると、月収20万円 × 5.481 ÷ 1,000 × 480ヶ月 = 52万6,176円と計算できる。つまり、合計130万3,776円が1年間に受け取れ、1ヵ月あたりは10万8,648円が受け取れると計算できる。
月収30万円の人が受け取れる年金
月収20万円の時と同じように算出していく。定額部分は1621円 × 1.000 × 480ヶ月(12ヶ月 × 40年) = 77万7,600円だ。報酬比例部分は月収30万円を当てはめて78万9,264円となる。
つまり、合計156万6,864円が1年間に受け取れ、1ヵ月あたりは13万0,572円が受け取れると計算できる。
月収40万円の人が受け取れる年金
こちらも同様に、数値を20万円や30万円から40万円に変えて計算していけば良い。
定額部分は変わらずに計算して77万7,600円だ。報酬比例部分は月収40万円を当てはめて105万2,352円となる。つまり、合計182万9,952円が1年間に受け取れ、1ヵ月あたりは15万2,496円が受け取れると計算できる。
なお今回紹介したケースはボーナスを除いて計算している。勤務を開始してから今まで受け取った生涯年収の平均が年収240万円、360万円、480万円の場合を想定しているので、その金額が高くなればなるほど受け取れる年金額も上がっていくことは念頭に置いておいていただきたい。
遺族年金とは
もし厚生年金に加入している人が亡くなってしまった場合、年金額はどうなるのだろうか。その答えは遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類を遺族年金として受け取れる、という制度が利用可能だ。
ちなみに遺族基礎年金は国民年金で、遺族厚生年金が厚生年金に該当する。対象者は限定されていて配偶者と子供で、遺族基礎年金は78万円、第1子が22万4,900円、第2子が22万4,900円、第3子以降は7万5,000円が加算される。
遺族厚生年金は収入に応じて支給される金額の4分の3で受け取ることができる。例えば月収30万円の方が亡くなった場合、30万円 × 5.481 ÷ 1,000 ×加入月数(ここでは350ヶ月とする) × 4分の3 = 43万1,628円となる。つまり月額3万5,969円を受け取ることができる。
会社員が支払うのは厚生年金
今回は会社員の支払う保険料と受給額について紹介してきた。国民年金は会社員・自営業問わず全員が加入するが、自営業者などは国民年金保険料を支払い、厚生年金に加入する会社員は厚生年金保険料を支払う。最初は複雑に感じるかもしれないが、一度理解すれば案外単純な仕組みとなっているので、自分の身の回りの年金制度について理解しておこう。
またこの制度はずっと同じものに属するわけではない。もし以下のようにライフステージが変化した場合は、都度切り替えることになる。
支払う保険料が変わるケース
- 早期退職して、起業した
- 個人事業主から、会社員へ転職した
- 結婚を機に退職した
- 会社員の夫に扶養されていたが、収入が130万円を超えて扶養から外れた
最近はフリーランスなど様々な働き方が広まってきているので、このケースに該当する方も増えてくることだろう。2回、3回と切り替える方もいらっしゃるのではないだろうか。
具体的な数値が知りたい方はこちらの記事で紹介している。難しい計算はしたくない、手間をかけずに簡単に正しい金額をチェックしたいという方はぜひご覧いただきたい。
一方で、お金の悩みは多く、手続きも不安なケースは多いと思う。
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